2020年富士S 回顧。サドラーズウェルズの日でした。


走破時計1:33.4  前半800m45.4  上り3F36.0  45.4-48.0ハイペース

良馬場  含水率 ゴール前 17.2%  4コーナー 18.2%(5:00)

クッション値 8.6 標準(7:00)

まずは馬場状態ですが良馬場まで回復していました。ただし下のグラフと今年の安田記念との比較を見ると、今までの良馬場とは全く別の馬場になっている感じで、クッション値を発表したことでかなり軟らかく作っている印象です。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は2020年安田記念のグラフです。

今回は今年の安田記念との比較です。もちろんクラスが違いますし、メンバーもかなり違うんで単純比較はできませんが、幸いにもシーズンズギフトが競りかけたことでハイペースバランスになっていて、前半800mは富士S45.4、安田記念45.7と似たようなものでした。今回の富士Sは良馬場、安田記念は稍重でした。

富士S   走破時計1:33.4、前半800m45.4、上り3F36.0

安田記念   走破時計1:31.6、前半800m45.7、上り3F34.3

ヴァンドギャルド  富士S1:33.4 上り3F34.6 安田記念1:32.7 上り3F34.8

ケイアイノーテック 富士S1:33.8 上り3F34.7 安田記念1:32.3 上り3F34.3

ペルシアンナイト  富士S1:33.9 上り3F35.2 安田記念1:32.7 上り3F34.6

これを見ると今日の馬場がいかに重かったか分かりますね。稍重と言ってもいいくらいの馬場で、これは今秋からクッション値が公表されるようになったために、馬場を柔らかく作っていることが原因だと思います。特に雨が降ると一気に悪化して回復が遅くなるが、含水率からは実際のタイムよりも1段階くらい良い馬場状態が発表されるという事でしょうね。府中では来月一杯まで開催されるし、9月の中山開催でも同じ傾向が見られたので、今後は今までの超高速馬場というイメージは捨てた方が良いかも。ただし、来週の天皇賞(秋)ではアーモンドアイが出てくるので、馬場をいじってくるかもしれません。ここで超高速馬場になるようなら、今後はレース毎に馬場を判断しないといけなくなりそうです。

逃げたのはスマイルカナとシーズンズギフト、離れた2番手からラウダシオン、モズダディーとタイセイビジョンが中段のやや前で、ヴァンドギャルドとワ―ケアが中段、中段やや後ろからペルシアンナイトで、レイエンダとサトノアーサーが中段の後ろから。後方からになったのがケイアイノーテックとブラックバゴでした。

逃げが予想されたスマイルカナですが、すんなり単騎逃げとはいかずシーズンズギフトに競りかけられました。これはスタートで柴田大騎手が出して行く素振りを見せなかったことで、横山典騎手はスローの逃げを許さないために出して行った感じでした。ここまで競り合ってしまったのは、シーズンズギフトが思った以上に行きたがった感じもあったので、そこは横山典騎手も想定外だったのかもしれませんね。

ミルコと好調な内田騎手は前の2頭を行かせて、追走集団の前からで2秒弱くらいは離れていました。ヴァンドギャルドが五分に出たことで中段から、サトノアーサーは五分に出ましたが控えてしまい中段の後ろからになりました、この辺りは戸崎騎手が前走の勝ち方を過大評価した感じですね。

4コーナーです、スマイルカナとシーズンズギフトが離して逃げていますが、内側を通しています。逆に追いかけるラウダシオンはかなり外を回していて、馬場の悪い内側を避けていましたね。この地点ではまだ前の2頭とラウダシオンの差は縮まっていませんでした、上り3Fをスマイルカナとラウダシオンで比べると、L3標識の地点でちょうど2秒の差があったはずです。

追走集団の中では外を回したのがラウダシオン、モズダディー、ワ―ケア、ヴァンドギャルド、ケイアイノーテック、レイエンダ、ブラックバゴ。内側を通したのはタイセイビジョン、ペルシアンナイト、サトノアーサーでした。

直線L1標識付近です、この地点で一気に差が詰まり、スマイルカナとラウダシオンは1秒くらいの差です。これをラウダシオンは持ったまま楽な手応えで詰めてきます、タイセイビジョンとペルシアンナイトが並んでいて、ワ―ケアがモズダディーの前に出ようとしていましたが、反応がイマイチでしたね。サトノアーサーも追走一杯で伸びません。ヴァンドギャルドとケイアイノーテックがスムースに伸び始めます。

直線L1標識付近です、スマイルカナがここで一杯になり、ペルシアンナイトがやや外に出してきますがここでスピードが鈍ります。外からラウダシオンが伸びてきたところで、さらに外からヴァンドギャルドが先頭に立ちます。ケイアイノーテックも外からヴァンドギャルドを追いかけて3着を確保しました。ワ―ケアは全く伸びずに、クラス負けでしょうね。

直線は内が荒れていて伸びませんでしたが、内を通したのはサトノアーサー戸崎騎手、ペルシアンナイト大野騎手、タイセイビジョン石橋騎手でした。この3名はハッキリと馬場読みが下手。スムースな競馬をしていたワ―ケアは、このクラスでは勝負になりませんでしたね。同じく直線外目を通したモズダディーとレイエンダもこのクラスでは苦しいですね。

では1頭づつ見て行きます。

1着はヴァンドギャルド、馬場は重くなったことと、スタートを決めて中段を取れたこと、直線でも馬場の良い外を通したこととすべて上手く運べましたね。さすがは3冠に大手を掛けた騎手で、福永騎手の今年の成長は目を見張るものがあります。この中で一番の懸念材料で騎手がどうしようもないのがスタートで、これを決めた時点で勝負ありました。この馬は母系にサドラーズウェルズが入っているので、良馬場でも時計の掛かる重い馬場は得意、今年のダービーでもサトノインプレッサが、目黒記念でもキングオブコージが激走しました、いずれも母系にサドラーズウェルズが入っている馬です。今日の9RアイビーSでも1着オーソクレースと3着スパイラルノヴァにはサドラーズウェルズが入っていました、2着のラーゴムはオルフェーブル産駒で重い馬場は得意な血統ですから、今日はそういう日だったという事でしょうね。

2着がラウダシオン、逃げ争いの2頭を行かせて2秒程離れて追いかける好騎乗でした。この馬は父がディープ系で母系はアメリカのスピード系なので、こういう馬場は苦しかったはずですが、通ったコースが良かったので最後まで踏ん張り切れましたね。このコース取りも含めてミルコの好騎乗だったと思います。それでもケイアイノーテックに0.2差まで詰められているのは、今後のマイル重賞では不安になりますね。まだ3歳なのでGⅠでは斤量の恩恵を受けられるはずなので、マイルCSならチャンスはありそうです。

3着がケイアイノーテック、距離は長いかと思いましたが外を通したことと、内へ行った馬が垂れたことで届いた感じですね。この感じならマイル重賞でも大敗はなさそうなので、今後も届くかどうかのレースが続きそうです。

4着がペルシアンナイト、休み明けの割には頑張りましたね、内を通したこの馬が4着に好走してしまったことが、このレースのレベルを表している感じ。この馬にとっては叩き台ですから、次走に期待ですね。

5着がタイセイビジョン、内へ行ったのでこの5着は度外視して良いと思います。このレースで古馬との力関係を測るのは無理ですね。

モズダディー、レイエンダ、ワ―ケアはクラス負けの感じですね。サトノアーサーは戸崎騎手の判断ミスでしょう、前走の勝ち方に拘った結果の凡走という感じでした。シーズンズギフトは逃げてしまったので大敗も止む無し、まだ見限る必要はないと思います。スマイルカナはさすがにペースが速過ぎましたが、コーナーでバランスが悪く左回りは不安が残りました。

馬券の方は買い目を直前発表にしたにもかかわらずハズレ、恥ずかしい外し方で顔から火が出る思いです。9Rの上位3頭をよく観察すればヴァンドギャルドを本命に出来ただけに、今後に生かさないといけませんね。