2020年天皇賞(春) 回顧。キンカメ系注意報が的中。


走破時計 3:16.5  前半1600m 1:39.1  上り3F 36.0

含水率 ゴール前 10.2%  4コーナー 8.9%

まずは馬場状態ですが雨が降らなかったので、良馬場で高速馬場まで入っていました。含水率は土曜日よりも若干上がっていますが、これは土曜日に散水を行ったためです。しかし馬場状態にはほとんど影響がなくかなり速いタイムが出ていました。8R糺の森特別が2勝クラスの1800mで1:46.0ですから、かなり軽い高速馬場だったはずです。 目視手動計測ですがフィエールマンのL2は11.2くらい出ているはずで、昨年と同じような馬場状態だったと思います。 


上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が今年のフィエールマン、緑は2019年天皇賞(春)のグラフです。

逃げたのはダンビュライトでしたが、1000m過ぎあたりでキセキが外から上がっていき先頭に立ちます、グラフが急激に上がっている部分です、12.5から12.0、11.6にペースが一気に上がったのは、キセキが外から上がっていったためです。かなり掛かっていたので豊騎手も制御しきれなかった感じですね。

キセキがペースを引き上げたことでとても楽になった馬が一頭いました、それがフィエールマンで、最初の4コーナーを回ったあたりでは内から3頭目の外を回していました、しかし1コーナーに入る時には馬群がかなり伸びて、内から2頭目を回すことが出来ました。このわずかな距離ロスがかなりフィエールマンには優位に働いたのだと思います。

赤のグラフは今年のフィエールマンのL4からの推定ラップです、昨年の緑のグラフと見事に一致しています、昨年はL4で先頭の取り付いていましたから、レースラップがフィエールマン自身のラップとほぼ一致しているはずです。つまり今年もフィエールマンはL2最速戦で勝ったことになります、 自分の得意なパターンに持ち込んで勝つ、もちろんこれを行ったのはルメール騎手の手腕です。2着のスティッフェリオとハナ差の接戦でしたが、昨年はグローリーヴェイズがL2最速戦に対応してきて僅差だったことと比べて、今年はL2で勝負を決めてしまったところ、想像以上にスティッフェリオが粘ったというレースだったと思います。 

昨年のラップタイムで大きく落ち込んでいる部分がありますが、ここでルメール騎手はすかさずポジションを上げて行きました、ポジションを上げて行ったというよりも、フィエールマン自身は加速していません、ヴォ―ジュがペースを落としたことでそれに馬群が付き合う中で、フィエールマンだけがペースを落とさなかったためにポジションが上がりました。このペース認識の正確さが長距離戦においては非常に大きな武器になっている感じです。

この図は一周目のスタンド前です、逃げたのはダンビュライトでした、スティッフェリオが二番手、三番手にモズベッロでその外にキセキ。ハッピーグリンが続いて中段の内にユーキャンスマイル、その外にシルヴァンシャー。中段やや後ろからエタリオウ、ミライヘノツバサを挟んでフィエールマン。中段の後ろからミッキースワロー、メロディーレーン、後方からになったのがメイショウテンゲン、トーセンカンビーナでした。

注目のスタートで前走が嘘のようにゲートを出たのがキセキでした、 ここまでは良かったのですが、一周目のスタンド前でかなり掛かってしまい、大きく外に膨れながら先頭に立ってしまいます。ここで12.0、11.6のラップを踏んでしまったことが、ややオーバーペースだったかもしれません。これをオーバーペースと見た騎手がいました、それがスティッフェリオの北村友騎手です、1コーナーに差し掛かったところで前との間隔をやや空けていました、とても良いペース判断だったと思います。

スタートが良かったダンビュライトが逃げ、スティッフェリオがそれに続きました。 モズベッロもスタート自体はあまり良くありませんでしたが、外の馬が内へ切り込んでくることもなく上手くリカバリーをして3番手を確保できました、非常に良いポジションだったと思います。 モズベッロと同じくスタートが良くなかったのがメイショウテンゲンとトーセンカンビーナでした、この2頭のスタートの悪さはいつものことです。

スタートは五分に出たフィエールマンは無理に位置を取りに行かずに中段のやや後ろでレースを進めました、最初の4コーナーを回った時には内から3頭目でしたが、キセキがペースを引き上げてくれたことで、間に居たミライヘノツバサが遅れて、内から2頭目の位置を確保できました。意外なスタートの良さを見せたのがユーキャンスマイルで、すんなりと中段の最内を確保してしまいました。ミッキースワローはフィエールマンをマークするような位置からレースを進めていました。

向正面です、キセキがダンビュライトをやや離して逃げました、さらにダンビュライトからやや間隔を空けてスティッフェリオが追走します。モズベッロ、ハッピーグリンが続き、このあたりは隊列に大きな変化はありませんでした。 

この後ミッキースワローとメイショウテンゲンが、フィエールマンを外から交わして中段まで上がっていきました、ちょうど3コーナーの手前上り坂になっている地点で、ラップタイムが12.7に緩んだ部分です。この緩みを横山典騎手が見逃さずに上がっていったのでしょう、結果的に先に動いたことでフィエールマンに交わされているので、この判断が正しかったかどうかは微妙です。

4コーナーから直線入り口です、キセキが先頭で直線に入ろうとするところダンビュライトがやや差を詰めて追走してきます、さらにスティッフェリオもダンビュライトとの差を詰めながらスムースに4コーナーを回り、モズベッロが1頭分外を回しまし、この直後にフィエールマンがいました。ミッキースワローはモズベッロのさらに1頭分外を回しまました。後方から上がってきたトーセンカンビーナはさらに外です。エタリオウはL3標識手前付近で遅れてしまいました、ここはL4の後半部分でL5の12.5から11.9に加速するところで遅れてしまったようです。


直線L2標識付近です、キセキが先頭で頑張りダンビュライト、スティッフェリオが猛追してきます。スティッフェリオの外からモズベッロ、ミッキースワロー、フィエールマンが同じような位置から前を追いかけ、その後ろからメイショウテンゲンがコース中ほど、その外からトーセンカンビーナも前を追いかけます。4コーナーで遅れてしまったエタリオウがコーナーワークで前に取り付いてきました。ユーキャンスマイルは直線入り口で手前を替えるタイミングだったと思いますが、この時に内側へ3頭分くらい切れ込んでしまいました。この地点は遠心力を受けながらやや外に膨れた方がスピードは乗ったはずなので、右回りの不安が出てしまった感じです。

直線L1標識付近です、先頭で頑張っていたキセキが内からユーキャンスマイル、外からスティッフェリオに並ばれた地点です。ここで一気に差を詰めてきたのがフィエールマンで、得意のL2最速戦に持ち込んでほぼ勝負ありの展開でした。ところがここから意外な粘りを見せたのがスティッフェリオで、この馬もフィエールマンと同様に軽い高速馬場で11秒台を連発する能力が非常に高い馬です。結果ハナ差で2着と大接戦を演じました、予想の段階で長距離戦で覚醒する可能性があると書きましたがまさにその通りの展開でした。

向こう正面でフィエールマンよりも先に動いたミッキースワローは、直線でフィエールマンに差し返される格好になりました、あのままフィエールマンをマークする形になっていれば大金星もあったかもしれません。L2ではフィエールマンのスピードに見劣っていたので、 おそらくL2のラップで0.3ほど遅かったのではないでしょうか。ユーキャンスマイルが最後にミッキースワローに交わされてしまった理由は、前半のポジションが前過ぎたのか、それともキングカメハメハ産駒の5歳ということで蓄積疲労が出始めたのかもしれません。

では1頭ずつ見ていきます。

一着はフィエールマンでした、スタートは五分に出て積極的にポジションは取りに行きませんでしたが、中段のやや後ろから進めました。一周目のスタンド前でキセキがペースを引き上げてくれたことで、内にスペースができ大きく外を回さずに済んだことは幸運でした。向こう正面でミッキースワローが上がって行った時に、釣られて上がっていかなかったことも、L2で11秒台の前半を叩き出すことができた大きな理由ではないでしょうか。

昨年の勝ち馬でルメール騎手騎乗ということで大外枠だけが不安材料でしたが、さすがの騎乗であっさりと勝ち切ってしまいました。今回はパンパンの良馬場、高速馬場で条件も味方したと思います。これでディープインパクト産駒ながらGⅠ3勝目、古馬になってから2勝目を挙げました、今までのディープインパクト産駒では成し得なかったことなので、この馬の今後にさらに期待が高まります。昨年の札幌記念のレースを見ていると、この馬が苦戦するとすれば時計のかかる馬場状態になった時ではないかと思います。宝塚記念に出てくるようであれば梅雨時ということもあり馬場状態には要注意です。

2着はスティッフェリオ、フィエールマンとの着差はハナとなんとも惜しい2着でした。一周目のスタンド前でキセキが先頭に出た時、ペースを考えて前との間隔をあけたことは北村友騎手のファインプレーだと思います。 対フィエールマンということを考えれば、L3までに十分なリードを取っておきたかったレースですが、こちらは初めての長距離戦なのでそこまで強気な騎乗を求めるのは酷でしょう。 フィエールマン同様この馬も軽い高速馬場で、後半11秒台を連発するようなラップ推移の時に好走することが証明されました、オールカマーの時とよく似たレースで当然の好走だと思います。日経賞を挟んでしまったので評価を下げてしまいましたが、日経賞の前に2か月間隔を空けていたので疲労も少なかったようです。

3着はミッキースワローでした、向う正面上り坂地点でフィエールマンを外から交わしに行ったことについては賛否あると思います、あのままフィエールマンをマークしていれば大金星もあったかと思うのですが、こればかりはタラレバになってしまうのでやめておきます。輸送の不安がありましたがしっかりと克服できましたし、今後は関西圏のレースでも活躍が見込まれます。元々まあまあのトップスピードの質と持続力の高さは見せていたので、 長距離戦になってより能力が開花した感じがします。

4着がユーキャンスマイル、意外に良いスタートを切ったことで、あっさりと中段の最内というベストポジションを確保できました。3,4コーナーも最内を回して距離ロスは全く無かったのですが、直線入り口で内に切れ込んでしまう仕草が見られました、右回りでは直線入り口の手前を替えるタイミングで、再三バランスを崩していたので今回も同じようにバランスを崩してしまったのだと思います。この地点は内に切れ込むよりも、4コーナーの出口からスムーズにやや外に膨れながら加速した方がスピードは乗ったはずなので、一番大切な場所でいつもの悪い癖が出てしまった感じです。それでもL1標識付近では先頭に並んでいましたし、そこから垂れてしまったというのは非常に印象が良くありません。懸念していた蓄積疲労の可能性もあるので、今後は軸にするような買い方は躊躇してしまいます。

5着がトーセンカンビーナ、いつも通り出遅れて後方からの競馬になりました、3,4コーナーで外を回していますし、 かなり距離ロスがあったはずです。それでも最後にバテ差しで5着まで伸びてきているように長距離適性は確かです。ただこのメンバー構成、このクラスでは馬券圏内までは届かないということも露呈してしまいました。スタートが改善される兆しはまったくないので、今後はかなりの消耗戦になるような時以外買いにくいと思います。

6着がキセキ、9着がダンビュライトでした、2頭ともレースを引っ張る形になり直線L1標識付近まで先頭付近で頑張っていましたがそこで力尽きました、キセキについては一周目のスタンド前で、ややオーバーペースで上って行ってしまったこと、ダンビュライトについては去勢手術明け初戦という言い訳もありますが、 この2頭はルーラーシップの産駒でキンカメ系です、そして6歳ということでキンカメ系の蓄積疲労の可能性も十分にあると思います。殿負けだったシルヴァンシャーは理由は全く分かりません、距離適正がなくてもあそこまで負けることはないはずで、どこか故障していないか心配になります。

馬券の方は馬連だけ的中できました、三連単は2着をシルヴァンシャーに絞ってしまい外れてしまったので、三連単を買うときはもう少し手広く買った方がいいと反省しています。先月の中頃からだんだん予想の精度が上がってきた感じがするので、このままの調子でまた来週頑張りたいと思います。

コメント

  1. ともきー より:

    2度目のコメントです。
    いつも予想を楽しみに参考にさせてもらってます。
    おかげで馬連と3連複取らせていただきました。
    ありがとうございます
    欲を言えば3連単買っておけばなー、でした。
    みややさんも書かれてますがシルヴァンシャーに
    こだわり過ぎず広く買っていれば美味しかったですね。

    • みやや より:

      ともきーさん、こんばんは、コメントありがとうございます。
      馬連と3連複まで的中とは、良かったですね~おめでとうございます。
      3連単は手広く行かないと難しいですね、実は最初はスティッフェリオに拘っていて、拘り過ぎは良くないな~と思って中1か月を嫌ってしまったんですよ。
      それでシルヴァンシャーが殿負けでは、絞った自分が馬鹿みたいで・・・。これに懲りずにまた頑張ります。