2019年エリザベス女王杯 回顧。レース巧者と言うしかない!


走破時計 2:14.1  前半1000m 62.8  上り3F 34.6

馬場状態は予想通りやや高速でしたね、10Rの修学院S3勝クラスの1800m戦で1:46.5でした、勝ったエスポワールが中目から、2,3着のゴータイミングとイェッツトは外目から伸びていたので、内外の差はないと思いましたが意外にありましたね。内の方が伸びていました、サラキアの川田騎手が内へ入れたのもこの辺りを読んでのことでしょうか。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2018年エリザベス女王杯のレースラップです。

似たような推移になっていますが、今年は道中のペースが更に遅く動き出しが早くなっていますね。1200mを通過してからペースが上がり、後半1000mの勝負に持ち込んだんですね。このペースに持ち込めた最大の理由はヴィクトリアMがあったからでしょうね、あのレースでクロコスミアの持続力の高さを見ていれば、このペースは十分対応できますからね。ただここまで前半が緩めば当然後続も足は溜まっていたはずで、オルフェーブル産駒でステゴ系のラッキーライラックに、爆発的な脚を使われてしまいました。

結局テン乗りの川田騎手が積極的に行かなかったし、ラヴズオンリーユーも逃げ馬ではないのでペースを引き上げません、他に逃げたい馬もいなかったためにこういうペースになったんですね。川田騎手を推しているんですが、今回はテン乗りを差し引いても良くない騎乗だったと思います。特に向正面で緩んでいる時に、ルメール騎手が上がったタイミングで一緒に引き上げてしまえば後続も苦しくなったし、サラキア自身も直線入り口でもう少し自由度の有るポジションを取れたはずです。今回は川田騎手を擁護することはできませんね、まぁ唯一さすがだなと思ったのは直線内に進路を取ったことですね、外からではセンテリュオもスカーレットカラーも伸びていないので、進路取りは良かったんですが前が壁になってしまいました。川田騎手は最近流れが悪いですね~。

勝ったラッキーライラックですが自身の1000m通過が目視手動計測ですが64.3くらいで、歩いているようなペースですから心肺機能は当然問われていません。L3までミルコも動かなかったので、この馬自身はL2からの瞬発力とトップスピードの質で勝ち切った感じですね。Ⅼ3迄ずっとクロノジェネシスを風除けに使っていましたし、終始最内で全くコースロスが無かったですからね。スミヨン騎手恐るべしという騎乗でした。

逃げたのはクロコスミアでした、スタート決めたラヴズオンリーユーがまさかの2番手からで、その後ろにフロンティアクイーン、サラキア、センテリュオが向正面でサラキアの前に上がります。内からクロノジェネシス、スカーレットカラーがこの位置でした。勝ったラッキーライラックはクロノジェネシスをマークする位置でしたね、これは予想通りでした。アルメリアブルーム、サトノガーネット、ポンテザール、レッドランディーニまでが中段。やや馬群が空いてシャドウディーヴァ、レイホーロマンス、ウラヌスチャームが外から、ブライトムーン、ゴージャスランチ、ミスマンマミーアが後方からという隊列でした。

意外なスタートを決めたのがラヴズオンリーユーとスカーレットカラーでした、スカーレットカラーはパールSで先行していましたが、それ以降は後方から溜めて溜めて爆発させる競馬で好走してきたので、意外なポジションでしたね。ラヴズオンリーユーはサンプルが少ないので意外と言っては言い過ぎですが、オークスを見ると消耗戦を持続力を生かして勝っているので、前で勝負した方が良いのは分かっているのですが、スタートが遅いんですよね今までは。この大一番でしかも休み明けでスタートを決めてくるとは、ミルコも相当考えて乗ってきたなという感じでした。

ペースははっきりとスローでしたね、1000m通過が62.4、昨年が61.4ですから中段から後ろの馬には出番が無かったですね。ミルコももう少し突いてペースを上げる意識を持っているはずですが、今年はリズムが悪いので大事に行き過ぎた感じですね。2コーナーから向う正面で12秒台後半を連発してしまったので、前が止まらない流れになりました。

4コーナーから直線入り口です、3コーナーの下り坂を利用してクロコスミアが一気にペースアップします、12.3から11.6まで引き上げたんですが、これにミルコが付いて行きませんでしたね。ちょっと楽に行かせすぎたかな~という印象で、ミルコにしたらいつでも捕まえられると思ったんじゃないでしょうか。ところがこれが捕まらなかった、どころか後ろから差されてしまうあたりが今のミルコの調子の悪さですよね。

3コーナーからの出し抜きに反応できる位置に居たのはミルコとルメール騎手でしたが、2人が馬群をコントロールする形になり、クロコスミアが楽にリードを奪います。恐らくルメール騎手はセンテリュオに対して信用していませんよね、あそこで追いかけてしまうと直線持たなくなると思ってクロコスミアを行かせたんだと思います。ミルコは自信を持って「いつでも捕まえられる」とルメール騎手は「ここでクロコスミアに付き合うと直線持たない」と正反対の心理状態でいたと思いますが、同じ行動に出るという面白い結果でした。

直線L2標識付近です、まだまだクロコスミアのリードがあります、内回りとの合流点のスペースを使ってラッキーライラックはクロノジェネシスに並びかけます、京都外回りのお手本のような騎乗でしたね。このコース取りに反応したラッキーライラックはやはりまぁまぁの瞬発力を持っていますね。

ここでコースが無くなってしまったのが内へ行ったサラキアでした、フロンティアクイーンとクロノジェネシスに前を阻まれてしまい、ブレーキしてから再度内へ進路を取りました。瞬発力が低いのでここからの伸びはジリジリまでです、ただかなりのスローペースで推移したためにクロコスミアやラヴズオンリーユーに大きく見劣るほど下がっていないんですね、これはエプソムCでドスローからのL3加速で見せた瞬発力を発揮したんだと思います。それにしてもサラキアにとってフロンティアクイーンが終始邪魔になってしまいましたね、もちろんフロンティアクイーンもレースをしているので邪魔という言い方は良くないんですが、道中もフロンティアクイーンの位置には入れればもっと楽に追走できたはずですし、直線も前をふさがれてしまいましたからね。

意外に伸びなかったのがクロノジェネシスで前半がスローなので、距離適正は問われていないと思うのですが。直線L2過ぎにラヴズオンリーユーが前をカットしているので、北村友騎手も一瞬ステッキが止まっていました、これは大きな影響はなかったと思いますが、もう少しトップスピードの質を見せても良かったと思うので、休み明けで激走した反動もあったのかもしれませんね。

直線L1標識付近です、ここでラッキーライラックがラヴズオンリーユーに並びかけ、一気にクロコスミアを捕まえてしまいました。前半スローで溜めるだけ溜めた時にこれだけのトップスピードを出してくる、サンデー系のなかでもこういう爆発力を持っているのは、ディープ、ステゴ、ヴィクトワールピサの系統ですかね~。

外からになったセンテリュオ、スカーレットカラーは伸びきれずに4着、7着まででした、特にセンテリュオは伸びそうで伸びない感じで、これは馬場の差だと思っていいのではないでしょうか。フロンティアクイーンがこの辺で下がってしまったのは斤量だと思います、55㎏以下で狙いたい馬ですね。中段よりも後ろからになってしまった馬には出番がありませんでした、ウラヌスチャームも後方からになった時点で勝負権が無かったですね。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はラッキーライラック、終始最内の中段でクロノジェネシスをマークする位置で足を溜めていました、空気抵抗も最少、距離ロスも0、超スローペースになり距離不安も解消と全てが上手くかみ合ってしまいましたね。もちろんポジション取りの上手さはスミヨン騎手の腕ですし、4コーナーから直線のコース取りもスミヨン騎手ならではの無駄の無さでした。そして上がり3F32.8という別次元のスピードを引き出した折り合い、日本人騎手にも見習って欲しいですね~。返し馬で驚いたのが前にポンテザールを置いてすぐ後ろで我慢させていたこと、あれで馬も落ち着いてレースに挑めたんでしょうね。返し馬の工夫まで含めてスミヨン騎手のレースでしたね。

2着はクロコスミア、3年連続2着です、それもすべて違う騎手で2着という珍しい記録ではないでしょうか。それだけこの馬とエリザベス女王杯との相性が良いのでしょうね、展開は過去2年と少し違っていて今年は4F戦に持ち込んでいますから、この馬の幅の広さを改めて見せつけました。ヴィクトリアMで心肺機能と持続力の高さを見せていたので、今日のペースは楽だったはず、最後にトップスピードの質で差し切られてしまったのは前半が緩すぎたからですかね~。もう少しこの馬を信用して後続に脚を使わせても良かったと思いますが。

3着はラヴズオンリーユー、骨折休養明けにしては良く走りましたね、トップスピードの質は高くはないので、クロコスミアを可愛がり過ぎた感じもありますが、一叩きされてピリッとするでしょうから次走が楽しみですね。今回はスタートが良かったので、今後もこういうスタートが切れれば好走を続けるでしょうね。まだまだ底を見せていませんしパワー型ディープ産駒だと思うので、重馬場でも見てみたいですね。

4着はセンテリュオ、馬場の差が出てしまった感じですし、ルメール騎手も思い切った騎乗が出来ませんでした。継続騎乗で重賞を好走していれば違ったんでしょうけど、どこまで通用するかおっかなビックリという感じの騎乗でした。結果的にはクロコスミアに付いて行った方が良かったと思いますが、差のない4着なので今後に期待が持てるレースでした。特に京都外回りでスムースだと力を発揮してきますね、これは下鴨Sで見せていましたからね。

5着はクロノジェネシス、意外に伸びなかったな~という感じで、前半の遅さを考えると距離適正は問われていないはず。可能性ですが休み明けで激走した反動かもしれませんね、前走はかなり苦しい競馬になっていますから。

6着がサラキアでした、レースに負けたというよりもフロンティアクイーンに足を引っ張られてしまった感じですね。まぁこれはレースですから仕方ないと思います。川田騎手に関しては良いところなしでちょっとリズムが悪いですね~、ここ最近被害に遭うことが多かったのでリズムを崩しているのかもしれません。お祓いにでも行って気分転換して欲しいです。

スカーレットカラーはプラス14㎏と謎の仕上げでしたが、中段を取れたこともあり大敗まではしませんでしたね。岩田騎手の好判断ですね、というかいい勘をしていますよね。ウラヌスチャームは内枠を引いたからと言っていきなり中段へは行けませんでしたね、この辺りは馬に癖がついてしまった感じで、日頃からポジションの意識を馬に植え付けないとダメなんでしょうね。

馬券の方はハズレでした、何度目だと言いたくなる縦目を喰らい撃沈です。来週も頑張ります。