2019年マイルチャンピオンシップ 全頭評価。その1。ムーア騎手とアルアインは手が合う。

<アルアイン >・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低くバテ差しタイプ。・重でも走る。

”2018年京都記念”ではスローバランスを中段から、3コーナーで掛かったレイデオロに前に入られてしまい、L2最速戦に巻き込まれて2着まで、この時が重馬場。”2018年大阪杯”ではスローバランスを中段の前から、後半ロンスパになったがトップスピードの差でペルシアンに差され3着。”2018年オールカマー”ではスローバランスを先行、後半11秒台連発のロンスパで2着。”2018年天皇賞秋”ではスローバランスを先行、後半ロンスパ戦を直線で溜めてしまい4着、ここではトップスピードの質と瞬発力の低さを見せる。”2018年マイルCS”ではスローバランスを先行して粘り込み3着、内枠優位も味方。”2019年大阪杯”ではスローバランスを最内先行、直線は内が空いて差し切り1着、内優位の馬場で3着以内は全て最内の馬、前日の雨で良馬場だが重い馬場でトップスピードの質が問われなかった。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを3番手で先行、直線はジリジリで4着、この時が3カ月の休み明けで同条件ならキセキよりも評価は下。”2019年天皇賞(秋)”ではスローバランスを大外中段から、終始内から5頭分外を回されてしまいL2で一杯になり凡走、この時が休み明け。

「マイルCSへ向けて」好材料:休み明け2走目、騎手強化、レース適性。悪材料:前走負け過ぎ。

2019年大阪杯は嵌ったな~というのが感想で、特に馬場のバイアスが内優位だったことがかなり影響したはず。内枠から一番良い位置を追走したし、運が良かっただけでなく、実はキセキと相性が良いのではないかと思う。スローからのロンスパはキセキの得意ペースで、キセキの後ろからレースが出来たことが大きい。この馬はディープ産駒の割にトップスピードと瞬発力が低いタイプで、サトノノブレスを強くしたようなタイプ、なので内枠からすんなり先行出来ればチャンスが広がるんだけど、外枠からだと自分で動かないといけないので騎手を選ぶ。L3から動かして行かないとトップスピードの質を問われて負けてしまう、稍重だった2018年京都記念がまさにこのパターンで、L3で前のレイデオロに待たされてしまった。2018年マイルCSもL2最速戦に巻き込まれて3着、トップスピードの質でステルヴィオ、ペルシアンナイトに明確に見劣った。

逆に良かったのがオールカマーで後半11秒台連発のロンスパでトップスピードの質が問われず、持続力とパワーを問われたレースだった。この時の1着はレイデオロでクビ差だから高評価、3着のダンビュライトはちぎっているので、このスローからのロンスパが得意パターンだと思う。力関係がはっきりしたのが2019年大阪杯と宝塚記念で、大阪杯では休み明け2走目でキセキ(休み明け)に先着、宝塚記念では休み明けでキセキに完敗している。休み明けの条件が同じならキセキには完敗で、スワ―ヴリチャードの下というのが、この馬の立ち位置だと思う。

好材料は休み明け2走目で天皇賞(秋)の時も書いたが、休み明けは良くない。これは上記の大阪杯と宝塚記念をキセキを物差しに見てもらえれば。その上でムーア騎手を配してきた、北村友騎手は大阪杯を勝っているが能力的にはムーア騎手と比べるべくもないのは当然。特にアルアインの今の脚質、先行好位差しというのはムーア騎手が最も得意とする脚質なので、手が合うのは間違いない。昨年はアエロリット(この時は苦手な輸送競馬だったが)でスローの逃げに持ち込んで惨敗しているように、馬の特性ではなくムーア流にはめ込みたい騎手ですね。レース適性は昨年3着で十分好材料、スローからのL2最速戦は得意パターンではなかったが、内優位の馬場を味方に抜け出してしっかり粘り切った。

悪材料は前走が負け過ぎた点で14着と大敗してしまった。大外枠から終始内から5頭分くらいを回されてしまったので、直線は早々に一杯になってしまった。騎手も早々に諦めていたので、直線半ばでは追うのを止めていた。苦手な休み明けと大外枠の不利が原因なのは明らかだが、すぐ内のウィンブライトに1.4秒も離されたのは印象が悪い。

<インディチャンプ>・ステゴ産駒で掛かりやす。

・休み明けでも走る。・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。

・下り坂で加速できれば瞬発力は補えるが、L3が平坦だと加速に手間取る。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

”有松特別”では内枠から掛かり気味に中段まで下げ直線はスムースに外に、坂で一気に前を捉えて1着。”元町S”でも内枠からドスローで掛かりながら中段の後ろに、直線はスムースに外に出し坂で周りが苦しくなったところを纏めて面倒見た。目視でL3から11.0,11.0,11.2位で長くいい脚を使ってきた。”東京新聞杯”では実質ややスローバランスを出遅れたが中段にリカバリー、直線はバテ差しの形で1着。”2019年マイラーズC”ではスローバランスを4番手で掛かり気味に追走、10秒台のラップに心肺機能が持たずにゴール前差し返されて4着。。”2019年安田記念”ではスローバランスを中段のやや前から、L5辺りでロジクライを前に入れて自身で中緩みを作り、直線ではやや強引に外に出してから伸びて1着。”2019年毎日王冠”ではスローバランスを2,3番手先行、直線L2で一旦先頭に立ったがL1でアエロリットの差し返された上にゴールでは1馬身差を付けられ3着、1F長かった。

「マイルCSへ向けて」好材料:マイルへの短縮。悪材料:特になし。

2019年マイラーズCは超高速馬場の中でスローバランス、それもかなりのスローバランスでかなり掛かっていた、これで後半の持続力が削がれてしまった感じ。瞬発力とトップスピードの質はまぁまぁ見せていたが、掛かってしまっては厳しくなる、この時は2か月半の間隔開けだったことが影響した可能性はある。東京新聞杯では出負けしてからリカバリーしたので掛かることもなかったし、しっかり持続力を発揮してきた。有松特別では稍重の中平均バランスを中段から圧勝しているので、心肺機能は問題ないと思う。

特に高評価は東京新聞杯で 前半45.7で2018年安田記念と大差ないし、馬場を考えれば走破時計も優秀だと思う。相手もサトノアレスが3着に来ているので、結構レベルが高い1戦、これを出負けしながらリカバリーして、中段から直線は馬群を割って伸びた闘志は多頭数でこそ生きる。この闘志がステゴ産駒の特徴だが、掛かりやすい気性も併せて持っている。2019年の安田記念で超高速馬場への適正も見せてきたし、持っているスピード能力も高い。

2019年毎日王冠で距離適正がはっきりした、アエロリットの2,3番手で先行して直線L2で一旦先頭に立ったが、L1でアエロリットに差し返されゴールでは逆に1馬身の差を付けられてしまった。L1で明確に落としているので、1800mは1F長いんだと思う、お母さんがウィルパワー、お婆ちゃんがトキオリアリティーと短距離で活躍した馬なので、マイルがベストで1800mは高速馬場でも一線級相手では苦しくなるという感じだと思う。

好材料はマイルへの短縮で、前走の毎日王冠を見ても1800mは1F長い。もちろん安田記念を勝った春のマイル王なので、この距離はベスト。休み明け2走目になる点も上積みが期待できる、この馬もノーザンF生産馬なので休み明けを苦にしないが、休み明けのマイラーズC4着から安田記念を制したように、休み明け2走目での上積みは期待できる材料。コース適正は内枠に入れば問題はないと思う。悪材料は特になく、このレースは内優位になりやすいので、外枠を引いてしまった時にこの馬の脚質では不安が出てくる。

<エメラルファイト>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はない。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。・バテ差し型。

”スプリングS”では平均バランスを中段から、L2最速戦を持続力で押し切る。”白梅賞”ではややハイペースバランスを中段のインコースでコースロスなく進めて、直線外からバテ差し1着。”朝日杯FS”ではややスローバランスを後方から、バテ差しで6着まで。”アイビーS”ではスローバランスを3番手先行して3着、直線は上がり33.1だがクロノジェネシスには明確に見劣り、コスモカレンドゥラにもやや劣る、高速馬場でへの適性の低さ、トップスピードの質、瞬発力の低さを見せた。”ダービー”では離れた追走集団の前から、直線では中目を進めるが伸びずに凡走。”2019年富士S”ではスローバランスを3,4番手先行、直線はトップスピードの質で見劣り凡走。

「マイルCSへ向けて」好材料:休み明け2走目。悪材料:クラス負けの危険。

白梅賞、スプリングSと流れた中で好走してきたのは、一定の評価をしないといけないと思います。アイビーSで高速馬場への適性の低さを露呈しているように、良馬場でスローバランスになれば出番はないと思いますが、ハイペースバランスや重馬場になれば可能性は高まると馬ですね。トップスピードの質が低いのは再三見せていて、好走したスプリングSも消耗戦をバテ差したもの、クロフネ産駒らしく持続力は高いので前半からハイペースで進めたいが、スタートが不安定だし、騎手もハイペースを促すような騎手は乗っていない。距離は良馬場なら1800まで、道悪なら距離適正は不問。一点気になるのはクロフネ産駒は牡馬よりも牝馬の方が圧倒的に成績が良い点、スプリングSも相手が弱かったし重賞で何度も好走できるかどうかは大きな不安。

好材料は休み明け2走目で非ノーザンF生産馬なので上積みは期待できる。悪材料はクラス負けの危険で、朝日FSが6着とは言え1.2秒も離されたし、勝ったスプリングSでも相手が距離適正の外れたファンタジストなので、このクラスでどうこうなるとは思えない。