2020年阪神牝馬S　回顧。京成杯AHの再現をしたディメンシオン。

走破時計　1:32.9　　前半800m　46.5　　上り3F　34.5

含水率　ゴール前　10.9％　　4コーナー　9.1％

まずは馬場状態ですが良馬場で行われました。昨年のミッキーチャームが1:33.6なので、昨年同じような馬場状態だったと思います。 1着サウンドキアラの上り3Fが33.7なので、高速馬場とは言えないと思います、昨年はミッキーチャームの上り3Fが33.4でしたからね。金曜日の段階から含水率があまり変わっていなかったので、意外にも馬場は乾乾かなかったという事だと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2019年阪神牝馬Sのグラフです。

前後半で見ると46.5-46.4と全くの平均バランスです、トロワゼトワルが逃げて2番手にディメンシオンがつけたことで、例年とは違い締まったペースで進みました。京成杯AHでこの2頭は一緒に走っていて、トロワゼトワルが単騎で離して逃げ、ディメンシオンは離れた追走集団の先頭付近からレースをしていました。トロワゼトワル自身は当然ハイペースバランスでディメンシオンはおそらく平均バランスぐらいだったはずです。今回もディメンシオンは同じようなペースで進めたために粘ることができました。

逆に昨年2着に好走したアマルフィコーストは14着に凡走してしまいました、昨年のラップ推移は前半かなりゆったり入っていて、800m通過が47.9と今年に比べて1.4秒も遅かった、今年はかなり流れたためにアマルフィーコーストの心肺機能では最後までもたなかったようです。トロワゼトワルがハイペースにした時点で、アマルフィコーストは中団からの競馬を選択すべきでしたが、幸騎手のペース認識の悪さを露呈する格好になりました。

L1標識までトロワゼトワルが頑張っていたため、L2のラップはトロワゼトワルのものです、したがってL1では0.1秒加速しているように見えますが、ラップを記録した馬が変わっているのでこのような形になっています。L1でラップを記録したのはサウンドキアラで、サウンドキアラのL3からのラップは目視手動計測ですが、11.1-11.0-11.6くらいのはずです、L3、L2は下り坂なのでこれを利用してかなり速いラップを踏んだことになります。

逃げたのはトロワゼトワル、スタートがあまり良くなかったアマルフィコーストがリカバリーして2番手の外、スタートが良かったディメンションがトロワゼトワルの後ろに入り3番手から進めました。ダノンファンタジーが外から4番手でメジェールスーがその内、サウンドキアラは中段のやや前から進めました。中段からビーチサンバ、プールヴィル、リバティハイツ、中段のやや後ろからテーオービクトリー、ブランノワール、シャドウディーヴァ、シゲルピンクダイヤが一番外から。ノーワン、スカーレットカラー、サトノガーネットが後方からという展開でした

前走中段から競馬をしていたディメンシオンがスタートが非常に良くすんなりと先行してしまいました、この馬は昨年の京成杯AHで2着に粘っているように、心肺機能と持続力の高さを持っているので、前に行ってしまえば十分勝負になると考えていましたが、ここで先行してくるとは思いませんでした。同じく京成杯AHに出走していたトロワゼトワルが平均バランスで進めてくれたことで、ディメンシオンには願ってもない展開になりました。

ダノンファンタジーはスタートよく中段よりも前、同じくスタートが良かったサウンドキアラはハイペースを見越してやや下げながら進めました。松山騎手のペース認識の確かさが出た良い騎乗だったと思います。中段からになったのがビーチサンバで、スタート自体はタイミングよく出ていますが、福永騎手が押して押してという感じではなく、出たなりで中段の位置で折り合っていました。

ブランノワールは中段のやや後ろでしたが掛かり気味でした、シャドウディーヴァがその外に居て、シゲルピンクダイヤは一番外から進めることになりました。2着に届く事になるスカーレットカラーは後方で脚を溜めています。

4コーナーから直線入り口です、トロワゼトワルが先頭で入ってくるところ、ディメンシオンがそれに続きアマルフィーコーストが1頭分外にいました。ダノンファンタジーがアマルフィーコーストを捕らえに行くところで、1頭分外を回しています。リバティハイツも手応え良く上がってきましたが、ダノンファンタジーのさらに外、シゲルピンクダイヤが大外から直線に入ってきます。

1着のサウンドキアラは最内をロスなく回して、ディメンションの後ろからスムーズに直線に入ってきました。ダノンファンタジーがアマルフィコーストの外に出してくれたことで、1頭分スペースが空いていたのも良かったと思います。2着に入ったスカーレットカラーは後方で動かず、逆にシャドウディーヴァとサトノガーネットが、外からシゲルピンクダイヤに続いて上がってきました。馬群の中にいたブランノワールは動かず、ビーチサンバもサウンドキアラの後ろで動きませんでした。

直線L2標識付近です、トロワゼトワルがまだ先頭で頑張っているところ、ディメンシオンが外に出してこれを追いかけます。アマルフィコーストが減速を始めたところで、サウンドキアラがディメンシオンとアマルフィコーストの間を割って伸びようとします。ダノンファンタジーはここから全く伸びずにジリジリと流れ込むのが精一杯でした。3、4コーナーで大外を回してしまったシゲルピンクダイヤ、シャドウディーヴァ、サトノガーネットはこの辺りで苦しくなります。

最内をロスなく回したビーチサンバですが、サウンドキアラの加速についていけずやや置かれてしまいました、ブランノワールも前がやや狭くなったこともあり、豊騎手が積極的に追っていませんでした。2着に入るスカーレットカラーはこの位置でもまだ仕掛けを我慢して、メジェールスーの後ろあたりを追走していました。好走したスカーレットカラーと、シゲルピンクダイヤ、シャドウディーヴァ、サトノガーネットの差は、３、4コーナーで無理をしたかどうかだと思います。

直線L1標識付近です、トロワゼトワルにディメンシオンがが並びかけ、サウンドキアラが抜け出すところです。ビーチサンバがこれに続くような形でしたが、ここから伸びずに4着でした。ダノンファンタジーもここから伸びずに5着で、前のディメンシオンを捉えることができませんでした。スカーレットカラーがリバティハイツとプールビルの間を強引にこじ開けるように抜けてきて、一気に伸びて2着まで持ってきました、貯めれば爆発的な足を使うことは府中牝馬ステークスで見せていたので、その再現のような追い込みを見せてきました。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はサウンドキアラ、スタートよく終始最内をロスなく回して、直線でもスムーズに抜け出すことができました。阪神はL3、L2が下りなので瞬発力は見せていませんが、11.0のラップは踏んでいるはずで、トップスピードの質と持続力の高さを十分に見せました。松山騎手が非常に上手く乗ったと思います。全頭評価の段階では使い詰めの不安がありましたが、母系にアグネスデジタルがいる血統なので、間隔をあけつつ使っていくことには問題がないようです。昨年0.7差7着だったヴィクトリアマイルへ向かうはずで、今の人馬ならばかなり期待できそうです。

2着はスカーレットカラー、終始最後方からロスなく進め、直線でもギリギリまで仕掛けを待っていました。結果的にサウンドキアラは捕らえられませんでしたが、阪神コースであることを考えれば非常に上手く乗ったと思います。昨年の府中牝馬ステークスで見せたように、貯めることで非常に高いトップスピードの質、持続力、瞬発力を見せる馬なので、エリザベス女王杯のように中段に上がってしまうと良さが活きないと思います。おそらくヴィクトリアマイルを目指すはずで、府中牝馬ステークスを勝っていることからもさらなる上積みが期待できると思います。今回は馬体重がプラス16キロとかなり不安な仕上がりでしたが、これでも上がり最速で33.4を叩き出してくるので、この馬に関しては馬体重はあまり気にしなくても良いかもしれません。

3着がディメンシオン、京成杯AHの再現のようなレースになり展開が非常に良かったと思います。もちろんスタートよく出して行ったことが、この展開につながったので前走なぜだして行かなかったのか不思議でなりません。休み明け2走目でもあり好走条件が揃っていましたが、近走の成績と騎手不安で印を回すことができずとても残念です。

4着はビーチサンバ、スタート自体は五分に出ていますが、出たなりで中段で折り合ってしまい、トップスピードの質で実見劣ってしまいました。L3からL2で1着のサウンドキアラにやや引き離されているので、瞬発力でも見劣ったと思います。スタートは五分に出ているので逃げたり先行したりした時に、激走する可能性が高いと思います。

5着がダノンファンタジーでした、休み明けで馬体重がプラス22キロとかなり太め残しだったと思います。ただ一つ収穫がありました、馬群の外を追走しましたが掛かる素振りを見せませんでした。闘志がなくなってしまい掛からなかったとしたら良くないことだと思いますが、精神的に成長したことで折り合いがつくようになったとすれば、今後は枠順や展開にも幅が出てくると思います。

ブランノワールは8着でした、序盤はやや掛かる仕草を見せていて、最後の直線ではやや狭くなった感じで豊騎手も積極的には追っていませんでした。シャドウディーヴァは12着でした、懸念した輸送の影響だと思います。シゲルピンクダイヤは終始外を回してかなりロスの大きな競馬になってしまい、直線入り口ではいっぱいになっていました。それでも負けすぎの感じもあるので、古馬になっての成長があまりないのかもしれません。

馬券の方は本命は当たるも、3着に入ったディメンシオンを無印にしてしまい外れてしまいました。