2020年有馬記念 回顧。スローで力どおりの決着。


走破時計2:35.0    前半1000m62.2  62.2-60.7ハイペースバランス

良馬場  含水率 ゴール前 9.6%  4コーナー 10.1%(5:30)

クッション値 9.8 標準(7:00)


まずは馬場状態ですが良馬場でした。12RのハッピーエンドCが2勝クラスの1200mで1:09.7、上り3F最速が35.3ですから良馬場とは思えない重い馬場でした。有馬記念も走破時計が昨年よりも4.5秒遅く、上がり最速はサラキアの35.4に対して、リスグラシューは34.7ですから昨年よりも馬場は重かったはずです。ただ昨年とのタイム差程馬場は重くはなかったはず、8RのグッドラックハンデCの走破時計が2:35.7、昨年は2:34.0ですから1.7秒程遅かったことになりますね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は昨年の有馬記念、緑は昨年のメイン集団のラップです。

まず昨年ですがアエロリットが1頭で飛ばしたラップです、Aの地点ではアエロリットとメイ集団には差がありませんでした。なので前半ホームストレッチの半ばあたりまでは、メイン集団も同じラップだったはずです。B地点ではアエロリットとメイン集団に約1.3秒の差がありましたが、昨年のメイン集団はこれでも今年のラップ程緩んではいないはずです。昨年のメイン集団の1000m通過は目視手動計測ですが59.8くらい、今年は62.2ですからね~、昨年のメイン集団よりも2.4秒も遅いペースでした。

今年のラップを見てください、L5から一気にペースが上がっていますが、実は昨年のアエロリットのラップに届いていないんですね、この区間は緩い下りですし、L6が12.8というかなり遅いラップを踏んでいるので、1.0秒の加速をしていますが、ここでは消耗していないと思います。その証拠にL4で一旦緩んだ後にL2へ向けて加速していきます。前半があまりに遅かったために、距離適性に不安があった馬も持ってしまった。逆に長距離適性のある馬にとっては消耗戦にならずに、届かなかったということでしょう。それがワールドプレミアですね。サラキアが2着に来たのは、前半が遅過ぎて距離適性が誤魔化せたうえに、スローからのロンスパという得意パターンになったからですね。

逃げたのはバビット、2番手にオーソリティ、内にブラストワンピース。中段の前からオセアグレイト、クレッシェンドラブ、中段やや前からワールドプレミア、カレンブーケドール、フィエールマン。中段からペルシアンナイト、ラヴズオンリーユー、ラッキーライラック。中段やや後ろからクロノジェネシス、中段の後ろからサラキア。後方からユーキャンスマイル、キセキ、モズベッロという並びでした。

スタートでキセキが遅れました、これでバビットの内田騎手はスローペースに落とします。結果的にこのペースはバビットにとっては良くなかったですね。スタートを決めたオーソリティとブラストワンピースが2,3番手でした、オーソリティは前走もスタート良かったので予想通りでしたが、ブラストワンピースの好スタートと先行は予想外。スタート五分だったのがクロノジェネシスとフィエールマンで、この2頭はポジションが大きく異なりました。フィエールマンはリカバリーしてスタンド前では中段のやや前、クロノジェネシスは控えて中段のやや後ろでした。この2頭は終始外を回していて、結構距離ロスがあったはずです。

カレンブーケドールは中段のやや前、ラッキーライラック、ワールドプレミア、ラヴズオンリーユー、ペルシアンナイトは中段でした。ワールドプレミアはもう少し後ろかと思いましたが、前が遅いので自然と中段に取り付いてしまった感じでした。ペルシアンナイトは掛かっていましたからね、それくらいペースが遅かったでしょうね。

向う正面です、バビットが逃げているところ、フィエールマンが外から中段の前まで上がります。これにカレンブーケドールが続き、ワールドプレミアも内からジワっと上がります。ラッキーライラックとラヴズオンリーユーはステイ、クロノジェネシスはこの後、3コーナーに近づいてからジワっと上がって行きます。これにキセキが続いて上がりましたが、サラキアはステイでした。

4コーナーです、バビットが逃げていますがフィエールマンが並びかけます。ブラストワンピースは3コーナーで一杯、心室細動だったそうで後退していきます。オーソリティもこの辺りで苦しくなって追走一杯、オセアグレイトも追走一杯でした。外からクロノジェネシスが上がり、いつの間にやらキセキが中段まで上がってきていました。この地点で手応えが良かったのは、フィエールマンとクロノジェネシスでした。カレンブーケドールはかなり手が動いていましたから苦しかったんでしょうね。直線入り口の地点では先頭からサラキアまでは5馬身位ありました。

直線L1標識付近です、フィエールマンが先頭に立ってクロノジェネシスが並びます、一杯になったカレンブーケドールにラッキーライラックが並びかけ、外からサラキアが伸びてきます。ワールドプレミアはカレンブーケドールとラッキーライラックの間ですね、ワールドプレミアが差を詰めてきたのは坂に入ってからでした。坂区間に入ってフィエールマンが減速、この減速率で上回ったのがクロノジェネシス、さらに上回ったのがサラキアでした。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はクロノジェネシス、パワーと持続力でねじ伏せてきました。これは前半が遅かったからで、距離が持ったんでしょうね。宝塚記念でも実質重馬場で圧勝していますから、こういう重い馬場はドンピシャ。驚いたのがL5から12秒前後のラップを連発する流れで、L6付近から上がっていったので、自身はL5から11.6-12.0-11.8くらいのラップを踏んでいるはずです。この馬場で11秒台後半を連発する能力は現役随一でしょうね、AT値が異様に高いのだと思います。天皇賞(秋)で出遅れがなかったら、アーモンドアイを撃破していたかもしれませんね。

2着はサラキア、前半スローからの後半ロンスパ、この馬の得意パターンでしたね。小倉日経OP、府中牝馬S、エリザベス女王杯と同じパターンで好走、更にここでも同じパターンに持ち込んで好走してきました、これは松山騎手がこの馬の特性をしっかり調べたのか、北村友騎手から伝授されたのか。それくらい完璧な騎乗でしたね。この馬の場合はL5までステイでした、キセキに行かれて焦らなかったことが好走の要因ですね。

3着はフィエールマン、積極的な騎乗でさすがルメール騎手ですね。外目の枠でしたしスタートも速い方ではないので、どんな競馬をするかと思いましたが、ルメール騎手の選択はスローと見てジワジワと上がって行きました、3コーナーでは先頭に並ぶ勢いで、直線早々に先頭に立って押し切り狙いでしたが、坂が・・・。距離は問題ない事が分かっていますから、失速の原因は坂ですね。今後も平坦コース、もしくは府中で狙いた馬ですね。来年は天皇賞(春)が阪神なので不安がありますね。

4着はラッキーライラック、勝ちに行ってないなという印象で、福永騎手らしい騎乗でしたね。ルメール騎手のように早目に動くわけでもなく、北村友騎手のように捲るでもなく、直線勝負に行って流れ込むだけ。ロンスパ戦になってしまったので、この馬の好走パターンではなかったのですが、それでも4着ですから立派な引退レースだったと思います。

5着タイはカレンブーケドール、距離不安はありませんでしたが、4コーナーで手応えが怪しくなり直線では一杯になりました。それでも5着には粘っているので距離ではなく、疲労ではないでしょうか。ロンスパは得意ですし、坂には若干不安がありましたが、坂の前で手応えが悪くなったので、秋3戦目で見えない疲労があったのではないでしょうか。

5着タイのもう1頭がワールドプレミア、豊騎手にはしては消極的な競馬に見えましたね、昨年と違ってスローでしたし、内に入っていたので動けなかったんだと思います。ここまで前半がスローではスタミナ勝負に持ち込めませんから、この馬の展開にならなかったんだと思います。

期待したオーソリティは14着でした、馬体重が発表された時に嫌な予感はしました。前走が骨折明けでプラス12㎏ですから、てっきり絞ってくると思ったらまさかのプラス2㎏、返し馬でも舌を出しているのを見て諦めました。木村厩舎は1流厩舎ではないので、こういう勝負所でメイチの仕上げが出来ない感じですね。

馬券の方はカレンブーケドールも5着でハズレ、来年に大きな宿題が残りました。