2020年フェブラリーS 全頭評価。その1。

<アルクトス>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は高くはなく、持続力は高い。

”2018年錦秋S”ではややスローバランスを逃げて1着、前半がかなりスローだったが後半も上がらなかったので、トップスピードの質が低い。”2019年ポルックスS”ではスローバランスを逃げて6着、2着争いの1角に入っているので距離ではなく、ペースが問題だったはず、もう少し引き上げて心肺機能を生かす展開にしないとトップスピードで見劣ってしまう。”2019年オアシスS”ではハイペースバランスを中段のやや前から、直線はスムースに加速して1着、ハイペースバランスで持続力が生きた。”2019年欅S”では平均バランスを中段の前から、L2で前のドリームキラリとの差を詰めて瞬発力を見せ、L1持続力を生かして僅差の勝利、ドリームキラリが59㎏で2kgも軽かったので高評価ではないが、3着以下は離している。”2019年プロキオンS”では稍重でハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー最内を回して直線スムースにバテ差し1着。

「フェブラリーSへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:クラス負けの危険、休み明け。

2019年欅SのL2でまぁまぁの瞬発力を見せた、レースのL2が11.7でこれは逃げたドリームキラリのもの、これを⒉馬身詰めたので恐らくは11.4から11.5くらいのはず、この地点は上り坂なので0.2~0.3と言えども高評価だと思う。上がり3Fが35.5も悪くはないが、重賞になるともっと強烈な上がりを使う馬がゴロゴロいるので、武器になる程ではないと思うし、2018年錦秋Sでも上がり3F35.5なので展開に拘わらずこの辺りがスピードの限界なのかな。

スピードの限界を露呈したのが2019年ポルックスSでスローバランスにしてしまい、後半型のテーオーエナジーに圧倒されてしまった。テーオーエナジーはスローバランスだとチューワウィザードにも圧勝する程の馬なので仕方ないんだけど、こういう馬に対してスローバランスにしてあげる騎乗がいただけないんだよね。心肺機能の高さを見せたのが2019年プロキオンSで超ハイペースバランスを中段の前で進めて、3,4コーナー上手く最内に入れてコースロスなく、直線バテ差し1着だった、持続力の高さも見せたことでこの馬の特性がはっきりしたと思う。

好材料はコース適性で、オアシスSを勝ち切っている。ただこの時は3㎏重いドリームキラリが2着なのでレースレベルは評価できない。悪材料はクラス負けの危険で中央のGⅠは初挑戦、オアシスSを勝ち切っていてコース適性は良いが、この時の上り3Fは36.3だった、昨年のフェブラリーSではインティが逃げて35.4だし、差してきたゴールドドリームは34.8、ユラノトは35.5だから余程ハイペースバランスにならないと苦しいと思う。休み明けは好走実績があり前走の盛岡マイルCSで2着、オアシスSで1着だがいずれもレースレベルが低いので好走できてしまった可能性もある。この馬は非ノーザンF生産馬だし、休み明けには不安を持っておいた方が良いと思う。

<インティ>・心肺機能は高く、パワーもある、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は低くはなく、持続力は高い。

”2018年京都1000万条件”ではハイペースバランスを逃げて圧勝、直線は大差。”2018年観月橋S”では平均バランスを2番手から、3コーナーから馬なりで上がって直線は大差で圧勝。”2019年東海S”ではややスローバランスを逃げて圧勝、この時の2着がチュウワウィザードでタイムは前年のチャンピオンズCよりも0.3秒速い。”2019年フェブラリーSでは平均バランスを逃げて1着、3F戦に持ち込みL2最速戦で出し抜いてしまった。”2019年みやこS”ではハイペースバランスを逃げ争いで掛かってしまい3番手から、3,4コーナーでは手応えが怪しくなり直線入り口で狭くなって大敗。”2019年チャンピオンズC”ではややスローバランスを逃げて3着、前半掛かったテーオーエナジーに絡まれてしまったことでゴール前で垂れてしまった感じ。”2020年東海S(京都)”ではややスローバランスを中段やや前から、終始外を回して直線スムースだったが3着まで。

「フェブラリーSへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:特になし。

初戦の未勝利戦こそ9着に敗れたが、その後は準OPをあっさり通過してGⅡの東海Sまで連勝、その勢いでGⅠのフェブラリーSまで勝ち切ってGⅠ馬にまで駆け上がってしまった。逃げ・先行で圧倒的なパフォーマンスを見せるが、自分のペースを乱された時に脆さを見せる。それが2019年かしわ記念で3コーナーでオールブラッシュに捲られそうになって、仕掛が早くなってしまったためにゴールドドリームに差されてしまった。2019年帝王賞でも前に馬が居たことで前半掛かってしまった感じだし、2019年みやこSでも逃げ争いに巻き込まれる形で折り合いを欠いた、直線狭くなったが3,4コーナーではすでに手応えが無かった。

条件戦では多少掛かっても力が違い過ぎて圧勝してきたが、東海Sでは自分のリズムで逃げてチュウワウィザードと2馬身差だったし、フェブラリーSも自分のペースで逃げてゴールドドリームとクビ差、一線級相手に頭一つ抜けている程ではないという事だと思う。この馬の意外な武器が瞬発力で、特に東海SのL2で見せた0.8秒の加速は大きな武器、フェブラリーSでもL2の登りで0.2の加速をして勝負を決めてしまった。平均からスローで流れた時の瞬発力は、そこで勝負を決めてしまうほど大きな武器になっている。2019年チャンピオンズCではスローバランスを逃げて3着、前半テーオーエナジーに絡まれたために前半800m48.7と速かったのは事実、それでもスローバランスということは後半もしっかりと纏めた心肺機能と持続力を見せている。

豊騎手が競馬を教えている感じのレースになったのが2020年東海Sで、この年は京都で開催された。逃げ争いを見る形で中段の前から進め折り合いを付けていた。終始外を回して直線スムースだったが3着まで、ヴェンジェンスにはトップスピードの質で見劣ったが、中段の前から進めてレースを出来たのは大きい。この時はスローバランスで後半ジリジリ加速していくラップ、L2でいつもの瞬発力を見せられなかったのは、右回りの影響も考えられる。

好材料はコース適性で昨年のこのレース1着、2019年東海SやチャンピオンズCを見ても左回りの方が良いと思う。悪材料は特になく昨年も休み明け4走目で勝ち切っているので不安はない。

<キングズガード>・心肺機能は低い、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”2016年武蔵野S”ではややハイペースバランスを中段から、直線スムースだったがジリジリまでで4着、トップスピードの質はまぁまぁ。”2017年根岸S”ではハイペースバランスを後方から、直線スムースだったが4着まで、トップスピードの質でカフジテイク、エイシンバッケンに見劣り。”2017年フェブラリーS”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、直線スムースだったが伸びずに凡走。”2017年みやこS”ではハイペースバランスを後方から、4コーナーで馬群に取り付き直線外から伸びたが3着まで。”2017年チャンピオンズC”では平均バランスを最後方から、4コーナー最内を回して馬群に取り付いて直線内からスムースだったが8着まで。”2018年フェブラリーS”ではハイペースバランスを最後方から、直線前が壁になって追い出しが遅れて6着まで。”2019年シリウスS”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナーで外から捲り追い込みに行ったが5着まで。”2019年みやこS”ではハイペースバランスを後方から、4コーナーから捲り追い込みに行って2着。”2019年チャンピオンズC”ではややスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースにバテ差して5着。”2020年東海S(京都)”ではややスローバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが届かず5着。

「フェブラリーSへ向けて」好材料:・・・。 悪材料:クラス負けの危険。

ゴールドドリームと一緒に走ることが多く比較するとトップスピードの質、瞬発力で見劣ってしまう。2016年武蔵野S、2017年フェブラリーS、2017年チャンピオンズCで同じような位置から直線に入りトップスピードの質で見劣り。2018年フェブラリーSで直線前が壁になったこともあり、瞬発力で見劣っている。持続力の高さは2019年みやこSで見せているので、ハイペースバランスでトップスピードの質を問われない展開になれば台頭する。2019年チャンピオンズCでは後方から進めて、直線入り口ではヴェンジェンスにトップスピードの質で見劣ったが持続力で上回りバテ差し5着まで、ただこのクラスではこれ以上の着は望めない印象も与えてしまった。2020年東海S(京都)でも後方から進めて届かず、上がり35.7で最速だったがこのレベルでは届かない。

好材料はなく、悪材料はクラス負けの危険でこのクラスでは届かない可能性が高い。トップスピードの質は高いがどうしても後方からになり届かない、特にGⅠでは苦しくなる。