2020年阪神牝馬S 全頭評価。その2。

<シゲルピンクダイヤ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高いバテ差し型。

”未勝利戦”ではややスローバランスを中段から、直線は馬群に包まれるもバテ差しで1着。”チューリップ賞”ではスローバランスを後方から、直線では進路変更をしながらバテ差して2着。””桜花賞”ではスローバランスを後方から、直線は空いたインコースを上手く突いて2着、トップスピードの質は見せた。”オークス”では平均バランスを中段から、L3で一杯になり凡走、距離の問題。”ローズS”ではスローバランスを3,4番手先行、L1標識付近で先頭のビーチサンバに並びかけたが、そこから垂れて4着、1F長い。”秋華賞”では稍重でハイペースバランスを後方から、直線は外からスムースにバテ差して3着。”2019年ターコイズS”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー外目を回して直線スムースに抜け出し3着、外目を回した分だけロスが大きく中段から出足も溜まらなかった。”2020年京都牝馬S”では重馬場でスローバランスを中段のやや後ろから、終始外を回して直線もスムースだったが伸びずに凡走、この時が休み明け。

「阪神牝馬Sへ向けて」好材料:コース適性、騎手強化。 悪材料:なし。

現状ではスローバランスからの追い込みを得意としていて、新馬戦でハイペースバランスを3着だったように、前半速くなると良くない。桜花賞でもスローバランスからロンスパになってのバテ差し、上り32.7とかなり鋭い差し足を使ってクロノジェネシスを撃破したが、直線のコース取りがドハマりした部分も考慮した方が良い。この馬はダイワメジャー産駒で距離は短い方が良いはず、特に牝馬は早熟傾向があって距離適正が早目に出る感じがしています。一夏越したローズSで先行したが距離が長かったこともあり4着まで、ただ先行してもスローバランスなら勝負できるところは見せたので、レースの幅は広がった感じ。

驚いたのが秋華賞で3着に入ったことで、2000mは長いと思ったが稍重でハイペースバランスを後方で溜めたために克服した感じ。この時は自身ややスローバランスになるくらいの位置で進めて、直線バテ差す格好だった。自身の上り3Fが35.6とかなり遅いが上がり最速、それくらい中段より前に居た組には苦しい消耗戦になっていたんだと思う。展開的にはドハマりと言って良いと思うので距離適正はマイルベストを変えないつもり。2019年ターコイズSではハイペースバランスを中段から進めていたので、心肺機能はまぁまぁだが3着までだったことから後方で足を溜めた方が良いはず。恐らくトップスピードの質に影響が出てしまったんだと思う、持続力には問題はない事を見せたのでハイペースバランスならば中途半端な位置よりも、先行か後方からの極端な位置取りの方が合いそう。この馬は非ノーザンF生産なので休み明けは良くない、2020年京都牝馬Sで凡走していてこの時が2か月半、2019年ターコイズSでは2カ月の間隔開けで3着なのでこの辺りが好走できる境目だと思う。

好材料はコース適性でチューリップ賞、桜花賞で2着に好走している。スローから末脚を生かして追い込んでいるので、展開が嵌った感もあるが力は見せている。今回は和田騎手が騎乗停止でミルコへ乗り替わり、能力比較では圧倒的に差があるし、ミルコは大阪杯でらしい騎乗を見せて1着と調子も上げてきた感じで、この乗り替りは大幅なプラス材料。悪材料は特にないが、前走2カ月強の間隔を空けていたとはいえ、スローバランスで伸びなかったのは印象悪い、重馬場も影響した可能性があるので、そこまで心配しなくてもいいと思うが。

<シャドウディーヴァ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力もまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。

・前向き過ぎるところがあって、馬群の外だと掛かる。

”11月未勝利戦”ではスローバランスを中段から、直線は詰ったが馬群を割って伸びる、ドスローからのトップスピード戦になり瞬発力とトップスピードの高さを見せた。”フリージア賞”ではスローバランスを馬群の外で進めて掛かり気味、直線もバランスを崩しながらで伸びきれず3着、中盤迄掛かっていた。”フラワーC”ではスローバランスを中段の後ろから、最内を進めて折り合えたが直線は4着まで。”フローラS”ではスローバランスを中段の最内から、直線は詰ってL1でバテ差しハナ差2着、ここでもやや掛かり気味、詰まってから馬群を割る闘志は見せた。”オークス”では平均バランスを中段の最内から、直線はジリジリまで、疲労の影響かも。”ローズS”ではスローバランスを中段の前から、直線全く反応なく凡走、初輸送の影響だと思う。”秋華賞”では平均バランスを中段から、稍重で消耗戦になりバテ差し4着、直線入り口で狭くなり一瞬待たされているので、スムースだったら・・・。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを後方から、直線スムースだったが届かず、この時が休み明け3走目。”2019年常総S”では平均バランスをやや離れた追走集団の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースににけだし押し切り。”2020年東京新聞杯”では平均バランスをやや離れた追走集団の中段やや後ろから、終始最内を回して直線スムースに伸びて2着まで。

「阪神牝馬Sへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:輸送。

馬群割る闘志や瞬発力の高さなど、ハーツクライ産駒らしからぬ馬でヌーヴォレコルトに近い感じかな。フローラSでは内枠から中段の最内を進めたが、それでもやや掛かり気味だったので気持ちが前向き過ぎる感じ。直線詰まってしまい普通のハーツ産駒ならここでレースは終わるはず、ところがここから馬群を割って一気に伸びた、もちろんL1は11.5とバテ差しの形だが自身は11.2くらいは出ているはずで、持続力を発揮している。オークスでは平均バランスを中段やや前からレースをして、まずまずの結果だったので、心肺機能はまずまずのものを持っていると思う。フローラSからもトップスピードの質が高いとまでは言えないと思う、瞬発力はまぁまぁの物を持っているが、スムースに持続力を生かした方が良いと思う。

ローズSは初輸送、初右回りでレースにならなかったが、本番の秋華賞では栗東滞在でしっかり調整してきた。中段から進めたが直線入り口で狭くなり一瞬待たされてしまった、松山騎手の弱い部分が出てしまった感じ。前が空いてからの伸びは良かったのでスムースなら2,3着はあったと思う。2019年エリザベス女王杯では後方から凡走、休み明け3走目で疲労の影響が疑われる。2019年常総Sでは平均バランスを離れた追走集団の前からなので、自身はややスローくらいだと思うのでややロンスパと考えて良いと思う、これを3,4コーナー早目に捲り追い込みで押し切っている、その上L2最速戦で11.5だからまぁまぁのトップスピードの質を見せた。ただ直線入り口で手前を替えたタイミングだと思うが、体がやや左に流れているので右回りにはやや不安がある。

この馬はノーザンF生産馬だがどうも休み明けがピリッとしない、フリージア賞では1番人気に支持されながら3着、道中掛かっていたし直線もバランスを崩していた。同じコースで行われたフローラSとは別馬のようだった。ローズSは休み明けだけでなく、初輸送の影響もあったと思う。疲労の影響が顕著に出たのが2019年エリザベス女王杯で全く良いところなく凡走、間隔空けず出走した常総Sを勝ち切っていることを考えると、肉体的な疲労よりも精神的な疲労の影響が大きいと思われる。2020年東京新聞杯では中段後ろからで最内を回りコースロスなく、直線は内から前がポッカリ空いてスムースに伸びたが2着まで、左回りで非常にスムースだったし2カ月の間隔空けでフレッシュだった。

好材料は距離適性で前走東京新聞杯でも牡馬相手に2着に好走した、1着プリモシーンだし3着に下したクリノガウディ―は高松宮記念で1着に入線している。悪材料は輸送で、この馬は輸送で調子を崩す傾向がある、ローズSが輸送で凡走したが、秋華賞では栗東滞在で4着、この時は直線狭くなってのものなので好走と言っていいはず。エリ女は休み明け3走目の疲労だと思うので、度外視していいと思う。現状ではいつ輸送をしているのか不明なので、この点は確認してください。

<スカーレットカラー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまあまあ、持続力はある。

”未勝利戦”では平均バランスを中段の後ろから、L4から押し上げて直線外から差し切り、パワーと持続力を見せた、2着はシャルルマーニュなのでまぁまぁの評価。”アルテミスS”では平均バランスを掛かり気味に中段のやや前から、直線L2ですぐ前に居たラッキーライラックに引き離されたまま流れ込んで5着、トップスピードの低さを見せた。”フェアリーS”ではスローバランスを中段から、L4過ぎから大外を回すロスの大きいコース取で2着まで、すぐ前に居たプリモシーンにはL1まで先頭列で並んでいたので、持続力勝負なら互角の印象。”チューリップ賞”ではスローバランスを離れた追走集団の最後方から、トップスピードの質で見劣り凡走。”桜花賞”では平均バランスを中段から、終始馬群に包まれてしまい凡走、瞬発力低さを見せた。”ローズS”ではスローバランスを中段の後ろから、L2で前が壁になり挟まれる不利を受けて凡走。”2018年逆瀬川S”ではスローバランスを中段やや後ろから、L2まで追い出さず狭くもなって4着まで。”2019年愛知杯”ではスローバランスを中段から、直線はやや挟まれてスムースさを欠き凡走。”2019年関門橋S”ではスローバランスを中段の後ろから、向正面で2,3番手に上がり直線粘ったが4着まで、L3まで12秒台のラップを踏む展開を待ってしまった。”2019年パールS”ではスローバランスをやや離れた2,3番手追走から、L4から11秒台に入るロンスパで1着。”2019年マーメイドS”ではハイペースバランスを中段のやや後ろから、L2で前が壁になりトップスピードまで乗らなかった感じで3着まで、まぁまぁの心肺機能は見せた。”2019年クイーンS”ではスローバランスを中段やや後ろから、終始最内を回してL2過ぎからまぁまぁの瞬発力とトップスピードの質を見せて2着まで、L2ですぐ後ろに居たサトノガーネットには瞬発力が上回っていた。”2019年府中牝馬”では稍重表記だが高速馬場、ややスローバランスを後方から、直線スムースに伸びて差し切り、まぁまぁのトップスピードの質と高い持続力を見せた。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを中段やや前から、直線は外から出伸びなかった、プラス14㎏で仕上げ切れなかった感じ。”2019年有馬記念”では離れた追走集団の中段やや前から、3コーナーで一杯になり凡走、この時がマイナス12㎏。

「阪神牝馬Sへ向けて」好材料:・・・。 悪材料:・・・。

心肺機能、持続力、パワーは高いのでパールSみたいな展開がベストだと思う。この時はスローバランスをやや離れた2,3番手からで、L4から11秒台のラップだった。やや離れて追走していたのでL4は11秒台の前半に入っていた可能性はある、これをL1でも11.6までしか落としていないし、2着のクィーンズベスト、4着のゴージャスランチを相手にもしなかったから展開が合えば重賞でも通用するはず。実際2歳時だけどフェアリーSでプリモシーンの2着がある馬で、この時も3,4コーナーで大外を回すコースロスがあったからね。

その後もトップスピードがまぁまぁレベル馬(スカーレットカラーのことね)を後方からレースをさせて凡走の山を築き、ローズS、逆瀬川S、愛知杯と不利を受ける。関門橋Sでは前半のドスローを生かして2番手まで上がるが、なぜかL2最速戦に付き合い4着とチグハグな競馬だった。パールSでは良い競馬をしたと思ったら、マーメイドSでは中段から直線も前が壁になり3着まで、L1が12.8まで落としているので直線入り口で前が壁にならなければ、勝っていた可能性は高いと思う。継続騎乗の岩田騎手だっただけにパールSが偶々だったと思うとガッカリな結果。意外なトップスピードの質と瞬発力見せたのが2019年クイーンSで、中段から鋭い末脚で2着まで持ってきた、ただスローバランスを終始最内を通して、直線も馬群が開いてスムースだったことが大きいので、馬群を割って伸びるほどの闘志はないと思う。

2019年府中牝馬Sが稍重表記だが実は高速馬場といういつもの府中で、スローバランスを最後方から溜めに溜めて直線勝負で爆発させてきた。ヴィクトワールピサの産駒らしい伸びで、同じ産駒のジュエラーみたいな感じですね。この感じからもとにかく溜めて直線スムースにコースを取れば、トップスピードを持続する能力が非常に高いと思う。2019年エリザベス女王杯はドスローを中段やや前からとポジションは良かったが、プラス14㎏と仕上げ切れなかった感じ。2019年有馬記念では離れた追走集団の中段やや前からで自身ややハイペースバランスくらい、終始最内でロスなく乗ったが3コーナーで一杯になり凡走した、この時は―12㎏で2走続けて馬体重が二桁変化している、これでは体調がイマイチというほかない。また追走集団の中段やや前というポジションで、この馬自身もややハイペースバランスだった為に脚も溜まらなかった。

好材料は見つけにくく、クラス負けの不安が無いこと、2,3歳時だがマイルで好走歴があることくらいか。府中牝馬Sを休み明けで勝っているし、パールSを勝った時も休み明けだったので、ノースヒルズの馬だが休み明けは苦にしない。悪材料は特になしなんだけど、有馬記念の負け方があまりにも酷く、この反動や消耗が回復しているのかどうか。府中牝馬S1着の実績からある程度人気になると思うが、好材料も悪材料もハッキリしない感じで、あっさり勝っても凡走しても驚けない。