2020年京都記念 回顧。ステイフーリッシュは先頭に立ちたくない病かも。


走破時計 2:16.4  前半1000m 61.1  上り3F 36.9

まずは馬場状態ですが、想定通り重馬場でした。9Rのこぶし賞が3歳1勝クラスのマイル戦で1:38.9とかなり時計がかかっていました。京都記念でも2:16.4と2200mの重賞であることを考えればかなり時計はかかっています。勝ったクロノジェネシスの上がり3Fは35.8なので、 馬場の外側はそこまで悪くなかった感じです。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

このラップはアメリカズカップが離して逃げたためにあまり参考にはならないのですが、ステイフーリッシュの1000m通過は63.0くらいです、実は昨年の京都記念の1000m通過が63.3なので、ステイフーリッシュの位置では昨年よりも更に速かったことになります。 昨年のステイフーリッシュの1000m通過がおおよそ64秒0くらいです。今年は重馬場で昨年は良馬場であったことを考えると、昨年がいかにスローペースだったか分かりますね。

L4から徐々にペースアップしていきますがもちろんこれはアメリカズカップのラップです、L4ではステイフーリッシュとの間隔が5馬身ぐらいに詰まったので、ステイフーリッシュのL3からのラップは11.9-11.9-12.9くらいだと思います。クロノジェネシスのラップはさらに速く11.9-11.7-12.3くらいでしょうか。同じようにクロノジェネシスを追いかけて追い詰めることはできなかったカレンブーケドールですが、こちらもL3からのラップはクロノジェネシスと同じくらいで、この両馬の重馬場適性の高さを見せつけることになりました。

逃げたのはアメリカズカップでした、ステイフーリッシュが2番手でそのやや後ろからドレッドノータス、外にクロノジェネシス、ガンコが終始外から。 アルメリアブルーム、ノーブルマーズが中段からで、後方からカレンブーケドール、プリンスオブペスカという並びでした。

スタートでドレッドノータスが遅れてしまい、想定していた矢作厩舎の連携が崩れてしまいました、馬群がバラけたことでドレッドノータスはリカバリーしてステイフーリッシュの後ろまで上がりましたが、前に出ることはなかったので最初から連携する予定はなかったのかもしれません。もしくはスタートがすんなり決まっていれば、ドレッドノータス-ステイフーリッシュという並びでレースをするつもりだったのか、この辺りは矢作調教師にしか分からない部分です。ただドレッドノータスの通ったコースはかなり内目を回していたので、重馬場で内が悪いことを考えるとこのコース取りはいただけません。 

アメリカズカップは後続に2秒近い差をつけて単独で逃げていました、昨年も和田騎手はタイムフライヤーで後続をやや離して逃げていました、来年もこのことを覚えておいた方がいいと思います。行き足が良くなかったのがガンコ、プリンスオブペスカで、この2頭は4コーナーで早々と脱落してしまいました。

カレンブーケドールは中段勢を見る後方から進めて、終始外目を回っていました。直線で馬場の悪い内へ入ることを嫌がったためだと思うので、さすがに津村騎手もこの辺りは考えてきたなと思いました、もしくは国枝調教師の入れ知恵かもしれません。クロノジェネシスは全く掛かることがありませんでした 、良馬場のオークスやエリザベス女王杯で掛かっていたことを考えれば、今回のペースで掛からなかったのは重馬場が要因だと思います。秋華賞でも折り合いがついていたので道悪になれば掛かる危険は下がると考えてよいでしょう。

ノーブルマーズの位置取りには正直かなり落胆しました、スタートが良かっただけに中段やや後ろからになってしまうとこの馬の良さがでません、特に今回はクロノジェネシスよりも後ろにいるというのは、相手関係を考えればありえないポジションで、この辺りがシュタルケ騎手の成績が上がらない要因なのではないでしょうか。

 

4コーナーから直線入り口です、アメリカズカップとステイフーリッシュの間隔が5馬身ぐらいに詰まってきたところです。この時点でクロノジェネシスがステイフーリッシュに早くも並びかけています、その直後にカレンブーケドールが続き、ノーブルマーズは動き出しでこの3頭からやや離されました。ここでもドレッドノータスがなぜか内目を通していたのは気になりました、 今日のレースを見ていれば内よりも外の方が伸びるのは明らかにもかかわらず、外へ行く素振りを見せませんでした。アルメリアブルームのフォーリー騎手も同じように内へ行っているのでこの二人については非常に印象が悪いです。

直線L2標識付近です、アメリカズカップのリードがほぼなくなり、ステイフーリッシュとクロノジェネシスが並んで交わしにかかります、これにカレンブーケドールとノーブルマーズが続きます。ドレッドノータスとガンコが一杯になり下がっていくところ、内からアルメリアブルームがジリジリと伸びてきます。 

直線L1標識付近です、クロノジェネシスがステイフーリッシュを振り切り一気に差を広げます、これはクロノジェネシスが加速しているのではなくステイフーリッシュがかなり落としているためにこのように見えました。カレンブーケドールとクロノジェネシスの上がり3Fはほぼ同じなので、上位3頭の中ではステイフーリッシュだけが大きく落としてしまったことになります。前走もL1でブラストワンピースに一気に交わされているように、どうもステイフーリッシュは先頭に立ってしまうとフワフワしてしまう、もしくは先頭に立ちたくないという気性なのかもしれません。

クロノジェネシスとカレンブーケドールについては能力的には互角と見て良いと思います、オークスではカレンブーケドールが先着し秋華賞ではクロノジェネシスが先着しています、条件次第でこの2頭は着順を入れ替えると思いますが体調が万全であれば、そう大きく離れてゴールすることはないと思います。クロノジェネシスについては気性の問題で力を出し切れない場合があると思います、カレンブーケドールについては休み明けではピリッとしない所があるので、今回のように休み明けで調教もゆるい時には凡走の危険まであると思います。今回カレンブーケドールが2着に好走できた理由としては、もともと持っている能力がこのメンバーでは上位だったことと、重馬場でトップスピードの質などが問われなかったことも大きいのではないでしょうか。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はクロノジェネシス、スタートを決めてすんなりと中段の外目を追走しました、重馬場だったことで掛かることもなくしっかりと折り合い、直線もスムースに加速して圧勝してしまいました。ノーザンF生産馬なので休み明けでも好走するのは秋華賞で見せていたので、予想通りの結果になりました。エリザベス女王杯を見ると良馬場でスローペースになった時にか掛かってしまうので、距離適性は2400mくらいまでは持つのではないでしょうか。 この馬に関しては3歳時から能力の高さを見せていたので、今回改めて言及することは特にありません、今後も折り合いがつく条件であれば高いパフォーマンスを安定して発揮すると思います。

2着はカレンブーケドール、序盤から後方に位置して家に閉じ込められない位置取りをしてきました、このあたりは少頭数だったために出来たことで多頭数の内枠になってしまった時に同じことができるかどうかは未知数です。この馬は社台F生産馬で休み明けはピリッとしないところがあるのですが、今回はトップスピードの質を問われない重馬場だったために、心肺機能と持続力で2着に好走出来たのだと思います。引き続き休み明けでは割引たい馬です。

3着はステイフーリッシュ、ドレッドノータスがスタート出遅れてしまったために追走集団の先頭で逃げる形になりました、前半がかなり遅く自身は4F戦に持ち込んだはずですが、最後にカレンブーケドールにも交わされてしまったあたりは善戦マンの印象が拭えません。今後も条件に関わらず好走すれども勝ち切れずというレースが続きそうです。

4着はノーブルマーズ、序盤の位置取りにはかなり落胆しました、特にクロノジェネシスよりも後ろの位置から進めるというのは非常に良くない位置取りだったと思います。 この辺りがシュタルケ騎手のイマイチな理由なのでしょう、ただノーブルマーズ自身はこのメンバーの中で4着というのは、悪くない結果で一時の不調からは完全に脱したと思います。今後もトップスピードの質や瞬発力を問われない展開であれば、好走するチャンスがあると思います。

5着がアルメリアブルーム、無類の重馬場巧者であることを考えるとこの5着は残念な結果です、4コーナーから直線で内目に進路を取ってしまったことが伸びなかった原因だと思うので、フォーリー騎手に対する評価はかなり悪いです。今回のレースが引退レースになる予定らしいので、無事に引退できたことは良かったと思います。

8着になったドレッドノータスですが、やはり休み明けは走らないことがはっきりしました、加えて今回は内目に進路を取ってしまったことも多少影響はあったと思いますが、今後も休み明けは割引たい馬です。アメリカズカップも休み明けはよくないのでこの辺りは予想通り、ガンコも休み明けが良くない馬なので今後に期待したいと思います。プリンスオブペスカについてはこのクラスではやや苦しいのではないでしょうか。

馬券の方は的中しましたが三連複、三連単ともにトリガミでした。まあ的中しただけよかったと思います。