2019年エプソムC 回顧。トップスピード戦。

走破時計 1:49.1   800m 51.3   上り3F 32.9

馬場状態は稍重でした、ただ上り3Fのタイムを見てもらえば分かるとうりで、一般的な稍重のイメージではないですよね。これ何が起こっているかというと、芝の種類に関係があると思っています。エクイターフという芝で、この芝は洋芝よりも根が密に生えることで、馬の蹄で踏まれたり蹴り上げられても傷まない芝です。根が密に生えているので雨が降っても、緩まないんだと思います、この特性を騎手が理解していないのでしょう。雨が降ってきたことで騎手の意識が他場の稍重と同じ感覚になり、こういうペースになってしまう。

これと同じことが昨年ありました、ヴィクトリアMです、直前の雨で稍重表記になりアエロリットの戸崎騎手がペースを落としてしまいました、しかし走破時計は1:32.3、勝ったジュールポレールの上り3Fは33.3、2着のリスグラシューは32.9ですからね~。騎手がこの芝の特性を理解するまではこういうレースが続くでしょうね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は10Rの江ノ島特別1600mのグラフです、途中切れているのは距離の補正です、見にくくてすみません。

10Rの時点で小雨が降っていたので馬場は大きく変化はしていないはず、前半のペースが大きく違うのは一目瞭然です。結局三浦騎手が馬場を理解していないのと、ダノンキングダムの特性を理解できていないために、遅いと分かっていながらハナを叩かなかったという事ですね。三浦騎手の想像通りの馬場ならハクサンルドルフが好走しているはずですが、下位に沈んでいますからね~、L1が11.1であるように全く消耗しない馬場状態だったわけです。

アップクォークが大きく後れて最後方から、先頭は押し出されるようにサラキアが逃げました、2番手にレイエンダ、外からダノンキングダムが3番手でストーンウェア、ソーグリッタリング、アンノールトが続いてカラビナが外から。プロディガルサンがじわっと中段に取り付き、ブレスジャーニー、ショウナンバッハ、ハクサンルドルフはこの後ショウナンバッハの前まで上がります。ミッキスワローが居てアップクォークという並びでした。

サラキアは押し出されるように逃げ体勢に入りドスローに落としました、これに対して他馬はこのペースを容認してしまいましたね、もちろんプロディガルサンやミッキースワローのようなタイプは、このペースに注文を付けに行くわけにはいかないので待機していました。ダノンキングダムの三浦騎手がこのペースを容認したのは、馬場、馬両方に対する理解不足でしょうね。

レイエンダがスタートを決めたのは驚きで、スローペースをしっかり折り合えたことは収穫ですね、もちろん今後のレースでこんなドスローはないでしょうから、良馬場でも同じことができるかは未知数ですが。それにしてもルメール騎手が持っているとしか言えないレース展開ですね、普段スタートが悪い馬が偶々出て、雨で騎手の意識が重い馬場の方に影響されてドスローになるなんて…。

直線入り口です、ここでブレスジャーニーがインコースを突いてポジションを上げます、他の馬達は大きく外に膨らんだので一気にポジションを挽回しました、ブレスジャーニーは5着に残っているように、内の馬場が極端に悪かったわけではないんですよね、この辺りも騎手の馬場読みの精度がモロに出ていますね。ダノンキングダムは大外を回されて大きな距離ロス、ミッキースワローもこのコース取では苦しいですね。

直線L2付近です、ブレスジャーニーが先頭に並びかけますが、ここからサラキアとレイエンダが伸びてきます、これは内外の差と言うよりトップスピードの差が出た感じですね。プロディガルサンの伸びがイマイチだったのは坂の影響だと思います、L1標識の手前でサラキア・レイエンダに一気に離されたので、全頭評価で書いた通りパワーはやや低いのかな~、特に今回坂の途中から追い出していたので余計にパワーが要求されてしまいましたね、この辺りはレーン騎手の判断ミスでしょう。

ソーグリッタリングが外から伸びてきました、直線スムースになって持続力が生きましたね。ここでレイエンダが差し切ったのはトップスピードの高さと持続力の高さでしょう、2走前の東京新聞杯で8着ながら上がり3F32.8の1番時計を記録しています、この時は最後方からになったのでこの上りが使えた、今回は先行しながら超スローペースで前半楽をしたことでこの上りが使えたんですね。なのでレイエンダはおそらく心肺機能は低いはずで、良馬場の平均バランスになってしまうと凡走すると思います。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はレイエンダ、ルメール騎手が乗る時に限ってどうして、雨が降ってペースがドスローになってゲートも偶々うまく出るなんてことになるんでしょうね。東京新聞杯でトップスピードと持続力の高さは見せていますが、あれは最後方からでレースに参加していないために出せたタイムですからね~、それをここで再現してくるとは思いませんでした。再現してくるというか、再現するお膳立てをしてもらえたってことでしょうね。これで重賞ウィナーですが良馬場で本命を打つのは・・・、いくらルメール騎手が乗っても躊躇しますね。

2着はサラキア、トップスピードの質、持続力を考えれば直線スムースなら当然の結果ですね。負けたのは目標にされた分でこの2着は立派でした。能力評価通りの結果で、加えるなら逃げても折り合えるというのは今後に向けて大きな武器になる、良馬場でペースが遅ければ自分で動けるわけで、レースの幅が広がったと思います。

3着がソーグリッタリング、レース前に懸念した内に詰まる不安は、雨でバラケタことで無くなりましたね。54㎏のサラキアを捉えきれないのは仕方ないし、前に居たレイエンダ56㎏に上がり1番時計を使われては捉えるのは困難。このペースでも折り合いが付いたことは良かったし、上がり勝負にも対応できたのは良かったと思います。

4着はショウナンバッハ、56㎏なのでどうしても届かないんですよね~、展開的に54㎏でも届いたかどうかだけど、良く走ったと思います。展開的にトップスピードと持続力だけが問われる展開になると56㎏でも侮れませんね。

5着はブレスジャーニー、内から一じわっと伸びて先頭に並びかけたが、トップスピードの質で若干見劣ったかな~。内を突いた判断は良かったと思うし、こういう展開なので得意のバテ差しにはならなかったのは、この馬には不向きだった。それでも勝負は出来ているので復活もあるかも。

6着はプロディガルサン、レーン騎手が溜めてしまったのは馬場読みの失敗でしょうね、府中での経験不足が出てしまった感じだし、この馬で道中動いて行けというのは酷だと思うので、今回は目を瞑りましょう。ただL2まで追い出しを我慢してしまったのはいただけない、レーン騎手はしっかりとトップスピードに乗せる騎手なので、溜めるイメージが無かったけど、雨の影響で消耗戦になると踏んだのかも。早目に追い出してL1で失速することを恐れたのかな~、それも府中の稍重に対する経験不足が原因かな。

馬券の方はプロディガルサンが6着と外れでした。