2021年阪神牝馬S 回顧。高速馬場でスピード能力が試された。

走破時計1:32.0    800m通過47.1スローバランス    上り3F33.2   

まずは馬場状態ですが良馬場、それも高速馬場でかなり軽い状態でした。上り3F32秒台が出ていますし、10Rの難波Sでは3着のコマノインパルスが31.9ですから、トップスピードの質が低い馬には苦しい馬場でした。コース全周に渡って軽い状態になっているようで、1400mベストのプールヴィルが僅差の4着になったくらいでした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

予想通りのスローバランスで中緩みが出来ていますね、こうなるとトップスピードの質で勝負が決まりますから、逃げたイベリスには苦しかったですね。同じく出遅れてしまったリアアメリアも伸びてきませんでした。デゼルとマジックキャッスルがトップスピードの質を生かしてワンツー、ドナウデルタはトップスピードの質では、デゼルとマジックキャッスルには劣りますが、先行したことで持続力を生かせましたね。

逃げたのはイベリス、2番手にエーポス、3番手にドナウデルタ。中段の前からギルデッドミラー、メイショウグロッケ、中段からブランノワール、プールヴィル。中段やや後ろからマジックキャッスル、デゼル、中段の後ろからリアアメリア、ロフティフレーズ、後方からメジェールスーという並びでした。

逃げたのはイベリスでしたが、予想通りスローバランスで中緩みが出来ていました。酒井騎手らしい騎乗で分かり易くていいです。エーポスが2番手でした、1年ぶりのレースでしたが5着なので、しっかりと仕上げてきましたね。スタート五分のドナウデルタが3番手で先行、馬場を考えるとこの位置取りは好判断でした。同じくスタート五分だったギルデッドミラーは中段の前でしたが、掛かってしまい自滅でしたね。

中段やや後ろになったのがデゼルとマジックキャッスル、この2頭は面白い動きをしましたね、マジックキャッスルはスタート五分に出て下げて行きました、逆にデゼルはスタートがやや遅くリカバリーしてポジションを上げていきました。どちらかと言うとデゼルのスタートが今後の不安になりますね。スタートのタイミングが合わなかったのがリアアメリア、ゲートが開く前に出ていこうとして、一旦戻った時にゲートが開いてしまった感じ、ちょっと運がなかったですね。

4コーナーです、イベリスが中緩みを作ったために、デゼルは前を射程圏に入れています。その内にマジックキャッスルが居て、間にリアアメリアを挟んでロフティフレーズ。リアアメリアは直線入り口でスムースに外に出せませんでしたね、この辺りは福永騎手らしい部分ですが、右回りの不安も出た感じですね。ドナウデルタは内でスムースでした。

直線L2標識付近です、イベリスが粘っていてここまでのL3区間が10.7、下り坂区間でイベリスでもこのくらいのラップは出してきましたね。エーポスも粘っていてドナウデルタは前が壁になっていました。その後ろのブランノワールも待たされていますね。デゼルとマジックキャッスルは流れの中でスムース、リアアメリアは外にロフティフレースが居てスムースではありませんでした。

直線L1標識付近です、ここでイベリスの内にドナウデルタが入り抜け出します、ブランノワールとギルデッドミラーの間を突いたのがマジックキャッスルで、L1の坂で一気に差を詰めてきました。外からスムースだったのがデゼルでトップスピードの質と持続力を見せてきましたね。デゼルもL1標識ではイベリスから4馬身程差がありましたが、L1の坂で一気に伸びてきて、というか減速率が小さかったことで差し切り。デゼルはパワーも見せましたね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はデゼル、スタートがイマイチでリカバリーして中段のやや後ろから、中緩みで取り付いて外からスムースでした。前を捉えたのはL1、それもゴール直前でしたが、L3から10.7ですから下り坂で前が止まりませんでしたね。上り3F32.5なのでトップスピードの質と持続力、パワーも見せました。

2着はマジックキャッスル、この馬も直線L2標識付近ではデゼルと並んでいました、トップスピードの質ではやや見劣りましたが、持続力とパワーは互角、狭いところに入ってしまったので、この2着は高評価で良いと思います。ただデゼルよりも後ろからだと先着は出来ないでしょうね。

3着はドナウデルタ、近2走は後方からで凡走していましたから、先行して良さを見せましたね。馬場も合っていたようで軽い高速馬場の方が良さそうですし、マイルも合っていました。内が空いた幸運もあったので、額面通りには受け取れませんが、先行出来れば今後も成績が安定しそう。

4着はプールヴィル、1400mベストだと思うので、この馬が僅差の4着に残っているということは馬場が相当軽かったはず。トップスピードの質では見劣りましたが、持続力は生かせたと思います。前に行ってペースを引き上げていたら、3着以内もあったかもしれませんね。

5着はエーポス、1年ぶりのレースで先行して5着は立派ですね、フィリーズレビュー1着なので、マイルはちょっと長いかと思いましたが、軽い高速馬場で距離適性を誤魔化せた感じ。これで目途は付いたと思うので、今後が楽しみですね。

ギルデッドミラーは7着でした、終始掛かりっぱなしでレースにならず、前走の京都牝馬Sと比べて前半の600mが1秒以上遅いので、スローバランスで折り合えませんでしたね。リアアメリアはスタートのタイミングが合わず、それだけでなく直線の伸びの無さを見るとやはり右回りはマイナスでしょうか。

馬券の方は馬連だけ、1,2番人気で決まってしまったのでトリガミでした。