2020年NHKマイルC 全頭評価。その5。

<ラインベック>・心肺機能はやや低く、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力はまぁまぁ。

”新馬戦”ではスローバランスを稍重でやや離れた追走集団の先頭から、直線スムースに抜け出し1着、持続力の高さを見せた。”中京2歳S”では重馬場でややスローバランスを中段から、4コーナー外を回して直線外からスムースに抜け出して1着、L1が12.5まで落しているので持続力はまぁまぁ。”東スポ杯2歳S”ではスローバランスを中段のやや前から、終始最内を回したが直線はトップスピードの質で見劣り3着まで。”2019年ホープフルS”では平均バランスを2番手先行、3,4コーナー最内を回したが3コーナーでやや離されてからL1バテ差しで4着。”若駒S”では平均バランスをやや離れた追走集団の前から、3,4コーナー最内を回して直線スムースだったが伸びずに3着まで。”皐月賞”ではハイペースバランスをやや離れた追走集団の中段やや前から、3,4コーナー中目を回して直線伸びずに凡走。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:距離適正、コース適正。 悪材料:特になし。

新馬戦では稍重でかなりのスローバランスだった、これをやや離れた2番手から折り合って直線はスムースに抜け出し1着、持続力は高いものを見せたがキレッキレのトップスピードの質を持っているかは不明。中京2歳Sも道悪で重馬場だったが新馬戦よりは流れていて1.1秒のスローバランス、これを中段で折り合って4コーナー外から押し切った、L1が12.5まで落していて前半からある程度流れてしまった時は持続力が落ちる感じ。東スポ杯2歳Sでは良馬場でスローバランス、この時はハッキリとトップスピードの質で見劣った、1着コントレイルだけでなく2着アルジャンナにも後ろから差されてしまった。この時は休み明けだったがこの馬はノーザンF生産馬なので休み明けは問題ないはず、にもかかわら9馬身差の3着は印象が悪い。

2019年ホープフルSでは平均バランスを2番手先行で心肺機能は見せたが、3コーナーでやや離されてしまいスピード負けしてしまった感がある。L1ではバテ差しで4着まで盛り返しているので、距離は長い方が良いと思う。若駒Sでは平均バランスをやや離れた追走集団の先頭から、自身ややスローくらいのはず、これで直線伸びなかったので心肺機能は高くない。皐月賞でもハイペースバランスを中段やや前で自身平均バランスくらいのはず、これで直線全く伸びないので心肺機能の問題だと思ったが、距離の可能性も出てきた。

好材料は距離適性で東スポ杯2歳Sでは1.5秒差の3着だが、実はL1標識付近では2着のアルジャンナからさほど遅れていない。皐月賞でもL2標識付近までは手応えがあったし、新馬戦、中京2歳Sでマイル戦を勝っている。コース適性は東スポ杯の2着、中京2歳S1着があるので問題ないはず。悪材料は特になく、岩田康騎手がケガで騎乗できなくなったことで津村騎手に乗り替わり、実績的には大きく見劣る騎手なので悪材料には違いないが、昨年はカレンブーケドールでGⅠを多く経験したので成長に期待したい。この馬は母系がアパパネでデュピティーミニスターとボールドルーラーを内包している、この血統構成は府中マイルで好相性のフレンチデピュティと一緒なので、血統的にも期待が持てる。

<ラウダシオン>・心肺機能は高い、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は不明、持続力は高い。

”新馬戦”ではハイペースバランスを3番手先行、3,4コーナー外を回して直線押し切り。”小倉2歳S”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外から直線も外から伸びて3着。”もみじS”ではややハイペースバランスを中段から、直線外から差し切り1着。”2019年朝日杯FS”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが凡走、トップスピードの質で見劣り。”クロッカスS”ではスローバランスを逃げ切り。”ファルコンS”では重馬場でハイペースバランスを離れた追走集団の中段の前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが差されて2着。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:距離適性、クラス負けの危険。

新馬戦ではハイペースバランスを先行して3、4コーナー外を回しながら直線差し切ったので心肺機能の高さを見せているし、持続力もまあまあのものを見せた。小倉2歳ステークスが重馬場でハイペースバランスを後方から進め、3、4コーナーで外を回して直線も外から伸びて3着まで、重馬場でのトップスピードの質を見せたがこれを良馬場で出せるかどうかは不明。この時の2着がトリプルエースで後方から同じ位置で直線に入ったが、トリプルエースは3、4コーナーで中目を回した分だけ、距離ロスがなかったので同じコースを通っていた場合はもっと差がなかったと思う。もみじSでは中段からの差し切り1着だったが、この時も不良馬場だったので良馬場でのトップスピードの質は未知数。2019年朝日杯FSではかなりのハイペースバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線に入ったが、外から2着タイセイビジョンにあっさり交わされているので、トップスピードの質で見劣った。

トップスピードの質で見劣ったのはファルコンSでも同じで、この時は重馬場だったが馬場は軽く1:21.3の決着、シャインガーネットに差されているので、トップスピードの質を問われると脆い。この時はハイペースバランスだったが、離れた追走集団の中段の前からで、自身は平均かややスローだったはずなので、怖がらずにガンガン先行してしまった方が良さそう。

好材料はコース適性で、クロッカスSを逃げ切っているので好相性。悪材料は距離適性でマイルは朝日杯FSで凡走した、1400mで良さを見せているので1F長いと思う。朝日杯FSで全く勝負にならなかったので、この距離も含めてここではクラス負けの危険が大きい。

<ルフトシュトローム>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは高い、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”新馬戦”では稍重でスローバランスを2、3番手先行、3,4コーナー中目を回して直線スムースに抜け出し圧勝。”3歳1勝クラス”ではややスローバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに抜け出し圧勝。”ニュージーランドT”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースに差し切り。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:距離適性。騎手強化。 悪材料:初コース。

<心肺機能について>ニュージーランドTでハイペースバランスを中段の後ろからだが、自身も平均バランスには入っていたはず、これを3,4コーナーで外を回して力でねじ伏せてしまったので、心肺機能はまぁまぁの物を見せた。

<パワーについて>新馬戦から中山を3連勝している、坂を苦にする様子もなくパワーは豊富な感じ。

<瞬発力について>3歳1勝クラスではややスローバランスだったが、L2で0.5の加速をして勝負を決めているので、まぁまぁの瞬発力を見せた。

<トップスピードの質について>現状では11秒台前半のラップタイムを見せているので、低くはないが高いとも言い切れない。府中で見てみないと現状ではまぁまぁとしか言えない。

<持続力について>ニュージーランドTのL1が11.8で差し切り、3,4コーナー大外を回すロスの多い競馬だったがしっかり差し切っているので、持続力は非常に高いと思う。

<その他について>ニュージーランドTの直線入り口で、ウィングレイテストを外に弾き飛ばしている、高い闘志を見せたので馬群に怯むことはないはず。

好材料は距離適性でマイルは3連勝、特に前走ではハイペースバランスを中段の後ろで自身も平均くらいのはず、これで3,4コーナー大外を回して差し切っているので、心肺機能も高いはずだし持続力も高く、GⅡを勝っているのでクラス負けの危険もない。騎手はレーン君に乗り替わり、大きな好材料で期待は膨らむ。何しろ堀厩舎の馬に乗ると複勝率0.846と6勝2着3回3着2回着外2回なので、凡走する確率は低いんだよね~。悪材料は初めて左回りになるのでそこが不安、輸送もないので大きな不安はないが。

<レシステンシア>・心肺機能は高く、パワーは不明、瞬発力は不明。

・トップスピードの質はやや低い、持続力は高い。

”新馬戦”ではややハイペースバランスを3番手で先行、3,4コーナー中目を回して直線は外目から伸びて1着。”ファンタジーS”ではハイペースバランスを2番手先行、3,4コーナー中目を回して直線はスムースに伸びて1着、心肺機能、持続力の高さを見せた。”2019年阪神JF”ではハイペースバランスを逃げて圧勝、レコードタイムで5馬身差、心肺機能と持続力の高さを見せた。”チューリップ賞”ではややスローバランスを逃げて3着、トップスピードの質で見劣り。”桜花賞”では重馬場でハイペースバランスを2番手先行、直線粘ったが2着まで。

「NHKマイルCへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:前走の疲労、初輸送。

新馬戦では豊騎手が探りながらという感じだったが、それでもややハイペースバランスを先行してしっかり勝ち切った、直線ではズブイ感じも出ていたがやや重であることを考えればタイムも悪くない。ファンタジーSが良い内容で、逃げ争い気味に先行して2,3番手から、直線では1馬身差で勝ち切っているので心肺機能と持続力の高さを見せた。この時は逃げ争いを嫌ったヤマカツマーメイドが、中段の前まで下げたにもかかわらずゴール前では流れ込むだけだったので、終始先頭近くにいたこの馬の持続力の高さが目立った。2019年阪神JFではハイペースバランスを逃げて圧勝、レコードタイムで5馬身差を付けて心肺機能と持続力の高さを見せつけた。チューリップ賞ではなぜかややスローバランスにしてしまい3着、着差は僅差だったがこの馬以外は休み明けの非ノーザンF生産馬だったことからも、かなり印象が悪い。本番の桜花賞へ向けて試したのか、騎手がペース認識を出来ないのか不明だが後者の場合は今後も不安が残る。桜花賞では重馬場でハイペースバランスを2番手先行、デアリングタクトには差されたが、しっかりと2着を確保して心肺機能と持続力、パワーの高さを見せた。

好材料は距離適性で当然マイルは好相性、桜花賞では重馬場に泣かされたが良馬場なら巻き返す可能性はある。悪材料は前走の疲労で、重馬場を前半46.5で先行しての2着は疲労が心配になるレースだった。更に今回は初輸送、この辺りに1流厩舎でない不安が如実に出ている。実は3年前のNHKマイルCで1番人気のカラクレナイが17着に凡走している、この馬も松下厩舎の所属で初輸送、牝馬で前走が桜花賞僅差負けというところも一緒。3歳春のビッグレースはオークスにしろNHKマイルCにしろ、東京で行われることは事前に分かっている、にもかかわらず事前に輸送を経験させないのは厩舎力の無さだと思う。