2020年クイーンS 全頭評価 その3。

赤いアンダーラインは加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、赤いアンダーラインの部分だけお読みください。

<シャドウディーヴァ>

・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力もまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。

・前向き過ぎるところがあって、馬群の外だと掛かる。

”11月未勝利戦”ではスローバランスを中段から、直線は詰ったが馬群を割って伸びる、ドスローからのトップスピード戦になり瞬発力とトップスピードの高さを見せた。”フリージア賞”ではスローバランスを馬群の外で進めて掛かり気味、直線もバランスを崩しながらで伸びきれず3着、中盤迄掛かっていた。”フラワーC”ではスローバランスを中段の後ろから、最内を進めて折り合えたが直線は4着まで。”フローラS”ではスローバランスを中段の最内から、直線は詰ってL1でバテ差しハナ差2着、ここでもやや掛かり気味、詰まってから馬群を割る闘志は見せた。”オークス”では平均バランスを中段の最内から、直線はジリジリまで、疲労の影響かも。”ローズS”ではスローバランスを中段の前から、直線全く反応なく凡走、初輸送の影響だと思う。”秋華賞”では平均バランスを中段から、稍重で消耗戦になりバテ差し4着、直線入り口で狭くなり一瞬待たされているので、スムースだったら・・・。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを後方から、直線スムースだったが届かず、この時が休み明け3走目。”2019年常総S”では平均バランスをやや離れた追走集団の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースににけだし押し切り。”2020年東京新聞杯”では平均バランスをやや離れた追走集団の中段やや後ろから、終始最内を回して直線スムースに伸びて2着まで。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線伸びずに凡走。”2020年ヴィクトリアMではややスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年エプソムCでは不良馬場でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。

「クイーンSへ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:クラス負けの危険、右回り。

馬群割る闘志や瞬発力の高さなど、ハーツクライ産駒らしからぬ馬でヌーヴォレコルトに近い感じかな。フローラSでは内枠から中段の最内を進めたが、それでもやや掛かり気味だったので気持ちが前向き過ぎる感じ。直線詰まってしまい普通のハーツ産駒ならここでレースは終わるはず、ところがここから馬群を割って一気に伸びた、もちろんL1は11.5とバテ差しの形だが自身は11.2くらいは出ているはずで、持続力を発揮している。オークスでは平均バランスを中段やや前からレースをして、まずまずの結果だったので、心肺機能はまずまずのものを持っていると思う。フローラSからもトップスピードの質が高いとまでは言えないと思う、瞬発力はまぁまぁの物を持っているが、スムースに持続力を生かした方が良いと思う。

ローズSは初輸送、初右回りでレースにならなかったが、本番の秋華賞では栗東滞在でしっかり調整してきた。中段から進めたが直線入り口で狭くなり一瞬待たされてしまった、松山騎手の弱い部分が出てしまった感じ。前が空いてからの伸びは良かったのでスムースなら2,3着はあったと思う。2019年エリザベス女王杯では後方から凡走、休み明け3走目で疲労の影響が疑われる。2019年常総Sでは平均バランスを離れた追走集団の前からなので、自身はややスローくらいだと思うのでややロンスパと考えて良いと思う、これを3,4コーナー早目に捲り追い込みで押し切っている、その上L2最速戦で11.5だからまぁまぁのトップスピードの質を見せた。ただ直線入り口で手前を替えたタイミングだと思うが、体がやや左に流れているので右回りにはやや不安がある。2020年阪神牝馬Sでは中段の後ろから進めて凡走、この時は輸送の影響があった感じ。2020年ヴィクトリアMでは中段の後ろから、前残りのレースで出番なし。ただし似たような位置から進めたプリモシーンも8着なので、東京新聞杯と着差は同じような物、これを考えるとこの2頭の現状は同じような能力の可能性があり、東京新聞杯のその他の馬を見ると、大したメンバーではない。3着クリノガウディ―はマイルがやや長かった可能性があるし、サトノアーサーも骨折休養明け以降ピリッとしない、ダービー卿CTを勝ったクルーガーも8歳のキンカメ産駒で、相手関係を見ると疑問が出てくる。現段階で結論は出ないがあまり高い評価は禁物だと思う。2020年エプソムCでは不良馬場でハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外を回して全く伸びず、クラス負けの危険が露呈したと思う。

この馬はノーザンF生産馬だがどうも休み明けがピリッとしない、フリージア賞では1番人気に支持されながら3着、道中掛かっていたし直線もバランスを崩していた。同じコースで行われたフローラSとは別馬のようだった。ローズSは休み明けだけでなく、初輸送の影響もあったと思う。疲労の影響が顕著に出たのが2019年エリザベス女王杯で全く良いところなく凡走、間隔空けず出走した常総Sを勝ち切っていることを考えると、肉体的な疲労よりも精神的な疲労の影響が大きいと思われる。2020年東京新聞杯では中段後ろからで最内を回りコースロスなく、直線は内から前がポッカリ空いてスムースに伸びたが2着まで、左回りで非常にスムースだったし2カ月の間隔空けでフレッシュだった。輸送も懸念材料で、阪神牝馬Sでは2度目の輸送競馬だったが凡走した、輸送になれる可能性もああったが淡い期待だったようで、今後は関西圏のレースでは滞在競馬で買い、輸送では見送りで良いと思う。

好材料は距離適性で、条件戦だが常総Sを右回りの1800mで1着、2000mのフローラSもタイム差無しの2着なので、距離適性は高いはず。悪材料はクラス負けの危険で、古馬になって東京新聞杯こそ2着に好走しているが、この時の相手関係はかなり楽だったし得意の左回りだった。その後は遠征の阪神牝馬Sを大敗、得意の東京でヴィクトリアMでも10着と調子が落ちている感じ。エプソムCは不良馬場に言い訳を求められるが、滞在競馬で復活できるかどうか・・・。

<スカーレットカラー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまあまあ、持続力はある。

”未勝利戦”では平均バランスを中段の後ろから、L4から押し上げて直線外から差し切り、パワーと持続力を見せた、2着はシャルルマーニュなのでまぁまぁの評価。”アルテミスS”では平均バランスを掛かり気味に中段のやや前から、直線L2ですぐ前に居たラッキーライラックに引き離されたまま流れ込んで5着、トップスピードの低さを見せた。”フェアリーS”ではスローバランスを中段から、L4過ぎから大外を回すロスの大きいコース取で2着まで、すぐ前に居たプリモシーンにはL1まで先頭列で並んでいたので、持続力勝負なら互角の印象。”チューリップ賞”ではスローバランスを離れた追走集団の最後方から、トップスピードの質で見劣り凡走。”桜花賞”では平均バランスを中段から、終始馬群に包まれてしまい凡走、瞬発力低さを見せた。”ローズS”ではスローバランスを中段の後ろから、L2で前が壁になり挟まれる不利を受けて凡走。”2018年逆瀬川S”ではスローバランスを中段やや後ろから、L2まで追い出さず狭くもなって4着まで。”2019年愛知杯”ではスローバランスを中段から、直線はやや挟まれてスムースさを欠き凡走。”2019年関門橋S”ではスローバランスを中段の後ろから、向正面で2,3番手に上がり直線粘ったが4着まで、L3まで12秒台のラップを踏む展開を待ってしまった。”2019年パールS”ではスローバランスをやや離れた2,3番手追走から、L4から11秒台に入るロンスパで1着。”2019年マーメイドS”ではハイペースバランスを中段のやや後ろから、L2で前が壁になりトップスピードまで乗らなかった感じで3着まで、まぁまぁの心肺機能は見せた。”2019年クイーンS”ではスローバランスを中段やや後ろから、終始最内を回してL2過ぎからまぁまぁの瞬発力とトップスピードの質を見せて2着まで、L2ですぐ後ろに居たサトノガーネットには瞬発力が上回っていた。”2019年府中牝馬”では稍重表記だが高速馬場、ややスローバランスを後方から、直線スムースに伸びて差し切り、まぁまぁのトップスピードの質と高い持続力を見せた。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを中段やや前から、直線は外から出伸びなかった、プラス14㎏で仕上げ切れなかった感じ。”2019年有馬記念”では離れた追走集団の中段やや前から、3コーナーで一杯になり凡走、この時がマイナス12㎏。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線こじ開けて2着まで。”2020年ヴィクトリアMではややスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。

「クイーンSへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:仕上げ不安、後方から届くかどうか。

心肺機能、持続力、パワーは高いのでパールSみたいな展開がベストだと思う。この時はスローバランスをやや離れた2,3番手からで、L4から11秒台のラップだった。やや離れて追走していたのでL4は11秒台の前半に入っていた可能性はある、これをL1でも11.6までしか落としていないし、2着のクィーンズベスト、4着のゴージャスランチを相手にもしなかったから展開が合えば重賞でも通用するはず。実際2歳時だけどフェアリーSでプリモシーンの2着がある馬で、この時も3,4コーナーで大外を回すコースロスがあったからね。

その後もトップスピードがまぁまぁレベル馬(スカーレットカラーのことね)を後方からレースをさせて凡走の山を築き、ローズS、逆瀬川S、愛知杯と不利を受ける。関門橋Sでは前半のドスローを生かして2番手まで上がるが、なぜかL2最速戦に付き合い4着とチグハグな競馬だった。パールSでは良い競馬をしたと思ったら、マーメイドSでは中段から直線も前が壁になり3着まで、L1が12.8まで落としているので直線入り口で前が壁にならなければ、勝っていた可能性は高いと思う。継続騎乗の岩田騎手だっただけにパールSが偶々だったと思うとガッカリな結果。意外なトップスピードの質と瞬発力見せたのが2019年クイーンSで、中段から鋭い末脚で2着まで持ってきた、ただスローバランスを終始最内を通して、直線も馬群が開いてスムースだったことが大きいので、馬群を割って伸びるほどの闘志はないと思う。

2019年府中牝馬Sが稍重表記だが実は高速馬場といういつもの府中で、スローバランスを最後方から溜めに溜めて直線勝負で爆発させてきた。ヴィクトワールピサの産駒らしい伸びで、同じ産駒のジュエラーみたいな感じですね。この感じからもとにかく溜めて直線スムースにコースを取れば、トップスピードを持続する能力が非常に高いと思う。2019年エリザベス女王杯はドスローを中段やや前からとポジションは良かったが、プラス14㎏と仕上げ切れなかった感じ。2019年有馬記念では離れた追走集団の中段やや前からで自身ややハイペースバランスくらい、終始最内でロスなく乗ったが3コーナーで一杯になり凡走した、この時は―12㎏で2走続けて馬体重が二桁変化している、これでは体調がイマイチというほかない。また追走集団の中段やや前というポジションで、この馬自身もややハイペースバランスだった為に脚も溜まらなかった。2020年阪神牝馬Sでは後方から進めてギリギリまで仕掛けを待ってから、直線狭いところをこじ開けて2着、馬群に怯まない闘志を見せただけでなく、仕掛けを遅らせて溜めた分を爆発させてきた。この時はプラス16㎏でまたもや二桁の馬体重増減、これで好走したので馬体重による判断がしにくい馬。2020年ヴィクトリアMでは中段の後ろから全く伸びずに凡走、今回はマイナス8㎏でこれが影響した可能性もある。この厩舎は3流厩舎なので本番では大幅に割り引いた方が良い。

好材料はコース適性で昨年のこのレース2着と好相性、距離適性も府中牝馬Sを勝っているので適性は高い。悪材料は仕上げ不安で、この厩舎は平気で二桁の馬体重増減をやってくる、それでも馬体重よりも展開の方が大事だと思うので、余程仕上げに失敗しない限り大きな不安はないと思う。問題は展開でヴィクトワールピサの産駒らしく、溜めて溜めて爆発させるような乗り方が合っている、中途半端な位置取りをするとエリザベス女王杯、有馬記念、ヴィクトリアMと凡走している。逆に後方で溜めるとマーメイドS、クイーンS、府中牝馬S,阪神牝馬Sと好走する、この事は岩田騎手なら分かっていると思うので、今回は後方から進める可能性が高く、届くかどうかの不安が出てくる。

<タガノアスワド>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力はまぁまぁ。

”フローラS”ではスローバランスを逃げて4着、前半やや掛かり気味でL2まで追い出しを待っている。”2019年西部スポニチ賞”ではスローバランスを逃げ切り、後半5F戦に持ち込み持続力を発揮した。”2019年レインボーS”ではややハイペースバランスを逃げて6着、L1で失速。”2020年寿S”ではハイペースバランスをやや離れた2番手から、3コーナーで先頭に立ち直線スムースだったがL2で一杯になり凡走。”2020年垂水S”ではハイペースバランスを逃げて凡走、休み明けでL1手前で一杯。”2020年マレーシアC(阪神)”では重馬場でハイペースバンスを逃げ切り、L1は13.8迄落としたが粘り切った。

「クイーンSへ向けて」好材料:コース適性、距離適性。 悪材料:クラス負けの危険。

<心肺機能について>マレーシアCでハイペースバランスを押し切っている、ただしこの時は重馬場でL1が13.8迄落としているので、心肺機能が高いとまでは言えないと思う。

<パワーについて>フローラSでL2の坂を苦にしていないので、パワーは十分ある。重馬場の阪神で好走できるので、問題はないはず。

<瞬発力について>フローラSでL2まで追い出しを待っているにもかかわらず、L2で出し抜けなかったので瞬発力は期待できない。

<トップスピードの質について>フローラSでもL2で11.2までで、ここで出し抜けるほどではないし、勝った西部スポニチ賞でも小倉で11.2迄なので、トップスピードの質で勝負するタイプではない。

<持続力について>フローラSでL2が11.2を出しているが、L1で一気に差されているので11秒台の前半を連発できるほどではなかった。西部スポニチ賞でもL1は12.1迄落しているので、まぁまぁの評価で良いと思う。

<その他について>非ノーザンF生産馬だからか、休み明けが良くないようで寿S,垂水Sと間隔を空けて凡走した。レインボーSの負け方を見ても2000mだと1F長い感じで、1800mがベストの可能性が高い。勝ったマレーシアCが重馬場だったが、ハイペースバランスを逃げてL2までは踏ん張っていたので、重馬場になると1800でも長い可能性がある。

好材料は条件戦を勝っているコース適性で、1:47.5とタイムもまずまず。距離適性は1800mベストと思われるので、好材料で良いと思う。今回は休み明け3走目なのも好材料で、十勝岳特別を勝った時が休み明け3走目だった。悪材料はクラス負けの危険で、初の古馬重賞なのでこのクラスで通用するかは未知数。