2020年宝塚記念 全頭評価。その2。

赤いアンダーラインは加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、赤いアンダーラインの部分だけお読みください。

<キセキ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は化け物レベル。

・休み明けはやや良くなく、使い減りしない。

”2018年毎日王冠”ではスローバランスを先行、L3最速戦を粘るも3着、この時が休み明け。”2018年天皇賞秋”ではスローバランスを逃げてL3最速戦で3着。”2018年ジャパンC”ではスローバランスを逃げてL3最速戦、中緩みを作らない厳しいペースにして2着、1着はアーモンドアイ、3着以下は圧倒している、この時が休み明け3走目。”2018年有馬記念”では平均バランスを逃げて5着、休み明け4走目になり出脚が悪く逃げ体勢を築くのに手間取っていた。”2019年大阪杯”ではスローバランスを2番手先行、直線で大きく外に寄れた分ロスになり2着まで、この時が休み明け。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを逃げて2着、1着のリスグラシューにマークされてL1で明確に垂れてしまった、この時が3カ月の休み明け。”2019年有馬記念”では離れた追走集団の後方から、3,4コーナー外目を回して5着まで、この時は海外帰りで2か月半の間隔空け。”2020年阪神大賞典”では超々ロンスパ戦を大きく出遅れ、直線息切れして凡走。”2020年天皇賞(春)”ではスローバランスを中段の前から、1周目スタンド前で先頭にたち3,4コーナー最内を回して直線スムースだったがL1で一杯凡走。

「宝塚記念へ向けて」好材料:レース適性。 悪材料:近走の不振。

2019年宝塚記念が3カ月弱の休み明けで2着、2019年大阪杯も休み明けで2着、2018年毎日王冠も3カ月の休み明けで3着とイマイチピリッとしない。2019年大阪杯で直線で大きく外に寄れたのが休み明けの影響なのか、それ以外の影響なのかははっきりしないが、2018年天皇賞(秋)や2018年ジャパンCでは見られなかったことなので、休み明けの可能性が高いと思う。この馬はノーザンF生産馬ではないので、外厩はどうしても弱い。なので、休み明けは良くないと思う。2019年大阪杯で体調万全なら負けないはずのアルアインに負けてしまったのは休み明けの影響でしょうね、次の2019年宝塚記念ではキセキも休み明けでしたが、アルアインも休み明けで今度はアルアインに先着しています。

この馬のいい面は持続力の異常さでこれはアーモンドアイを凌ぐほど、トップスピードも低くはないので、2018年天皇賞(秋)でアルアインを圧倒したのはこのため。2018年ジャパンCでもアーモンドアイには完敗したが、スワ―ヴリチャード以下はには完勝して持続力の高さを見せつけたし、トップスピードも十分の高さを見せた。高速馬場適正も見せているし、先行してしまえば持続力を発揮して安定した成績を残す。川田君もこの馬の特徴を完全に掴んでいるので、川田騎手で逃げ・先行なら不安はない馬ですね。2019年有馬記念では離れた追走集団の後方からで自身平均バランスくらい、出遅れてしまい中段の後ろまでリカバリーしたのはムーア騎手らしいポジション取り、3コーナーで外目を回して早目に仕掛けた分苦しくなった、この時が海外帰りの2か月半の間隔開けで本調子ではなかった可能性が高い。2020年阪神大賞典でもスタートで大きく出遅れ、そこから1周目スタンド前で先頭付近まで上がって行き一気にペースアップさせた、これで後半の2000mを自身1:58.9で走っているので、化け物じみた持続力の高さは見せた、問題は出遅れ癖がどんどん悪化していることで今後に向けて大きな不安を残した。2020年天皇賞(春)ではスタート出たが、1周目スタンド前で掛かってしまい先頭に立ち、直線はスムースだったがL1で一杯になった。年齢的にも6歳でキンカメ系であることを考えると、蓄積疲労の可能性が高く今後に不安を残した。

好材料はレース適性で昨年のこのレース2着に好走、同じ阪神内回りの大阪杯でも2着があるので、コース適性、レース適性共に高い。悪材料は近走の不振で、キンカメ産駒の蓄積疲労の可能性が高いと思う、特にトップスピードの質と瞬発力が落ちる傾向があるので、余程上手く逃げないと好走は期待できない。まぁ豊騎手なのでその辺は怖いんだけど、気性も悪くなったし前走はスタート出たが、阪神大賞典で大きく出遅れているので再度の出遅れも懸念材料。

<クロノジェネシス>・バゴ産駒でかなり掛かる、外枠は危険。

・強烈な瞬発力がありトップスピードの質は高く持続力はまぁまぁ。

・心肺機能も高いがハイペースバランスでは割引。

・パワーも有り坂でも加速できる。

”アイビーS”では内枠から中段の前で何とか折り合って直線、コースを取り切るのにやや手間取るが坂から一気に加速して圧勝。”阪神JF”ではスタートで出遅れ最後方から折り合いに専念、4コーナーでダノンファンタジーの外を回された分2着に。”クイーンC”ではスローバランスを外枠から掛かりながら中段から、直線はビーチサンバが来てからL2で追い出し圧勝。”桜花賞”ではスローバランスをインコースの中段から、序盤掛かっていたが中盤で折り合う、直線は前が壁になり外に出してから瞬発力とバテ差しで3着。”オークス”では平均バランスを先行、4F戦になり脚が溜まらず3着まで。”2019年秋華賞”ではハイペースバランスを中段から、稍重で消耗戦になりバテ差し1着、この時が休み明け。”2019年エリザベス女王杯”ではスローバランスを中段やや前から、直線は全く伸びずに5着まで、前走の反動かも。”2020年京都記念”では重馬場でハイペースバランスを離れた追走集団の2番手から、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースに差し切り。”2020年大阪杯”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが2着まで。

「宝塚記念へ向けて」好材料:コース適性、距離適性。 悪材料:特になし。

馬のポテンシャルだけならグランアレグリアを凌ぐ可能性がある、強烈な瞬発力、高いトップスピード、まぁまぁの持続力と非の打ち所がないっように見えて、実は大きな弱点を抱えている、それが気性でとにかく掛かる。アイビーSなんかは内枠で折り合ってから強烈な瞬発力で圧勝している、クイーンCでは外枠で行きたがったがマイルで何とか勝ち切った、この時も掛かっていて上り33.1だがやや物足りない。桜花賞では内枠で直線前が壁になり絶望的な状況だったが、前が開いてからの強烈な瞬発力で3着まで持ってきた、もちろん褒められた騎乗ではなくスムースなら2着はあったはず。オークスも内枠を引けて折り合えたことで3着、ただL2の坂が苦手なカレンブーケドールにやっとこさ並んだだけで、L1では突き放されてしまったので恐らく距離が長かったんだと思う。本質的にはマイルから1800mまでじゃないかな~。秋華賞は稍重でハイペースバランス、やや離れた追走集団の中段やや前で馬群の中と絶好のポジションだったし、直線入り口でスムースに外に出せたことも大きかった。距離は2000mだったが稍重の割に流れていて、折り合いがしっかりと付いたので圧勝したんだと思う、この感じから心肺機能や筋持久力では2000m以上でも持つが、気性的な問題で距離制限が掛かる可能性がある。道悪になれば折り合いは付くはずなので、2000m以上でも距離不安は解消されそう。

ノーザンF生産馬なので休み明けは問題ないと思う、2か月の間隔を空けたクィーンCを圧勝している。2019年エリザベス女王杯では前半やや掛かり気味にレースを進め直線伸びなかった、前走休み明けでかなり厳しいレースを激走したので反動かもしれない。可能性は低いと思うがバゴの産駒なので燃え尽きた可能性も、ビッグウイークが菊花賞後に全く鳴かず飛ばずだった、まぁバゴ産駒のトロワボヌールがダートではあるが、息の長い活躍をしているので不安はないと思うが。このエリ女では直線で前のラブズオンリユーがフラフラしていたので、再三進路変更したがコースが空いていない、最内を突いたラッキーライラックがスムースだったことを考えると、コース取りの差は大きくこの辺りは騎手の差も考慮すべき。2020年京都記念では離れた追走集団の2番手から、馬群の外を回したが重馬場で折り合いが付き、直線スムースに差し切り圧勝。この時はゲートで大きく頭を下げているので、今後は出遅れる可能性がありそう。2020年大阪杯では中段の前で終始1着ラッキーライラックの外を回して、4コーナーでラッキーよりも先に仕掛けてしまい差されて2着だった。大外枠に入ってしまったので、出来る限りのレースをしていて、勝ち馬よりも高評価で良いと思う。

好材料はコース適性で大阪杯を2着しているので相性は良い、この時は大外枠だったし1着ラッキーライラックとはタイム差無しなので、枠が逆なら着順は変わっていた可能性もある。距離適性も京都記念を勝っているので問題ないし、道悪もむしろ歓迎の口。悪材料は特になく休み明けもノーザンF生産馬で問題ないし、斤量が始めて56㎏になることくらいかな~。前走を見ても3歳まで見せていた掛かり癖も出ていないし、外枠でも先行できるのでこなせるはず。北村友騎手もこの馬が最後の砦と思って乗るはずだし、それが空回りしなければ勝負になるはず。

<グローリーヴェイズ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。・休み明けでも走る。

”2018年佐渡特別”ではやや離れた中段で実質平均バランスを直線でバテ差し1着。”菊花賞”ではスローバランスを後方から、直線で仕掛けるも瞬発力で見劣り5着まで。”2019年日経新春杯”ではハイペースバランスを中段の最内からバテ差し1着。”2019年天皇賞(春)”ではスローからのL2 最速戦、フィエールマンの瞬発力に対応してクビ差2着。”2019年京都大賞典”では平均バランスを中段やや前から、3,4コーナー内目を回して直線コースが塞がれて凡走。

「宝塚記念へ向けて」好材料:・・・。 悪材料:海外帰りの休み明け。

意外だったのが2019年天皇賞(春)で見せたフィエールマンの瞬発力に対応してきたこと、ただこの時はL4から11秒台に入っていて、どちらかというと持続力が問われている。逆に菊花賞ではL3まで12秒台で、そこから一気に10.7まで引き上げる完全な瞬発力勝負だった、これで見劣って5着だったので、瞬発力はまぁまぁといったレベルなんだと思う。天皇賞(春)を映像だけで見ると瞬発力が高く見えてしまうが、ラップを見比べると持続力勝負になっているし、京都は3コーナーから下りなので、フィエールマンに食い下がれた理由はこの下り坂にありそう。

持続力の高さは日経新春杯で見せていて、この時はかなりのハイペースバランスで心肺機能も見せた、かなり重い馬場だったしバテ差しになって圧勝したのは、持続力の高さそのもの。この辺りの持続力とパワーは、母系のメジロ血統を彷彿とさせる特性ですね。心肺機能は佐渡特別でも見せていて、この時はハイペースバランスを中段の前から進めて圧勝しているし、この時は当然超高速馬場なので、ディープ産駒らしいスピードも見せている。ただ強烈なトップスピードの質を持っているかというとそうではなく、天皇賞(春)でも瞬間的にはフィエールマンに見劣っているし、きさらぎ賞でもスローバランスで上り35.3までだった。

2019年京都大賞典では中段のやや前から、直線ですぐ前のノーブルマーズがフラフラしていて、コースが空かずに伸びなかった。この時気になったのが直線内に寄れていることで、手前を上手く替えていない感じだった。天皇賞(春)の時はまっすぐ走っていたので、内に馬が居たり香港ヴァ―ズの時みたいに内ラチに近ければ寄れないのかもしれない。

この馬はレイクヴィラファーム生産の馬で、ここは旧メジロ牧場。現在ではノーザンFと提携しているため外厩はノーザンF天栄を使える、ということで休み明けでも不安はない。

好材料はこれと言ってなく、香港ヴァ―ズを勝っているので距離適性は問題ないと思う。コース適性については不明。天皇賞(春)でフィエールマンと僅差なのでクラス負けの心配はない。悪材料は海外帰りの休み明けで、ドバイへ行っているのでどこまで仕上がるか。この馬はノーザンF天栄を使うので大きな不安はないが、半年以上実戦から遠ざかっているのは不安、京都大賞典でも5カ月強の間隔を空けて凡走したし、ここまで間隔を空けたことはないので、馬が戸惑う可能性もある。