2019年阪神C 回顧。

走破時計 1:19.4  前半800m 45.2  上り3F 34.2

馬場状態はやや高速馬場でした、Bコース替りで内優位と予想しましたが予想以上に外が伸びない馬場でしたね。これは来年へ向けて覚えておきたいことです。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2019年チューリップ賞のレースラップです。

今回は10番人気で3着に激走したメイショウショウブに注目します。今回の阪神Cでは前後半3Fで比較すると33.9-34.2とほぼ平均バランスでした、これを逃げて3着に粘りました。一方でチューリップ賞では47.8-46.3とスローバランスを中段やや前から進めて凡走しています。この馬はダイワメジャー産駒で心肺機能と持続力の高さが武器ですが、トップスピードの質は高くないんですね。チューリップ賞では先行した1着ダノンファンタジーが上り3F34.0ですから、これを差し切るには33秒台の末脚が求められます、メイショウショウブが33秒台の末脚を使ったのはニュージーランドTとローズSの2度、どちらも高速馬場でしたからやや高速くらいの馬場では差し切りは難しいんですね。

今回は池添騎手から松山騎手へ乗り替わったこと、内目の枠を引いたこと、スタートが良かったことなど複数の要因もありましたが、逃げる意識があったことが激走の要因だと思います。池添騎手がなぜか中段からの差しに拘るので凡走が多いのですが、今回の結果からも逃げた方が成績は安定するでしょうね。

逃げたのはメイショウショウブ、外からグランドボヌール、間にグァンチャーレが先行策、メイショウケイメイ、マイスタイル、ショウナンライズが中段の前から。グランアレグリア、シュウジ、シヴァージが中段のやや前、レッツゴードンキ、フィアーノロマーノ、イベリスが中段から。ノーワン、ワンアフター、ロジクライが中段の後ろ、その後ろに取り付いたのがスト―ミーシーで最後方からレイホーロマンスとスマートオーディンという隊列でした。

上記したようにメイショウショウブの松山騎手が逃げる気を出したことで、すんなりと逃げ体勢を築くと外からグランドボヌールも競り合うまではしませんでした。前半3F33.9なのでグランドボヌールにしてもこれ以上のスピードは持っていないはずですからね~、グァンチャーレも逃げるまでは意識にないようで、すんなり3番手で折り合いました。逃げの手もあるはずのマイスタイルも五分には出ましたが馬なりで中段の前からになりました、押して押して逃げるまではしないという感じですね、この馬の場合は前半3F33.9はやや速く、ダービー卿CTで前半33.9を3着していますがこの時は中段からでしたからね。

勝ったグランアレグリアは中段やや前の最内から、前に馬を置いたことで何とか折り合いも付いていました。1400mで前半33.9でもやや掛かっていたので、藤沢厩舎が短距離路線を選択したのは大正解ですね。2着のフィアーノロマーノは先行せずに中段からでした、スミヨン騎手なので自分の型に嵌めこんでしまいましたね、ヨーロッパ主戦の騎手らしく中段からの差しを主張してしまいました。

引退レースになったレッツゴードンキは中段の最内から、折り合いも付いて良いポジションでした。気になったのはイベリスの位置取りですね、福永騎手に乗り替わって中段の外からでは苦しいですね。浜中騎手が悪い訳ではなく怪我で離脱したことによる乗り替りでしょうから、復帰すればまたコンビ復活になりそうですね。シヴァージは初芝になりましたが、ダート戦でも芝スタートでは先行していましたから、中段やや前のポジションが取れたのは今後に向けて期待が持てますね。

4コーナーから直線入り口です、逃げているメイショウショウブにグランドボヌールが並びかけますが直線入り口で一杯になってしまいます、グランアレグリアが内からスムースに加速をはじめ、それにやや遅れてレッツゴードンキが続きます。グランアレグリアとフィアーノロマーノにここでやや差が生まれます、これがフィアーノロマーノの瞬発力の低さでグランアレグリアにはっきりと見劣っています。この特徴をスミヨン騎手が理解していたうえで中段からのレースをしたのか、それとも陣営から細かい指示があったのかなかったのかは不明です、ただ性格的に陣営の指示を素直に聞くタイプではないので、今後もこういう騎乗をするでしょうね。

馬場状態の説明でも書きましたが、この日ははっきりと内優位で外は全くと言っていい程伸びませんでした。外を回したシヴァージ、ロジクライ、イベリス、スマートオーディンはこの時点で勝負あった感じでしたね。

直線L1標識付近です、ここでグランアレグリアが逃げていたメイショウショウブに並びかけあっさりと交わします、最内を通したとはいえグランアレグリアのL2は10秒台です、中段やや前からの馬で10秒台のラップを踏んだのはこの馬だけなので、L3,L2が下り坂とは言えグランアレグリアの強さが光っています。直線入り口で一杯になって下がってきたグランドボヌールへの対応で明暗が分かれています、明はグランアレグリアでルメール騎手がしっかりと捌いて1着、これに対して詰まって待たされてしまったのがノーワンですね。坂井騎手なのでルメール騎手と比較してしまうのは可哀想ですが、グランドボヌールを交わした後のノーワンの手ごたえを見ると、スムースならもっと着は良かったはずです。

直線入り口から内へ進路を取ったグランアレグリアと反対に、外に進路を取ったのがフィアーノロマーノでここでも馬場の差が出てしまいましたね。元々フィアーノロマーノは瞬発力とトップスピードの質は高くない上に、この馬場差も影響して伸びあぐねてグランアレグリアに大きく引き離されてしまいました。レッツゴードンキがメイショウショウブを追い詰めてハナ差の4着、1㎏の斤量差が最後の最後に効いてきた感じですね。

直線で外を回した馬は全く勝負になりませんでしたが、その中でも初芝のシヴァージの持続力には光るものがありましたね。トップスピードの質では後ろから迫られたスマートオーディン辺りにも見劣りそうですが、先行しての粘りなら芝のこのクラスでも勝負になりそうです。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はグランアレグリア、中段やや前から進めて3,4コーナーもロスなく進めて直線も下がってきたグランドボヌールをしっかり捌いて圧勝でした、鞍上がルメール騎手なので驚くことはないですが、とてつもなくレベルの高い騎乗をしたな~というのが印象です。グランアレグリアの方ですが、L2で10秒台を踏んでいるので瞬発力とトップスピードの質を高いレベルで見せましたし、中段やや前からですが自身も平均バランスには入っているはずなのでまぁまぁの心肺機能も見せていますね、藤沢厩舎の判断は正しかったという事です。

2着はフィアーノロマーノ、スミヨン騎手が馬の能力を無視して自分の型に嵌めてしまいましたね、この馬は心肺機能と持続力で勝負するタイプなので、中段からの差しでは苦しくなって当然です。ダービー卿CTで強い勝ち方をしているので、あのレースを見れば中段からの差しはありえないのですが。今後に向けて注意しなければならないのは、スミヨン騎手が中段からの差しに行って2着になってしまったことです、これを良しとして日本人騎手に乗り替わっても差しに控えるようだと危険ですね。もう一点外国人騎手は馬の特徴ではなく自分の型に嵌めてしまうので、逃げ、先行馬に関しては疑ってかかった方が良さそうです、チャレンジCのブラックスピネルのこともありますからね。

3着はメイショウショウブ、逃げて心肺機能と持続力の勝負に持ち込んだことが好走の要因ですね、池添騎手がなぜか差しに回って凡走を繰り返していますから、池添騎手では買いにくい馬になってしまいました。ニュージランドTを見ても先行しないと話にならないので、逃げを怖がらない、嫌がらない騎手の時に評価を上げるべきですね。

4着はレッツゴードンキ、引退レースで無事に完走出来て本当に良かったです。中段最内からロスなく進める最も得意とするパターンでしたが、最後の最後に斤量が効いてきましたね、3着のメイショウショウブが54㎏、ドンキが55㎏ですからこの1㎏が大きな差になってしまいました、みややの馬券にも大きな差になってしまいました・・・。

5着がノーワン、直線入り口で一杯になってしまったグランドボヌールへの対応が不味かったですね、坂井騎手なので今後もこういう事はあるでしょう。内枠から最内を進めたのでその分は考慮すべきですが、元々持続力の高さは見せていた馬ですからスムースだったらと思うと残念ですね。今回は馬体重プラス4㎏でした、前走が休み明け2走目でプラス14㎏で凡走したので減った方が良いと思いましたが、プラス体重で好走したことを考えると前走はただ増えただけで、今回はしっかりと身になってきたという事でしょうね。笹田厩舎なので仕上がりには常に注目した方が良いと思います、これは悪い意味で。

馬券の方はメイショウショウブを無印にしてしまい外れ、予想の動画でメイショウショウブに言及していただけにガッカリでした。