走破時計 1:44.5 前半800m 46.7 上り3F 34.3
まず馬場状態ですが稍重表記でしたが、いつもの府中らしく高速馬場まで回復していましたね。走破時計1:44.5は良馬場表記の昨年1:44.7よりも速く、先日の毎日王冠1:44.4と0.1差ですから超高速までには入らない高速馬場でしたね。
上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2019年中京記念、緑は2019年ヴィクトリアMのレースラップです。
今回のレースは前後半で見ると0.5のややスローバランスです、中京記念は0.2のハイペースバランスでほぼ平均、ヴィクトリアMは当然超ハイペースバランスでした。プリモシーンは消耗戦でこその馬なので瞬発力は全くと言っていいほどないんですよね、これを後方からなので自身では2秒くらいのスローバランスになっているはずです。この辺りにプリモシーンが殿負けをした原因がありそうです。
まずスタートがイマイチでしたが、福永騎手は全くリカバリーする意識がありませんでしたね。出たなりで後方からの位置取りになりました、ここから直線に入ってから仕掛けては遅過ぎますね、実際L3ではエンジンが掛からない感じでした、まぁ最後までかかりませんでしたが。今回は苦手な3Fにしてしまったことで凡走しました、これは騎手の意識の問題だと思います。馬場が稍重表記の為にビビってしまったんでしょうね、もう一点は1800mの距離、2000mの秋華賞で7着だったのでこの馬の距離適正を勘違いしている可能性はあります。秋華賞は瞬発力で見劣ったレースで決して距離のせいではないですからね。
評価を上方修正する必要があるのがスカーレットカラーですね、瞬発力とトップスピードの質は強烈でしたね。ここまで高い瞬発力持った馬って最近では少ないんですが、溜めて溜めて爆発させるともの凄い脚を使ってきますね。L3ではまだ馬群の後方に居ましたが、L2でレースのラップが11.2の部分で自身10.9くらいは使っているはずです、しかもL3から前がクリアーで勢いを付けたのではなく、L2標識まで前に馬が居る状態で追い出していませんでした。ここから坂で10秒台の脚を使ってくるのはかなり驚きました、同じヴィクトワールピサ産駒でジュエラーみたいなタイプですね。L1も自身11.1くらいのはずで、2Fくらいなら強烈な脚を使うタイプでした。
逃げたのはエイシンティンクルでした、ジョディ―が控えて2番手、クロコスミアが外から上がって2番手並走でした。ラッキーライラック、オールフォーラヴ、ディメンシオン、ランドネ、フロンティアクイーン、レッドランディーニが中段を形成。カンタービレ、ダノングレース、プリモシーンが中段の後ろから、ペルソナリテ、スカーレットカラー、サトノガーネットが後方からでした。
プリモシーンの福永騎手と同じように、稍重表記の馬場にビビった騎手が居ましたね。武藤騎手です、ジョディ―は逃げないとどうしようもない馬ですが、この馬場表記にビビって控えてしまいました。これでジョディ―は勝負権を手放してしまいましたね。クロコスミアの戸崎騎手は馬場を読んでいた感じで前に行きました、ヴィクトリアMでの心肺機能の高さと持続力を考えての作戦だと思いますが、とてもいい判断だったと思います。もう1頭ラッキーライラックの石橋騎手も前目に付けましたね、これもいい判断だったと思います。
オールフォーラヴがディメンシオンを交わして中段の前まで上がりましたね、トップスピードの質が問われると良くないので、これもいい判断ですね。スカーレットカラーは後方からになりました、前走も後ろからだったので岩田騎手も決めていた感じですね、恐らく今後も後方で控える競馬をしてくると思います。
4コーナーから直線入り口です、ここから狭くなっていくのがダノングレース、予想の段階でも不安視していたのですが悪い方に的中してしまいましたね。この辺りでもスカーレットカラーは後方の内から2頭目あたりを回してロスなく進めていました、前にスペースを作っていたのでここからの進路取りには自由度がありましたね。外からスムースだったレッドランディーニ、その後ろに居たプリモシーンはここから伸びを欠きます。
直線L2標識付近です、ここで決定的にダノングレースの進路が狭くなります、2走続けて直線で大きな不利を受けてしまいました。他馬に責任のある不利ではなく、狭いところに突っ込んだ騎手に責任のある不利で、馬にしてみればいい迷惑ですね。ラッキーライラック、フロンティアクイーンは外からスムースでしたし、クロコスミアもこの辺りまでは踏ん張っていました。スカーレットカラーはここで前が空きます。
直線L1標識付近です、この辺りでクロコスミアが苦しくなります、トップスピードを維持できない感じで下がり始めたので、これが間隔を空けた影響だと思います。ここでラッキーライラックが抜け出しますが外からフロンティアクイーンが捉えます、面白いのはフロンティアクイーンがラッキーライラックを交わしたタイミング、外からスカーレットカラーに交わされてから、ラッキーライラックを交わすんですね。この辺りが先頭に立ちたがらない性格なんでしょうね。
スカーレットカラーはL2の坂で一気に0.4くらいの加速をして10秒台に入れてきました、L1でもさほど落とさずに11.1くらいは出しているはずで、トップスピードの質と瞬発力はかなり高いと思います。もう一頭ダノングレースはこの辺りでは流れ込むだけでしたが、L2で狭くなり加速できませんでしたから、瞬発力の低いこの馬には苦しい展開でした。外目の枠を引いた時は買い目に入れておきたいですね。
では1頭ずつ見て行きます。
1着はスカーレットカラーでした、前走クイーンSでトップスピードの質と瞬発力の片鱗を見せていましたが、札幌コースとローカル重賞で半信半疑でした。改めて評価を引き上げたいと思います、特にL2で10秒台に入れてきた瞬発力は素晴らしいものがありますね。この溜めて溜めて爆発させるという特性は当然後方からになるので、直線で詰まってしまう危険を孕んでいます、今日のようにコースが空けばいいのですが結構リスキーな特性だと思います。それと今日も0.5とは言えスローバランスで、自身は2秒程度のスローバランスだったはず、マイルで流れた時に爆発させることができるのかは未知数というか、不安の方が大きいかな。結局プリモシーンとは対極の馬ですね。
2着はフロンティアクイーン、昨年の3着馬ですからコース適正も良いし2着も驚けませんね。中段を確保してそつなく乗れましたし、勝ち切れないのはこの馬の性格なので仕方ないですね。直線もスムースだったし54㎏の斤量も合っているのでしょう、今後もこの条件で買いたい馬です。エリザベス女王杯は56㎏になるはずで注意が必要ですね。
3着はラッキーライラック、プラス16㎏でさすがに太目残しでしたね、叩き台としては良いレースだったと思います。石橋騎手もしっかり先行させましたしこの馬の良さは出してきましたね、この馬もトップスピードの質は高くはないので、今日の馬場でこのペースというのはやや遅かったはず、消耗戦で良さが出るタイプというのはプリモシーンと一緒ですが、位置取りの差がモロに出ましたね。エリザベス女王杯は距離とL2最速戦になりやすいことを考えると、やや不安かな~。
4着がオールフォーラヴ、川田君が上手く乗ったな~という感じで、トップスピードの質で見劣ったのは仕方ないですね。ディープインパクト産駒ですがお母さんのレディアルバローザの特性の方が強く出ている感じですね。トップスピードの質が高くないので重賞では上手く乗っても3着までかな~というレースでした。重馬場の方が合うかもしれませんね。
5着はクロコスミア、戸崎騎手が手の内に入れてきましたね、いい先行策だったと思います。間隔開けた分だけトップスピードの質、持続力で見劣りましたが、ここで一叩きされればピリッとするはず。ヴィクトリアMで見せた能力で戸崎騎手も相当自信を持った感じですね。
馬券の方はプリモシーン軸で大外れ、昨日同様2頭軸ならな~…。