2022年札幌記念 回顧。

走破時計2:01.2    前半1000m59.5   上がり3F 37.7

まずは馬場状態ですが良馬場でした、ただ走破時計からも分かるように馬場は重かったです。昨年の走破時計が1:59.5で今年よりも1.7秒も速い、上がり3Fも今年の37.7に対して35.4ですから、昨日の雨の影響が残ってしまいました。クッション値が7.3で昨年は8.2ですから、良馬場でも時計の掛かる重い馬場でした。これはこのレースだけでなく、9Rのクローバー賞も同じ傾向で、走破時計は今年1:31.6に対して1:29.1、上がり3Fは36.5に対して35.1ですから、札幌記念に限った話ではなく、今日1日を通して良馬場でも重く、スピード型には苦しい馬場状態でした。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。1枚目の青は今回、赤は2021年札幌記念、2枚目の青は今回、赤は2022年大阪杯、緑は2022年金鯱賞のグラフです。

まず1枚目はソダシについて、昨年は早目先頭で押し切りましたが、今年は5着と掲示板がやっとでした。まず前半1000mは位置を補正すれば、ほぼ同じくらいのタイムだったはず。昨年は直線しっかり伸びて上り35.4に対して、今年は37.5も掛かています。戦前は距離不安があったのですが、L1でもそこまで垂れていないので、距離は2000mまでは持つのではないかと思います。

それよりも時計の掛かる重い馬場が苦手という方がしっくりきます。というのもソダシが凡走したのは距離が明らかに長かったオークス、ゲートで顔を負傷した秋華賞、そしてダートのチャンピオンズCでした。注目すべきはチャンピオンズCで、良馬場のダートは重くてスピードが出ない、逆に同じダートでも好走したフェブラリーSは重馬場で脚抜きが良く、L2で11.2の速いラップが出る馬場でした。ここから推察するに、ソダシは軽い高速馬場でスピードに乗せてしまった方が、力を発揮できるということ。逆に重い馬場でパワーを問われると苦しくなる感じでしょうか。

2枚目はジャックドールについて、大阪杯と金鯱賞は逃げていたので自身のラップ、大して今回は4番手だったので、2F目のラップは11秒台に入っていたはず。なので2F目で無理をしないことがこの馬の好走条件かもしれませんね。今回は前優位の馬場で、単に中段よりも後ろの馬が力を発揮できななかった可能性もあるので、自身もハイペースバランスだったはずですが、心肺機能が高いと言い切るのは危険だと思います。さすがに後半ここ迄落ちているので、心肺機能を評価することはできません。あくまでこのレースに限っての話ですが。

パンサラッサについては今回も上がり3Fが37秒台でした、宝塚記念が37.4、中山記念が37.3、福島記念が37.6でした。オクトーバーSでは稍重表記の府中で35.9、この時は中緩みが大きかったので、速い上がりが使えました。通常なら37秒台がこの馬の上り3Fで、結局これを差せるかどうかがレースのカギですね。馬場状態がやや高速くらいまで軽くなると、速い上がりを使われて差されてしまうのでしょう。それが宝塚記念ですね。

逃げたのはパンサラッサ、2番手にユニコーンライオン、3番手に内からウインマリリンとジャックドール。中段の前からソダシ、中段のやや前からアイスバブル、アラタ。中段からグローリーヴェイズ、サトノクロニクル、中段のやや後ろからレッドガラン。中段の後ろからフィオリキアリ、ケイデンスコール、マカヒキ、アンティシペイト、後方からユーバーレーベン、ハヤヤッコという並びでした。

逃げたのはパンサラッサでスタートは五分、ユニコーンライオンの方がスタートが速く、1F目では1馬身程先行されています。押して押して先頭に立ったので、パンサラッサの2F目は10.7くらいかもしれませんね。ユニコーンライオンが引いて、パンサラッサ-ユニコーンライオンの矢作ラインが完成。ジャックドールはソロっと出して前の2頭を見ながら、内を空けていたのでウインマリリンに前に入られて、その外4番手で折り合いました。その後ろにソダシでした。結局馬券になったのはこの先行勢で、ラップ推移と馬場状態から前優位で終わってしまいました。

グローリーヴェイズが中段で、その後ろからレッドガランでした。マカヒキは中段の後ろで外目に出す動きだったので、捲り追い込みを狙っていたのかもしれませんね。アンティシペイトが1000m過ぎから捲り上がりますが、この地点では12.2のラップですから苦しいですね。ユーバーレーベンはスタートイマイチ、リカバリーは諦めて後方からでした。

4コーナーです、パンサラッサが先頭で、ユニコーンライオンが苦しくなります。ジャックドールがユニコーンライオンを外から交わして2番手に上がり、ウインマリリンが内からスムースにユニコーンライオンを交わして3番手へ。アンティシペイトの捲りに合わせたのがグローリーヴェイズで、この2頭が先行勢に取り付きました。その後ろではレッドガランが内に切り込みました。

直線L1標識付近です、パンサラッサが粘るところで、ジャックドールが並びかけますが、突き抜ける感じではなく並んでゴールしました。パンサラッサの粘りを褒めるのか、ジャックドールのスピード不足を貶すのか、難しいところですね。この地点では並んでいたソダシとウインマリリンは、ソダシが遅れていきウインマリリンが3着、ソダシはアラタにも交わされて5着でした。アラタは重馬場のケフェウスSを勝っているように、時計の掛かる時の方が良さが出ますね。グローリーヴェイズはソダシを交わせず6着、上がり3Fは37.0でした。この馬はキレッキレのトップスピードの質を持っているわけではありませんが、重馬場の金鯱賞でも36.4を出しているので、体調面の問題か年齢の問題か。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はジャックドール、2F目で無理をしなかったこと、前優位の馬場だったことで勝ち切りました。ハイペースバランスでしたが、馬場状態を考えると心肺機能を評価するまではできませんね。持続力は見せているので、大阪杯でゆったり入っていれば好走したのではないかと。

2着はパンサラッサ、1800~2200mで上がり3F37秒台ですから、あまり距離を気にすることはないと思います。馬場状態次第で上がりが速くなると苦しくなりそうなので、もし天皇賞(秋)に出て来るようだと切れ負けしそうな気がします。

3着はウインマリリン、プラス12㎏で前走もプラス14㎏、太目残しと思いましたがしっかり3着に粘りました。スタートで内がポッカリ空き前に行けたので、展開も味方しましたが、持続力は相当高いものを見せましたね。心肺機能に不安のあるこの馬とジャックドールが1,3着ですから、前半は苦しくなかった可能性があります。1週前に輸送するプランは宝塚記念と同じなので、前半無理をすると良くないんだと思います。

4着はアラタ、福島記念3着、重馬場のケフェウスS1着と、時計の掛かる馬場を得意としているので、この馬が来るということはそういう馬場だったんでしょうね。

5着がソダシ、昨年とは斤量が違いますが、それ以上に馬場状態の違いが影響したのではないかと。軽い高速馬場ならば2000mでもこなせると思うので、天皇賞(秋)に出てくれば、見直したい。

馬券の方はハズレ、軸にした2頭が飛んでしまいました。馬場状態がここまで重くなるとは思わず、軽視したパンサラッサ、ジャックドール、ウインマリリンで決まってしまっては完敗です。次回はキーンランドCの予定です。