2023年スワンS 回顧。奇妙なペース。

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走破時計 1:19.9    前半 34.1  上がり3F 34.5

まずは馬場状態ですが良馬場でした、金曜日に散水しませんでしたから、ほぼ変わらない馬場状態でした。クッション値が下がったのは夜露の影響でしょうか。走破時計1:19.9は悪くないタイムで、やや高速馬場と見て良いのでしょう。9Rが同じコースで行われた2勝クラスで1:20.4、外から上がり33.2で差し切り勝ちだったので、内外フラットでやや高速馬場で良いのでしょう。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2023年ニューイヤーS、緑は2022年阪神Cのグラフです。

まずは1着ウイングレイテスト、青のグラフを見て分かる通りこのレースはL2最速戦。同じ展開になったのが2023年のニューイヤーSで、ウイングレイテストが勝ち切ったレースですね。今回のスワンSは意外なラップ推移になっていて、改修前の京都外回りでよく見られたラップ推移でした。L3区間で逃げたトウシンマカオの横山和騎手が手綱を引いていて、これには驚きました。

改修後の京都外回りは4コーナー出口が緩くなったことで、意図的に減速しなければL3で緩むことは少ない。横山和騎手が何を思って乗ったのか不明ですが、テン乗りで押し出されるように逃げたことで、馬の特性を考えないラップ推移にしてしまった感じ。ウイングレイテストにとっては最高の展開で、直線入り口でしっかりコースを確保、と言うか自然と前が空いて瞬発力を生かして出し抜き、L2区間で勝負を決めてしまいましたね。

問題はこのL3の減速を容認してしまった他の騎手、特に馬群の外目を回していた騎手ですね。ララクリスティーヌ菅原、ウインマーベル西村、サブライムアンセム池添、インダストリア丸山、そしてグレナディアガーズ岩田望騎手です。菅原騎手は前に居ましたし2着なので悪くはないのですが、他4名は減速に付き合った意識もないのかも。川田騎手、豊騎手は馬群の中に居て動けなかったので、異様なラップ推移になってしまいました。

改修前の京都外回りではこのパターンが多く、エリザベス女王杯ではよく見られましたね。クロコスミアが毎年このパターンで好走して、前に居てL2出し抜くレースをしていました。これを外からL3で減速せずに加速してねじ伏せたのが、リスグラシューのモレイラ騎手でしたね。モレイラ騎手も今回は内に居て動けませんでした。

グレナディアガーズは後ろから届かず、L4から自分で捲りに行けば、減速に付き合うことはなかったはずで、岩田望騎手のペース認識の悪さが出ましたね。ただ今回のレースは上がり33.6と、過去最高の上り3Fを出しているので、骨折の影響は心配しなくて良さそうですね。

逃げたのはトウシンマカオ、スタートやや早く無理せず先頭に立てました。2、3番手のウイングレイテストとメイショウソラフネもスタートやや早くこの3頭が先行勢。同じくスタートやや早かったタマモブラックタイ、ララクリスティーヌが中段の前、スタート五分に出たテュガ、エクセトラ、ウインマーベルが中段のやや前。

中段からスタート五分にスマートリアン、スタートやや遅かったアヴェラーレ、スタートやや早かったサブライムアンセム。中段のやや後ろからスタート遅かったルガル、スタート五分のルージュスティリアとミッキーブリランテ、スタートやや早かったインダストリア。やや間隔が空いて後方からスタートやや遅かったグレナディアガーズ、スタート遅かったカイザーミノル、スタートはやや早かったが下げてジリジリ最内へ行ったロータスランドという並びでした。

3コーナーの入り口でテュガが狭くなったのか口を上げて減速、これにスマートリアンが巻き込まれていました。ロータスランドは3コーナー入り口では最内、今年の京都牝馬Sの再現でしたね。

4コーナーです、トウシンマカオが先頭で、ここまでは平均バランスで11秒台前半のラップでした。なので馬群は縦長でしたね。ここでアヴェラーレが動けなかった、外にサブライムアンセムが居て加速できないんですね。この馬は加速に時間がかかる瞬発力の低いタイプで、流れないと苦しくなりますね。池添騎手はペース認識が悪いので、ここで蓋をされてしまったのは痛恨。ララクリスティーヌは内から2頭目をスムース、外に馬が居なかったので揉まれずストレスフリーでしたね。

直線L2標識付近です、L3で減速する謎騎乗のせいで馬群は凝縮、内を通した馬が距離を稼いでポジションを上げました。タマモブラックタイがララクリスティーヌの前に、ロータスランドも中段まで上がって来ました。アヴェラーレはここでも馬群の中で、スムースなレースが出来ていませんね。この展開で加速しないまま外を回した馬は苦しく、サブライムアンセム、インダストリア、ウインマーベル、グレナディアガーズはこの地点で勝負権がなかったですね。

直線L1標識付近です、L2区間でウイングレイテストが出し抜き、ここで勝負を決めてしまいました。トウシンマカオが粘ていましたが、ララクリスティーヌが並びかけます。ロータスランドはメイショウソラフネの外へ行きましたが、再度内へ戻ってコースを確保していました。

ここからウイングレイテストが粘って押し切り、ララクリスティーヌが追い詰めましたがクビ差届かず。ロータスランドが伸びて3着、上がり3F33.5で1番時計でした。トウシンマカオはこの展開で上がり3F35.2、L1での減速率が大きくなったので、今は1200mに特化したと考えた方が良さそうですね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はウイングレイテスト、逃げていないのに最高の展開になりましたね、ニューイヤーSを見ても出し抜く瞬発力は見せていたので、このパターンは得意なんでしょう。このパターンになっても他馬が外から勢いを付けてくれば、トップスピードの質で見劣ったはずですから、今回は展開に恵まれた印象。このレースだけを持って1400mなら重賞を勝てる馬と考えるのは危険、距離ではなくあくまで展開次第だと思います。

2着はララクリスティーヌ、近2走が揉まれて投げ出していたので、終始外に馬が居ない状態で走れたことが大きいですね。この馬の場合はL3から流れた方がいいタイプで、今回はちょっと足を余しましたね。

3着はロータスランド、今年の京都牝馬Sの再現でしたね。スタートやや早く出ましたが、前から内に行けないと見るやすぐさま下げて最内へ、L3の減速を最内から距離を稼いで、直線差し切りましたね。この馬は11秒台の前半を使える距離が短いので、L2最速戦は良い展開でした。

4着ルガル、スタートのタイミングが悪く中段のやや後ろからでしたね、自身は当然スローで上がりは33.8、葵Sと同じようなラップ推移ですから、レースレベルが上がると心配ですね。

5着はウインマーベル、瞬発力が高いタイプではないし、外から距離ロスもあったので仕方ないですね。スタート五分に出たので、これは今後に向けて好材料だと思います。

アヴェラーレは7着、L3で馬群の中から出られなかったことが致命傷、瞬発力が低くトップスピードに入るのに時間がかかるので、外目の枠で直線が長いコースが合っていますね。

馬券の方はハズレ、縦目ではあるのですが、展開予想が大外れで反省しきりです。