2019年目黒記念 全頭評価 その1。

過去5年複数回3着以内に来ている種牡馬はディープインパクト3回、ハーツクライ3回、キングカメハメハ3回(2頭)です。2500mで非根幹距離なのでディープ産駒の数が少ないですね、昨年はカンパニー、ジャングルポケット、ハーツクライ産駒と珍しい組み合わせでした。ハンデ戦で軽ハンデが気になりますが最も軽い斤量で来たのが54㎏、逆に重い方は58㎏で来ています。極端に軽い斤量の馬はハンデで能力をカバーできないが、実績上位の馬なら斤量は気にしなくても良いようです。

1番人気は過去5年4回連絡みしていますが、2番人気は0回で2014年にアウォーディーが2番人気で4着が最高でした。過去10年でも1回だけ、このレースは2番人気が懸念材料ですね。ちなみに2013年に2番人気が3着以内に来た時は、1番人気が10着に敗れています。

では1頭ずつ見ていきます。

<アイスバブル>・心肺機能は高くパワーはやや少ないかも。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。

”小倉500万条件”では平均バランスを中段から、緩まない消耗戦をL1で5馬身差を捉えて圧勝、心肺機能の高さを見せた。”京都1000万条件”ではスローバランスを中段から、直線L2で出し抜いてL1粘って1着、スローバランスで脚が溜まったためかL2で11.3くらいを使っている。“早春S”ではスローバランスを先行、持続力を発揮して粘り込み、トップスピードの質が低く、ヘリファルテに詰め寄られる。

「目黒記念へ向けて」高評価は小倉の500万条件で、平均バランスで全く緩まない流れを中段から、直線はもちろんバテ差しになっているが圧勝している。所謂AT値が高いタイプでレースレベルが上がれば上がる程、結果も良くなりそう。前走の早春Sでトップスピードの質が低いことははっきりしたので、中段より前からロンスパに持ち込みたい。アブドゥラ騎手は差しではいいレースをするが、自分でレースを作る時は良い印象が無いのが不安で、長い直線を怖がらずに早目に仕掛けられるかどうかですね。

<アクションスター>もう無理。

「目黒記念へ向けて」ここでは無事に回ってきてください。

<アドマイヤエイカン >・心肺機能はまぁまぁパワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。

・休み明けでも走るが疲れやすく休み明け3走目以降は危険。

”2018年古都S”ではスローバランスを先行して、L2最速戦を出し抜いて押し切り、スローバランスで直線入り口をスムースに加速できた。”2019年万葉S”では平均バランスを中段から凡走、使い詰めの疲労が原因。”2018年ステイヤーズS”ではスローバランスを先行して2着、終始馬群の外を回しての距離ロスの差。”2019年阪神大賞典”では稍重馬場で大きく離れた中段から、最内に入れてシャケトラのスパートに付いて行けずに、直線は流れ込むだけ。

「目黒記念へ向けて」古都Sが意外に瞬発力を見せているが、かなりのスローバランスだった為で、瞬発力を評価するまでではないが、直線でスムースなら加速できることは示した。ハーツ産駒らしく瞬発力は低めだが持続力は高いのでこれを生かす乗り方が必要、大原Sでは浜中騎手が内に入れて前に詰まり凡走している、同じように阪神大賞典ではシャケトラが動いた勝負所で最内から動けずに凡走。3歳時だが弥生賞でハイペースバランスで最内から、勝ったマカヒキと同じような位置から直線は内目からだが、特に詰まることもなかったにもかかわらず伸びていないので、心肺機能はそれほど高くない可能性がある。

長距離で良さが出ているので道中スローで淡々と進めて、スムースに直線に入り持続力を生かしたい。この競馬は岩田騎手と全く逆の展開で、ハッキリと手が合わないと思う。内に入れてスローからの直線勝負になることが、不安材料かな~。

<ウインテンダネス>・心肺機能はやや低くパワーは有る、瞬発力は少ない。

・4F以上のロンスパが得意。・トップスピードの質は低く持続力は高い。

”2018年緑風S”では前半スローから後半6Fのロンスパ消耗戦に持ち込み圧勝。”2018年目黒記念”ではヴォ―ジュがハイペースを作って5,6番手で折り合い、4F戦を内から馬群を割ってL1バテ差し1着。”2018年アルゼンチン共和国杯”ではスローバランスを逃げて4着、スローバランスで3F戦にしてしまい4着まで。”2018年ジャパンC”では5,6番手を追走したが後半のハイペースで一杯。”2019年日経新春杯”では後方からになり向う正面速い地点で押し上げてしまい息切れ凡走。

「目黒記念へ向けて」鞍上が内田騎手ということがまずは引っ掛かる、緑風S、目黒記念とロンスパで好走したにもかかわらず、前走は速い地点で動いてしまい自滅。恐らくペースを正確に測れないんだと思う、もちろん道中のペースを正確に測れる騎手なんて殆ど居ないけど、あそこで動いてはダメ。もちろん松岡(アル共)、菱田(京都大賞典)両騎手も逃げたにもかかわらず3F戦、2F戦にしているので、内田騎手だけを責められないが懸念材料であることには変わりない。

スローバランスからのロンスパなら持続力は高いものがあるので、得意コースでロンスパの展開を作ってもらえるかどうか、あくまで他力本願で内田騎手にこの展開を作ることを期待するのは危険だと思う。タイムの面から見ると目黒記念とジャパンカップを比べて、ざっくりと100m7.3秒補正すると2:22.4になる。ジャパンCの自身走破時計が2:22.3なので2400mをこのタイムで走るのがこの馬の限界。今の東京2500なら昨年のタイムが基準になりそうで、クラスを考えればこのタイムは優秀、なのでこのタイムを出せばある程度の着は取れそう。

<ケイティクレバー>・心肺機能は低い、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力は高い。

”若駒S”では稍重スローバランスを逃げて押し切り。”すみれS”ではスローバランスを逃げて3F戦にして2着、この時の1着がキタノコマンド―ル。”皐月賞”では離れた追走集団の2番手から実質スローバランス、L1で一杯になり凡走、稍重でタイムの限界を露呈した。”京都新聞杯”では離れた追走集団の先頭で実質平均バランス、トップスピードの質で見劣り凡走。”2018年日本海S”ではスローバランスを逃げて2着、L5から速いラップを踏んでのロンスパだが馬場を考えれば評価できない、L2の10.8も新潟ならではで瞬発力を評価する程ではない。”2019年寿S”では平均バランスを逃げて押し切り、2000mで2:01.4というタイムが、この馬にはぴったりだった。

「目黒記念へ向けて」心肺機能が低いのでハイペースバランスや平均バランスは良くない、寿Sは平均バランスで勝ち切ったが時計が遅くL3から11.9 – 12.0 – 12.3と落としていないので楽なペースだったはず。面白いのはすみれSでワンツーを決めたマイハートビートが、ここでも2着で適性が似ているのかも。道中速いラップ11秒台などを踏むと良くないので、長距離寄りの2500mで道中楽なペースになれば可能性はあるが、そうなると周りの馬は上がり33秒台を使ってくるはずで、トップスピードの質が低いこの馬には厳しくなる。OPのリステッドでも凡走を繰り返しているように、このクラスでは軽ハンデでも苦しいと思う。

<ゴーフォザサミット>・心肺機能は高くないパワーまぁまぁ、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。・休みけは割引、疲れやすい。

”青葉賞”ではスローバランスを中段から、直線前が壁になったが、L2で捌いてしっかり伸びた、休み明け3走目。”ダービー”ではスローバランスを中段から、直線はスムースだったが伸びあぐねて7着、この時が休み明け4走目。”2018年札幌記念”では稍重のハイペースバランスを中段から、直線スムースでも伸びず、この時が休み明け。”神戸新聞杯”ではスローバランスを中段から、直線スムースでも伸びず。”2019年日経賞”ではスローバランスを先行、直線までは粘ったがL1で力尽きて5着、休み明けの影響かも。

「目黒記念へ向けて」また間隔を空けてしまったな~というのが率直な感想で、この馬は休み明けや2か月以上間隔を空けると良くない、悪くはないんだけどピリッとしないんだよね。休み明け2走目の神戸新聞杯が日経賞と同じような展開で、スローバランスから中緩みのない4F戦で凡走、メイショウテッコンから1秒離された、日経賞でも0.7差なのでこういう展開では底を見せてしまった感じ。それでも休み明けの割には良く走ったな~と思えたので、叩き2走目ならと期待はしたんだけど。

青葉賞ではスローバランスを3F戦で良さが出ているし、共同通信杯ではスローバランスで前で決まる中、この時も3F戦で唯一後方から追い込んで来てハナ差4着と、コース適正の良さを見せた。間隔空けてしまったのはマイナスだが、展開次第では怖い1頭だと思う。

<ソールインパクト>・心肺機能特化型でパワーと瞬発力は低い。

・間隔空けると良くない。・軽ハンデで好走する。

”2017年アル共”では中段の前を追走して、直線で中目をジリジリ粘って2着、スワ―ヴリチャードの瞬発力とトップスピードには完全に見劣り、この時が53㎏。”2018年ダイヤモンドS”では中段から4コーナーで早目に追い出して一旦先頭に立つも、フェイムゲームにマークされて差し切られ、リッジマンにも差されて3着、L1で明確にバテた。”2019年阪神大賞典”では稍重馬場で大きく離れた追走集団の最内やや前から、L1で13.4まで落ちる消耗戦を粘って4着、この時が56㎏。

「目黒記念へ向けて」まず前走の阪神大賞典で56㎏を背負って4着に粘れたのは稍重の消耗戦で、スピードに影響がなかったからだと考えています、良馬場である程度トップスピードを問われてしまうと、斤量の影響は受けるはずなので、ハンデは軽ければ軽い程いいと思う。六社特別で56㎏背負って3着になっているし、昨年も5着とコース適正は良いと思う。前走から2か月半の間隔は良くない、瞬発力は低いのでロンスパの消耗戦になれば可能性はあると思う。

<ダッシングブレイズ>・心肺機能は低く、パワーと瞬発力は高い。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。・休み明けは良くない。

”2017年エプソムC”では高速馬場をドスローから先行して、L3最速で強烈な加速からトップスピード持続で1着、高い持続力を見せた。”2018年小倉大賞典”では休み明けで4着。”2018年チャレンジC”ではスローバランスを後方からになり凡走、後半勝負ではトップスピードの質が足りないことを露呈している。”2019年日経新春杯”ではハイペースバランスを後方から、心肺機能が足りずに凡走。”2019年京都記念”ではスローバランス後方からになり凡走。

「目黒記念へ向けて」2017年のエプソムCでは展開が嵌った、トップスピードの質は高くないが持続力は高いので、ドスローからの後半ロンスパで勝ち切った、これで切れる足を持った馬という印象を与えてしまったようで、以後中段よりも後ろからの競馬が多くなり凡走の山を築いている。この馬はトップスピードの質は高くないので、先行して持続力を生かしたいタイプ、近走はスタートも悪くなり理想的なレースからは程遠い展開。

仮にスタートを上手く出たとしても、現在の高速馬場では心肺機能の低さから、追走一杯になってしまう恐れもある。重馬場にでもなって道中速いラップを踏まなければ、距離は違うが2017年洛陽Sで見せた持続力を発揮してくるかも。