2019年エリザベス女王杯 全頭評価。その4。ボンテザールは藤岡康太騎手、R.ムーア騎手ではない。

<フロンテアクイーン>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

”2017年ターコイズS”ではスローバランスを先行、直線の瞬発力でミスパンテールに見劣り2着。”2018年クイーンS”では離れた追走集団の中段やや後ろから、L3から大外を捲くったが、1着ディアドラのトップスピードに見劣り2着。”2018年府中牝馬S”では離れた追走集団の中段から、4F戦を粘って3着。”2018年エリ女”ではスローバランスを中段から、直線詰まって凡走。”2018年ターコイズS”ではハイペースバランスを先行して息切れ4着。”2019年中山牝馬S”ではややスローバランスを中段から、L3から追い出してL1バテ差し、持続力を見せた。”2019年ヴィクトリアM”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、終始外を回した影響か直線伸びずに凡走。”2019年クイーンS”ではスローバランスを中段のやや前から、L1から全く伸びずに凡走。”2019年府中牝馬S”ではややスローバランスを中段から、直線スムースだったが2着、相変わらず先頭に出たがらないが54㎏で好走。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:休み明け2走目。悪材料:56㎏の斤量。

2着が多い馬で一度降格した1600万条件も結局勝ち切れないまま卒業した、再度のOP入りでも重賞で3走続けて2着、中山牝馬Sこそ勝ち切ったが先頭に立って甘くなったのか、ウラヌスチャームにハナ差まで迫られている。これは性格的なものなのかもしれないので、簡単には治らない可能性が高い、先頭に立ちたがらない馬って居ますからね。この馬のいい面はトップスピードの質と持続力、2018年の府中牝馬Sは3着だが上位2頭はディアドラとリスグラシューで互角とは言わないが、着差はわずかで好評価をしていいと思う。この良さを騎手がダメにしてしまったのが2018年エリ女で、直線わざわざ馬群に突っ込んで7着だったのは残念な結果だった。

2019年ヴィクトリアMが15着と大敗してしまったが、この馬にとってはスピードの限界値を超えてしまったんだと思う。ターコイズSとヴィクトリアMを比較すると、ターコイズSは45.5-47.2で92.7、ヴィクトリアMが44.8-45.7で90.5になっていて、ヴィクトリアMでの自身の走破時計は92.2だった。ターコイズSに近いタイムなので、マイルの高速馬場でもこの辺りが限界値なのかもしれない。クイーンSでは中段やや前からL1で全く伸びなかったのは意外だった、前走の反動の可能性もあるが年齢的な衰えも感じたレースだった、ただ斤量が56㎏だった点は言い訳に出来るのでまだ見限るのは危険かもしれない。2019年府中牝馬Sは54㎏で2着と好走、ただどうしても先頭に出たがらないようで勝てそうなのにまたしても2着。

好材料は休み明け2走目で上積みが期待できる、休み明けでも走るが非ノーザンF生産馬なので、休み明け2走目の方が良いと思う。コース適正も昨年のエリザベス女王杯が0.6差7着なので悪くはないと思う、この時は直線入り口で中目から内へ入ってドン詰まる謎騎乗だったので、着順ほど悪くはないと思う。悪材料は苦手な56㎏で昨年のエリザベス女王杯、今年のクイーンSで56㎏を背負って凡走している。

<ブライトムーン>・心肺機能はやや低く、パワーはまぁまぁ、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力は高い。

”ローズS”ではややハイペースバランスを最後方から、直線中目からスムースだったが凡走、上がり2番時計でだが全く届かずだった。”2019年不知火特別”では平均バランスを中段から、終始最内を回してコースロスなく進めたが、伸びきれずに3着まで。”2019年西海S”ではスローバランスを離れた追走集団の中段やや前から、L3から捲り追い込みで1着、持続力を見せた。”2019年古都S”ではスローバランスを3番手先行、直線内からスムースだったがジリジリしか伸びずに3着まで、3F戦で稍重とは言えトップスピードの質が高くなかった。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:・・・。悪材料:クラス負けの危険。

ローズSで最後方から8着に入ったが稍重馬場でバテ差しで着を拾った感じで、上がり2番時計でもトップスピードの質は評価できない。平均バランスの不知火Sで中段から進めたが伸びあぐねているので、心肺機能は高くなく中段からではトップスピードの質が落ちてしまう。これは古都Sでも見せているので、トップスピードの質で勝負できるとすれば、道悪で前半が遅く後半も時計の掛かる特殊な条件だけだと思う。

ノースヒルズ生産のルーラーシップ産駒なので休み明けは良くない、

好材料は無し、悪材料はクラス負けの危険で、前走3勝クラスを3着しているだけ。相手関係とタイムを考えてもレベルの高いレースではなかった。

<ボンテザール>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力は高い。

”未勝利戦”ではスローバランスを中段の後ろから、L3から捲り追い込みで1着。”2019年荒川峡特別”ではスローバランスを中段の後ろから、4コーナーから捲り追い込みで1着。”2019年北海ハンデキャップ”ではスローバランスを後方から、L3から捲り追い込みで1着。”丹頂S”ではスローバランスを中段から、L3から捲り追い込みで1着。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:騎手。悪材料:斤量大幅増、クラス負けの危険、初輸送。

お母さんがジョコンダⅡでサトノクラウンの半妹にあたる、特徴もよく似ていてとにかくバテない。底なしのスタミナを武器に長距離戦で良さを見せた馬だが、新潟の荒川峡特別以外は11秒台のラップをほとんど踏んでいない。なので持続力は強烈なものがあるが、トップスピードの質は低い、当然瞬発力も低い。クリンチャーによく似ていますね。

脚質は一貫してⅬ3からの捲り追い込みで徹底している、これで未勝利戦から丹頂Sまで4連勝しているので、この戦略が合っているのだろう。前半無理をしないことで後半息の長い脚を使ってくるので、持続力は非常に高い。この感じから距離は長い方が良いはずだし、サトノクラウンに似ていることからも道悪で良さが出そう。

好材料は世界のR.ムーア騎手へ乗り替わり、世界トップレベルの騎手なのでこれは大きな好材料。悪材料は前走が斤量50㎏なので一気に6㎏もの斤量増。初のGⅠで重賞にも出走経験がないのでクラス負けの危険はあるし、11秒台のラップをほとんど踏んだことがないのでスピード負けの危険もある。加えて関西圏への輸送が初めてでデリケートな牝馬なので大きな不安材料。当然初コース。

ムーア騎手の予定が藤岡康太騎手へ変わっています、騎手を好材料に出来なくなったどころか、悪材料とまではいわないが不安材料になりました。数少ない好材料が無くなり非常に苦しいのではないかと思いますが、再三書いている通り道悪なら問答無用で馬券に入れた方が良いと思います。

<ミスマンマミーア>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力は高い。

”2019年阪神500万条件”では平均バランスを離れた追走集団の中段から、稍重の中直線スムースのバテ差して1着、消耗戦で持続力を見せた。”2019年三田特別”ではややハイペースバランスを離れた第二集団のやや後ろから、L3から捲り追い込みに乗って3着まで、すぐ前に居た1着サトノガーネットにトップスピードの質で明確に見劣り。”2019年木曽川特別”では重馬場で平均バランスを中段の後ろから、4コーナーを外から押し上げてバテ差し1着、持続力を見せた。”2019年六社S”ではスローバランスを中段から、4コーナー外を回して直線スムース、ジリジリ伸びて3着まで、この時は53㎏。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:前走牡馬混合戦。悪材料:クラス負けの危険。

元々は地方所属だったが2019年に栗東の寺島厩舎に移籍して本格的に中央競馬に参戦してきた、2,3歳時に札幌2歳SやアルテミスSに挑戦してはね返されてしまったし、中央では結果が出なかった。

木曽川特別ではまぁまぁの心肺機能と持続力の高さを見せてきた、重馬場だったこともありトップスピードの質は問われていないし、平均バランスで前は相当苦しくなっていた中でバテ差す競馬だった。この展開は500万条件を勝った時と同じで、こういう展開が合っている感じはする。評価が難しいのが六社Sで1着アフリカンゴールドが次の格上げ戦でアルゼンチン共和国杯を3着して見せた、超高速馬場の割にスローペースだたのであまり評価はできないが、六社Sの3着はまぁまぁの評価をしないといけないかな~。ただ上がり2番時計で33.5を出したが当日は超高速馬場だったので、トップスピードの質は評価できないと思う。これは三田特別でもすぐ前に居たサトノガーネットに大きく見劣ったので、高速馬場でトップスピードの質を問われるのは良くないと思う。

最大の武器は持続力で500万条件も木曽川特別も息の長い末脚でバテ差して来た、決して速い上がりではないがバテないというか、自身のスピードの範囲内ならばどこまでも伸びる感じで、道悪でこその馬だと思う。もちろんこれは高いレベルでの話で、低レベルなスローからのロンスパなら十分通用しそう。非ノーザンF生産馬の割に六社Sで3着しているように、休み明けでもまぁまぁの仕上がりにはなる。

好材料:前走は六社Sで牡馬混合の順OP、GⅠとは言え牝馬限定戦なら相手関係を楽に感じるかもしれな。木曽川特別で2200mを勝っているので距離適正は問題ない。悪材料はクラス負けの危険で、前走の勝ち馬がいきなり重賞で3着しているが、どうも信用できない。トップスピードの質が低いので先行出来ない脚質では苦しくなるはずだし、消耗戦になる可能性は高くないと思うので、道悪にでもならないとここでは買いにくい。