2019年エリザベス女王杯 全頭評価。その5。ラッキーライラックはやや長いか?

<ラッキーライラック>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力はまぁまぁ。

・阪神でのL2最速戦が得意。

”チューリップ賞”ではスローバランスをやや離れた3番手からL2最速戦で圧勝。”阪神JF”ではややスローバランスを中段から、L2最速戦でリリーノーブルを差し切り。”桜花賞”では平均バランスを3番手追走から自身は直線に入ってから追い出して、外から勢いを付けたアーモンドアイに差されて2着。”オークス”では実質ややスローバランスを離れた4,5番手追走から2F戦になりジリジリ3着。この時が休み明け3走目。”2019年中山記念”では離れた2番手追走から実質平均バランス、3F戦にして2着に粘り込み、トップスピードの質は低かったが長く足を使ってきた。”2019年阪神牝馬S”ではスローバランスを中段から、道中不利を受け直線でも前が壁になりレースにならず。”2019年ヴィクトリアM”ではハイペースバランスを中段の前から、直線はスムースに中目に出したが持続力でわずかに見劣り4着、心肺機能は上がってきた。”2019年府中牝馬S”ではややスローバランスを中段の前から、終始外目を回して直線Ⅼ2で先頭に立つもL1で交わされて3着、この時が休み明け。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:休み明け2走目、騎手強化。悪材料:距離不安、騎手不安、反動不安。

この馬のベストレースは今のところ桜花賞で、この時は前半800m46.6の平均バランスを先行してL2で出し抜いたところを、L1アーモンドアイの強襲に合った。この時期に前半800m46.6の平均バランスを先行して2着は、勝ったのがアーモンドアイも含めて高評価。チューリップ賞のL2は目視10.2くらいの急加速をしていて、瞬発力の高さを見せた、ただこの時は前半800m47.5のスローバランスだったことと、L1で11.5まで落としているので一瞬の加速が鋭いタイプかもしれない。この感じは中山記念でも見せていて、マルターズアポジーに追いつく勢いでL2が11.6と瞬発力は見せたが、L1で11.9に落として2着。目視だがL3から11.5くらいは踏んでいるので、いい脚は2Fくらいしか持続できないかもしれない。

実はアルテミスSで「このいい脚は2Fくらいしか使えない」という特性は見せていて、この時は雨だが良馬場表記、時計はやや掛かっていたので実質的には稍重位だと思う。サヤカチャン(2着)が逃げていて、これをL2で4馬身位あった差を一気に縮めて、L1突き抜けるかと思ったがサヤカチャンに粘られたというよりも、ラッキー自身が落として0.1差の辛勝だった。目視L3から11.4-11.1-12.2でL2の瞬発力はまぁまぁだが、L1で落としたところから持続力には疑問符が付く。中山記念でもレベルは高くなったが同じようなラップになっている。2019年阪神牝馬Sで見せた出負けと、内で揉まれて投げ出した気性はお父さんのオルフェーブルそっくりで、内枠に入ってしまうと危険は増すと思う。

2019年ヴィクトリアMが僅差の4着、このレースは超超高速馬場でハイペースバランスの消耗戦、当時のマイル日本レコードが出るほどの馬場でかなり軽かった、これを中段の前からになり瞬発力は問われていない、トップスピードの質と持続力でノームコアとプリモシーンに、持続力でクロコスミアに見劣ったレースだった。もちろん見劣ったと言っても非常に高いレベルでの話で、海外帰りで体調イマイチのアエロリットとは言え1馬身半の差を付けたし、ミエノサクシード以下は完封しているので、この馬も高評価で良いと思う。特に前半から流れて瞬発力を問われなかったことで、消耗戦の持続力勝負に持ち込めた。こういう展開でも好走できたのは今後に向けて、大きなプラス要素だと思う。

2019年府中牝馬Sでちょっと不安な面を見せたのが距離適正で、L2で先頭に立って突き抜けるかと思ったがL1で垂れてしまい3着、休み明けの影響ならいいが超高速馬場の1800mで垂れたことは印象が悪い。2019年の中山記念は牡馬相手だったし、1着が後の香港クイーンエリザベス2世Cの勝ち馬ウィンブライトだったのであまり意識しなかったが、この時もL1で落としているんだよね。秋華賞は休み明けで中間順調さを欠いたようで度外視した方が良いと思うが、オークスでもL2標識過ぎにリリーノーブルに突き放されてしまった。マイルベストにシフトしてきた可能性があり、1800は超高速馬場でギリギリになっている可能性がある。

好材料は休み明け2走目での上積み期待、ノーザンF生産馬なので休み明けでも走るのは府中牝馬S3着でも見せているが、一叩きされれば更なる上積みに期待したい。騎手はずっと乗ってきた石橋騎手からスミヨン騎手に乗り替わり、当然大幅な好材料で騎手だけでも買い材料になる程だが・・・ここは後程。

悪材料は上記した距離不安で、ここはやってみないと分からないので不安材料というよりも未知数な部分。騎手強化と同時に騎手不安もあって、スミヨン騎手は制裁を再三受けている。すでに点数も溜まってきたので無茶な騎乗は出来ないと思うし、結果は出しているが周囲の印象は最悪に近いようなので、少し大人しくなるかもしれない。まぁ外枠なら問題ないと思うが内枠に入ったら少し嫌な感じですね。反動不安もやや不安な点で、休み明けの中山記念を牡馬相手に好走したあと、牝馬限定で明らかに相手が弱くなったにもかかわらず阪神牝馬Sで自滅してしまった、これはどう考えても力負けではないので、好走後の反動も考えられると思うんだよね~。今回は牝馬限定戦からだし3着に負けているのであまり心配はないと思うが。

<ラブズオンリーユー>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁで持続力は高い。

・スタートが悪く、掛かることがある。

”白菊賞”では平均バランスを中段の後ろから、4コーナー出口で外に出して直線はバテ差し、コーナーで加速しながらスムースに外に出せる操縦性の高さ、コーナーで11秒前半の脚を使える器用さ、L1も11.7で纏める持続力を見せた。”忘れな草賞”ではスローバランスを掛かりながら中段の後ろから、向正面で緩んだところを中段の前まで上がって、4コーナーから流れる展開を外からじわっと進出してL2で前を捉えて押し切り、L3から目視で11.4-11.2-12.0とここでも持続力を発揮、瞬発力についてはL3、L2が下りの為評価できず。”オークス”では平均バランスを中段から、4F戦になりバテ差し1着、心肺機能と持続力を見せた。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:休み明けでフレッシュ、コース適正。悪材料:後方から届くかどうか。

サンプル数が少なく厄介な馬ではあるんだけど、ハッキリしているのは持続力が高いこと、トップスピードの質はまぁまぁ、コーナーでも加速できる器用さです。白菊賞が結構いい内容で平均バランスから上り33.9とまぁまぁのトップスピードを見せている、前日の12Rが古馬1000万条件で1:33.5の時計で、この時の1着がエントシャイデンなので時計は評価していいと思う、もちろん最内をロスなく回って4コーナー出口でスムースに直線に入れた点は恵まれている、平均バランスで流れたため掛かることもなかったなど全てが上手く運んだ感じだった。忘れな草賞が勝ったとはいえやや物足りない内容で、桜花賞当日の馬場はかなり軽かったにもかかわらず、スローバランスで2:00.6と平凡だった、後半1000mも59.6、上がり3Fも34.6も掛かっていてやや遅い印象。休み明けだったこともあるが前半のスローペースでかなり掛かっていたことは確かで、それを差し引いても後半のタイムは物足りない。

オークスは平均バランスを中段からしっかり伸びて勝ち切った、勝負根性はかなり物を見せたし持続力の高さはかなり高い。このレースはL3最速のバテ差しのレースになっていて、前はかなり苦しいレースになっているので中段で足を溜められたのは大きい。そういう意味では前で粘ったカレンブーケドールはかなり強いと思う。この馬はL3からゴーサインを出している割に加速は鈍かったので、瞬発力は低いと思うのでコースや展開には注文が付くかもしれない。

好材料は休み明けでフレッシュな点で、忘れな草賞を快勝しているので休み明けは問題ない。ノーザンF生産馬なので休み明けの不安はないし、秋華賞でもクロノジェネシスがオークス以来であっさり勝っているので、外厩の凄さは今更言うまでもない。コース適正は新馬戦、白菊賞でマイル戦を勝っているし、距離もオークスをバテ差す形で勝っているので問題ない。

悪材料はスタートがあまり良くない馬なので、どうしても中段よりも後ろからになる。京都外回りは意外に後ろから差し切れないことが多いので、この馬のトップスピードの質で届くかどうかは未知数ですね。

<レイホーロマンス>・心肺機能はまぁまぁ、パワーはある、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。・上がりが掛かる時に。  

”2018年愛知杯”では平均バランスを後方から、上がりが掛かって届いて2着。”2018年中山牝馬S”ではスローバランスを後方から、L2最速戦を後方から勢いを付けて捲くり気味に3着まで。”2018年福島牝馬S”ではややハイペースバランスを中段の最内から、L2で手応えが怪しくなり流れ込んで5着。”2019年マーメイドS”では平均バランスをやや離れた追走集団の後方から、4F戦を直線で外に出しバテ差し6着まで。”2019年七夕賞”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、消耗戦になったが6着まで。”2018年小倉記念”ではスローバランスを中段の後ろから、後半6Fのロンスパになり持続力を生かして4着。”2018年エリザベス女王杯”ではスローバランスを中段の後ろから、L2で付いて行けずに凡走、瞬発力とトップスピードの質が低い。”2018年中日新聞杯”ではハイペースバランスを最後方から、直線外からスムースにバテ差して4着まで、すぐ前に居たショウナンバッハにトップスピードの質で大きく見劣り。”2019年愛知杯”ではスローバランスを中段やや後ろから、終始最内を回して直線やや前が壁になり7着まで。”2019年中山牝馬S”では平均バランスを最後方から、4コーナーから押し上げたがすぐ前に居たウラヌスチャームにトップスピードの質で見劣り8着。”2019年オクトーバーS”ではスローバランスを中段やや後ろの最内から、直線スムースだったが伸びずに凡走、この時休み明け。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:休み明け2走目。悪材料:クラス負けの危険。

2018年2着と2019年7着の愛知杯がこの馬の特徴をよく表していて、2018年はほぼ平均バランスを後方から持続力を生かしてバテ差し2着、2019年はスローバランスでトップスピードの質で見劣り7着になっている。持続力は高いがトップスピードの質が低いタイプで、後方からになるのでスローバランスやレベルの高いメンバー相手では届かない。2019年の中日新聞杯でハイペースバランスを最後方からだが、バテ差し4着まで持ってきたので心肺機能はまぁま、この時はかなりのハイペースバランスで自身平均くらいでは走っている。ただすぐ前に居たショウナンバッハにトップスピードの質では明確に見劣ったので、高くは評価できない。

非ノーザンF生産のハービンジャー産駒なので休み明けは良くなく、2018年エリザベス女王杯で2か月半の休み明けで13着、まぁこの時はレベルの差が出ているので可哀想だったが、2019年オクトーバーSでも10着とピリッとしないどころかはっきりと良くない。条件戦でも衣笠特別で4着に取りこぼしているので、休み明けは良くなく使い減りしないのはお父さん譲りですね。

好材料は休み明け2走目で上積みが期待できる、非ノーザンF生産のハービンジャー産駒なので休み明けは良くないのはハッキリしている。悪材料はクラス負けの危険で昨年は間隔空けたとはいえ13着と全く勝負にならなかった。近走は中山牝馬Sでも凡走しているし、このクラスでは苦しいと思う。

<レッドランディーニ>・心肺機能はまぁまぁ、パワーはやや低い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”2018年500万条件”ではスローバランスを後方から、直線空いた中目を伸びて1着、トップスピードの質と持続力見せた。”2018年蛍池特別”ではややハイペースバランスを離れた追走集団の中段から、3,4コーナー外を回して直線スムースだったが6着、2か月の間隔空けでプラス8㎏と体調イマイチだったかも。”2019年北大路特別”では平均バランスを中段から、4コーナー外を回して直線スムースだったがジリジリで5着まで、心肺機能の問題かも。”2019年糺の森特別”ではハイペースバランスを大きく離れた追走集団の後方から、自身平均バランスくらいで前半48秒5くらいをバテ差し3着。”2019年御室特別”ではスローバランスを中段から、4F戦を圧勝でトップスピードの質と持続力を見せた。”2019年マーメイドS”ではややハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回して直線外からスムースに伸びて2着、馬場もやや重くL1で垂れたところを差されている。”2019年府中牝馬S”ではややスローバランスを中段から、直線スムースだったがすぐ前に居たフロンティアクイーンに一気に引き離されて凡走。

「エリザベス女王へ向けて」好材料:休み明け2走目。悪材料:クラス負けの危険。

2018年蛍池特別や2019年北大路特別で心肺機能の低さが原因かと思ったが、どうも重い馬場が苦手な感じで、軽い高速馬場だった糺の森特別で平均バランスから3着に好走している、この時は2頭が大逃げを打つ変則的なレースだったので、自身は平均バランスくらいで前半800を48.5くらいだった、レベルの高い1戦ではないが平均バランスでも最後まで足を使ってきたので、心肺機能はまぁまぁだと思う。新潟500万条件や御室特別ではトップスピードの質と持続力の高さを見せているので、軽い高速馬場は向いていると思う。マーメイドSではややハイペースバランスを中段の後ろから早目に仕掛けてL1垂れてしまった、1着のサラスも上がり3F34.6と後方で溜めていた割に速くはないので馬場は重かったんだろうと思う、これで自身4F戦くらいの仕掛で2着なので持続力は見せているが、この時は51㎏の軽ハンデだった。

2019年の府中牝馬Sでは中段から進めて直線スムースだったが、すぐ前に居たフロンティアクイーンに一気に引き離されて瞬発力の低さを、後ろからスカーレットカラーに交わされてトップスピードの質で大きく見劣った。トップスピードの質はまぁまぁの評価だったが、超高速馬場の重賞では並レベルにまで評価が下がってしまう。

好材料は休み明け2走目で上積みが期待できる、糺の森特別が休み明け3着から、休み明け2走目の御室特別で1着と調子を上げてきた。ノーザンF生産馬なので休み明けが悪い訳ではないが、上積みは期待できる。悪材料はクラス負けの危険で、前走は休み明けとは言え牝馬限定GⅡで全くレースにならなかった。休み明け2走目の重賞ではチューリップ賞も0.7差5着と、このクラスでは難しいかもしれない。