2019年有馬記念 全頭評価。その2。

<エタリオウ>・心肺機能はやや低く、パワーはある、瞬発力は高くない。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。・休み明けでも走る。

”菊花賞”ではスローバランスを出遅れ後方から中緩みで押し上げ、4コーナー外から早目に追い出して抜け出したがフィエールマンに瞬発力で見劣り2着。”神戸新聞杯”ではスローバランスを後方から、エンジンの掛かりが遅く2着まで、トップスピードと持続力は見せる。”2019年日経賞”ではスローバランスを中段から、向正面で押し上げて2番手へ上がり直線はそのまま。スローから勝ちに行く展開で価値のある2着、後半のロンスパには目途を立てた。”2019年天皇賞(春)”ではスローからのL2 最速戦、最後方から上がりの競馬になり出番なし。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを後方から、4コーナーで外を回して距離ロスも大きく凡走。”2019年京都大賞典”では平均バランスを後方から、直線外から追い込んだが4着まで。”2019年ジャパンC”ではややハイペースバランスを中段の前から、直線外からスムースだったが伸びずに凡走。

「有馬記念へ向けて」好材料:コース適正。悪材料:休み明け3走目の疲労、近走の不調。

2019年天皇賞(春)はミルコの失策だと思う、失策と言うかミルコの予想が外れたんだと思う。まぁ私もミルコと同じように消耗戦になると予想していたが、ミルコも消耗戦になると考えた節がある。この頃のミルコは何をやっても裏目裏目で本当にリズムが悪かった、だからこそ一か八かの後方待機策だったんだろう、結果的には大外れだった訳だけど。

2019年日経賞が好内容で、豊騎手のペースに嵌りながらも2着まで持ってきたのは、ミルコの判断とこの馬の持続力の高さだと思う。後方で溜めれば高いトップスピードを発揮できるし、持続力はどんなペースでも高い、なので前半のポジションが最大の問題。この時は休み明けで2着に好走したので、休み明けでもいきなり走る、ノーザンF生産馬なのでこの辺は不安なし。2019年京都大賞典では後方からになり直線だけの競馬で5着まで、休み明けでトップスピードの質を引き出せなかった感じで届かなかった。

まぁまぁのトップスピードの質と持続力はダービーや神戸新聞杯で見せていて、後方から溜めに溜めて爆発させてきた、ただこのポジションでは届かなかったので、やはり位置取りがネックになる。エンジンの掛かりが遅い感じも見せていて、いわゆる出し切ってしまいたいタイプなんだけど、仕掛け所がコーナーだと加速が鈍る感じがある。2019年ジャパンCでは先行したが7着凡走、重馬場でややハイペースバランスだったことで心肺機能が限界だった可能性がある。

好材料はコース適正で、日経賞で2着があるので好材料になる。悪材料はステイゴールド産駒なので休み明け3走目は疲労の不安がある、前走は重馬場だったし疲労はあるはず。近走どうもピリッとしないというか、京都大賞典でも2番人気に推されながら5着と、かなり物足りないレースだった。日経賞では2着に好走していながら宝塚記念で9着に負けてしまったのも印象悪く、日経賞のレースレベルに疑問符が付いた。3着がサクラアンプルールだし4着がハッピーグリンなので今から思えば低レベルと言っていいかもしれない。なのでコース適正は良くてもこのクラスで好走できるかは不安の方が大きいと言わざるを得ない。

<キセキ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は化け物レベル。

・休み明けはやや良くなく、使い減りしない。

”2018年毎日王冠”ではスローバランスを先行、L3最速戦を粘るも3着、この時が休み明け。”2018年天皇賞秋”ではスローバランスを逃げてL3最速戦で3着。”2018年ジャパンC”ではスローバランスを逃げてL3最速戦、中緩みを作らない厳しいペースにして2着、1着はアーモンドアイ、3着以下は圧倒している、この時が休み明け3走目。”2018年有馬記念”では平均バランスを逃げて5着、休み明け4走目になり出脚が悪く逃げ体勢を築くのに手間取っていた。”2019年大阪杯”ではスローバランスを2番手先行、直線で大きく外に寄れた分ロスになり2着まで、この時が休み明け。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを逃げて2着、1着のリスグラシューにマークされてL1で明確に垂れてしまった、この時が3カ月の休み明け。

「有馬記念へ向けて」好材料:コース適正。悪材料:海外帰りの休み明け、騎手。

2019年宝塚記念が3カ月弱の休み明けで2着、2019年大阪杯も休み明けで2着、2018年毎日王冠も3カ月の休み明けで3着とイマイチピリッとしない。2019年大阪杯で直線で大きく外に寄れたのが休み明けの影響なのか、それ以外の影響なのかははっきりしないが、2018年天皇賞(秋)や2018年ジャパンCでは見られなかったことなので、休み明けの可能性が高いと思う。この馬はノーザンF生産馬ではないので、外厩はどうしても弱い。なので、休み明けは良くないと思う。2019年大阪杯で体調万全なら負けないはずのアルアインに負けてしまったのは休み明けの影響でしょうね、次の2019年宝塚記念ではキセキも休み明けでしたが、アルアインも休み明けで今度はアルアインに先着しています。

この馬のいい面は持続力の異常さでこれはアーモンドアイを凌ぐほど、トップスピードも低くはないので、2018年天皇賞(秋)でアルアインを圧倒したのはこのため。2018年ジャパンCでもアーモンドアイには完敗したが、スワ―ヴリチャード以下はには完勝して持続力の高さを見せつけたし、トップスピードも十分の高さを見せた。高速馬場適正も見せているし、先行してしまえば持続力を発揮して安定した成績を残す。川田君もこの馬の特徴を完全に掴んでいるので、川田騎手で逃げ・先行なら不安はない馬ですね。

好材料はコース適正で中山コースは2回走って9着、5着と一見相性が悪そうですが、日経賞では海外帰りの休み明けで掛かって制御できなかったし、昨年の有馬記念は休み明け4走目の疲労と大外枠で前半無理した分が影響したはず。宝塚記念で2着しているので、阪神内回りと中山コースは共通点が多く両グランプリを好走する馬は多いので、コース適正は良いと思います。

悪材料は海外帰りの休み明けになる点で、このローテーションは2018年香港ヴァーズと同じローテーションになります、日経賞が中山2500mで前半からかかってしまい9着に大敗してしまいました。もともと休み明けは良くない馬でさらに海外帰りというストレスが重なり精神的にも走れる状態ではなかった感じです。5歳になり精神的に成長していれば克服できる可能性はありますが、非ノーザンF生産馬で外厩が弱いことは変えようもなく、休み明けがピリッとしない特性は同じだと思います。今回はムーア騎手に乗り替わります、ムーア騎手は先週の朝日杯FSを勝っているようにトップクラスのジョッキーですが、ヨーロッパを主戦とする騎手に多く見られるように好位からの差しを最も得意としている騎手です、キセキはトップスピードの質と瞬発力については並レベルなので溜め差しになってしまうと脆さを出してしまうと思います。凱旋門賞でも全く届かないレースでしたし、ムーア騎手への乗り替わりが決してプラスではないと言う評価です。

<クレッシェンドラブ>・心肺機能は高い、パワーも高い、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高くはなく、持続力は高い。

”2018年霞ケ浦特別”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー外を回してL1で突き放して圧勝、パワーと持続力を見せた。”2019年迎春S”ではスローバランスを中段から、直線入り口で前が壁になり、L1標識付近で再度コースが無く外に出してから伸びて3着まで、持続力とパワーは見せたが瞬発力は低い。”2019年美浦S”ではほぼ平均バランスをスタートでややバランスを崩して後方から、中盤から11秒台に入るロンスパになり3,4コーナー外を回してバテ差し1着、心肺機能を見せた。”2019年福島民報杯”ではハイペースバランスをスタートでややバランスを崩して中段の後ろから、3,4コーナーで外を回して直線我慢して2着まで、中盤で同じ位置に居た1着レッドローゼスよりも先に動き目標にされた、3着カデナは押さえ切っている。”2019年七夕賞”ではハイペースバランスを離れた追走集団の後方から、1着ミッキースワローを目標に捲りを打って2着まで、持続力と心肺機能を見せた。”2019年オールカマー”ではスローバランスを中段から、3、4コーナー中目をまわして直線入り口では前が壁になり待たされてしまい5着まで。”2019年福島記念”ではハイペースバランスを中段から、3、4コーナーで外目から捲り追い込みに行きL1バテ差す形で1着、心肺機能と持続力の高さを見せた。

「有馬記念へ向けて」好材料:コース適正。悪材料:クラス負けの危険。

美浦Sが平均バランスを後方からになったが、L4辺りから捲って行って勝ち切ってしまった、2着がシンギュラリティ―なのでこの持続力は評価すべきだと思う。心肺機能を見せたのが福島民報杯と七夕賞で共にハイペースバランスを後方から、自身は平均バランスくらいのはずでロンスパの末にバテ差して来たのは、持続力だけでなく心肺機能も好評価。福島民報杯では動き出しが早かったので、正直凡走もある展開だったがこれで2着に残ったし、3着のカデナを抑えきったのは驚いた。レッドローゼスよりも先に動いた分が響いての2着なので、内田騎手の判断は良くなかったと思う。美浦Sでも平均バランスを後方から動き出すタイミングが早かったように思う、内田騎手のこの判断は今後も継続して乗るようだと不安材料になりそう。 

2019年オールカマーで中段から進めて直線入り口で前が壁になってしまい5着に負けてしまった、直線入り口で待たされたのが非常に痛い負け方で、手応えだけなら3着以内に食い込んできてもおかしくないレースだった、ここでも内田騎手のコース取りがまずかった感じがある。それを踏まえて2019年福島記念では非常にスムースなレース運びをしてしっかりと勝ち切っている、この馬はステイゴールドの産駒の割に瞬発力はそれほど高くはないので、直線もしくは4コーナーからスムーズに加速ができる、進路取りもスムースの時程成績が良い。

好材料はコース適性で中山コースとは非常に相性が良く2500mでも2着があるので相性の良いコース。悪材料はクラス負けの危険でオールカマーでは直線入り口で待たされたとはいえ5着と結果を残していない、 前走福島記念を勝ち切っているがローカル重賞で2着のステイフーリッシュが2.5kg重く、3着のミッキースワローは3.5kg重かったので、一着とはいえ高くは評価できない。当然 G 1は初めてなのでここで好走できるかどうかは未知数というよりも大きな不安がある。