2020年天皇賞(春) 全頭評価。その2。

<シルヴァンシャー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力はまぁまぁ高い。

”2018年500万条件”ではハイペースバランスを離れた追走集団の中段やや後ろから、直線前が壁になったが馬群をぬって差し切り1着、ハイペースバランスからかなりの中緩みがあって2F戦になっている、これをL2から11秒台連発なのでトップスピードの質はまぁまぁ。”2018年境港特別”ではスローバランスを最後方から、L4から大外を捲くって圧勝、この時の2着がメールドグラースで持続力の高さを見せた。”2019年御堂筋S”ではややスローバランスを馬群がばらけて中段の後ろから、L3で外に出してから追いっぱなしでバテ差し1着、L1で12.8まで落としているので、持続力が生きた形。”2019年京都大賞典”では平均バランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースに伸びて3着。

「天皇賞(春)へ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:クラス負けの危険、初距離。

2億5200万円のロイカバード、2億7000万円のアドマイヤアゼリの全弟、お兄ちゃんお姉ちゃんは高額馬の割にパッとしなかった。500万条件を勝った時が変なラップになっていて、前半は速かったが中緩みがあっての2F戦になった、この2Fで11秒台を連発してきたので、トップスピードの質はまぁまぁ。境港特別ではスローバランスからロンスパの捲りを打って圧勝してきた、この時の2着がメールドグラースで全く相手にしなかったのは高評価。外からスピードに乗ってしまえば持続力を発揮する、L1で12.3まで落しているのでトップクラスの持続力とまでは言えないと思う。御堂筋Sでもヴァンドシルムをやっとこさ差し切っているので、トップスピードの質、持続力はまぁまぁのレベル。

2019年京都大賞典ではゲートから煩く出遅れ気味、タイミングが合って中段から進められたが、今後は不安になるスタートだった。ここでもトップスピードの質で見劣り、3着までだったのでスタート不安で前に行けないと、このクラスでは苦しくなると思う。

好材料はコース適性で京都外回りは500万条件でも勝っているし、前走初重賞で3着に好走している。半年以上の休み明けになるが、前走も京都大賞典でも半年ぶりで3着に好走しているように、この馬はノーザンF生産馬で外厩でしっかりと仕上げてくるので不安なし。ミルコへの乗り替りも不安はないですね。悪材料はクラス負けの危険で、トップスピードの質が問われないならば大きな不安はないが、京都大賞典では1着のドレッドノータスにも末脚で見劣っているので、ミルコがどう乗るかですね。距離不安は初めてなので当然あるが、こればかりはやってみないと分からない。

<スティッフェリオ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力はまぁまぁ。

”2018年札幌記念”ではハイペースバランスを中段やや前からトップスピードの質で見劣り5着、休み明け4走目の疲労。”2018年オクトーバーS”ではスローバランスを中段から、トップスピードの質で見劣り4着。”2018年福島記念”ではハイペースバランスを先行してバテ差し1着。”2019年小倉大賞典”では平均バランスを中段やや前からバテ差し1着。”2019年大阪杯”ではスローバランスを3番手先行、4コーナーで外目を回らされて直線も伸びない外目からになり7着まで、外枠で内のポジションを取れなかったのはハンデになった。”2019年宝塚記念”ではスローバランスを中段やや前から、直線は伸びずに7着、スタートで出遅れたキセキを待ってしまい、トップスピードの質で明確に見劣った。”2019年オールカマー”ではスローバランスを逃げ切り、L4から11秒台に入れる4F戦でトップスピードの質を問われない展開に持ち込んだ。”2019年天皇賞(秋)”ではスローバランスを2番手先行、直線ではトップスピードの質で見劣り凡走。 ”2019年有馬記念”では離れた追走集団の前から、3コーナーで前を捕まえに行ったが直線入り口で一杯になり凡走。”2020年AJCC”ではスローバランスを逃げて凡走、オールカマーに比べてやや速いペースになり、4コーナーでも外を回す謎騎乗だった。”2020年日経賞”ではスローバランスを中段から、乱ペースには付き合わずに3,4コーナーで早目に捲り追い込みに行き3着。

「天皇賞(春)へ向けて」好材料:・・・。 悪材料:距離不安、クラス負けの危険。

福島記念、小倉記念とGⅢを連勝した時は、ハイペースバランスと平均バランスで心肺機能と持続力が生きたレースだった。オクトーバーSでトップスピードの質が低いのははっきりしているので、中段より後ろ、スローバランスでは苦しくなると思う。

GⅢを連勝と言っても福島記念の2着がマイスタイル、3着が57㎏のエアアンセム相手にこちらは55㎏だったし、小倉大賞典でも2着はタニノフランケルで、タニノフランケルが鳴尾記念でボロ負けしている、3着はサイモンラムセスだったからレースレベルは低い。

正直言うと大阪杯の7着はかなり驚いた、内外で1頭分の違いはあるけどキセキに0.5秒離されたのは事実だし、GⅠレベルになると持続力もまぁまぁのレベルで武器にはならなかった。社台Fの生産馬の割に休み明けでも走るのは意外な点で、小倉大賞典が3カ月強の休み明けで勝ち切っている。ステイゴールド産駒らしく疲労には弱く、休み明け4走目になった札幌記念では5着に負けている。セントライト記念や菊花賞の凡走も使い詰めの疲労だと思う。2019年オールカマーでスローバランスからの4F戦を逃げ切った、後半6Fを12秒台前半で緩めなかったことで、後続にも足を使わせる展開になった、これで改めて持続力の高さを見せたことと、他馬のトップスピードの質をいかに封じるかがこの馬の課題。

2019年天皇賞(秋)ではスローバランスを2番て先行したが、直線では早々にトップスピードの質で見劣り凡走している、このレースは終始11秒台を連発するラップ推移で完全にスピード負けした感じ。このラップ推移がオールカマーとの違いで、オールカマーは12秒台のラップ推移で進めたことで好走できたのだろう。2019年有馬記念では離れた追走集団の前からで自身ハイペースバランスくらいには入っているはず、3コーナーで早目に掴まえにったことで直線入り口では一杯になってしまった。11秒台のラップは踏んでいないはずなので距離が長かった可能性が高い。2020年AJCCでは稍重でスローバランスだったが、個別のラップで見るとオールカマーの時よりも速く、3,4コーナーでは外を回す謎騎乗で凡走。この時は昨秋3走した後の4走目で疲労の影響もあったはず。2020年日経賞では乱ペースに付き合わずに中段から、3,4コーナーで早目に捲り追い込みに行き、直線入り口で先頭に立ったがL1でやや落とし3着。

好材料は見つけにくく、3年前の菊花賞で14着、この時は不良馬場だったので参考にならない。京都外回りの経験も菊花賞以外ないので、未知数な部分が多い。距離適性も未知数で、長いところだと昨年の有馬記念で13着と凡走、離れた追走集団の先頭からで、自身もハイペースバランスに入っていた可能性がある、これでL1手前で一杯になっているので距離の可能性もあるが、ペースが速過ぎた可能性の方が高いと思う。それを裏付けるように2020年日経賞ではスローからの後半ロンスパで3着、3,4コーナーで外から捲り追い込みを決めたが、前が落としているので結構楽に捲れたはず。それでも11秒台を連発していることは確かなので、持続力の高さは相変わらず。11秒台を4つ続ける持続力は持っているが、前半にそれを使ってしまうと後半は持たないという事なんだと思う。例年の天皇賞(春)ならペースが上がるのはL4からなので、展開的には合う。悪材料は初距離とクラス負けの危険で、距離は未知数だがこの馬はGⅠで凡走続き、メンバー的には小粒だし展開的にも合いそうなので大きな不安はないかな~。

<タイセイトレイル>・心肺機能はまぁまぁ、パワーはまぁまぁ、瞬発力低い。

・トップスピードの質は低く、持続力はまぁまぁ。

”2019年サンシャインS”ではスローバランスを2,3番手先行、L2最速戦を出し抜かれて2着、1着パリンジェネシスに瞬発力で見劣ったし、トップスピードの質も低い。”2019年緑風S”ではハイペースバランスを後続を離した先頭集団の2,3番手から、トップスピードの質で見劣り2着、トップスピードの問われない展開になって2着に。”2019年グリーンS”ではハイペースバランスをやや離れた中段やや後ろから、4コーナー中目を回して直線L1で12.9をバテ差し1着、持続力とまぁまぁの心肺機能を見せた。”2019年札幌日経OP”ではスローバランスを中段から、3コーナーで捲りに行って4コーナー中目を回し直線粘って3着、L1で垂れてしまったのでこのクラスでは持続力もまぁまぁ。”2019年丹頂S”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線粘って3着。”2019年アルゼンチン共和国杯”ではスローバランスを中段のやや後ろから、終始最内を回して直線しっかり伸びて2着。”2019年ジャパンC”では重馬場でややハイペースバランスを後方から、直線も伸びずに凡走。”2020年日経新春杯”ではスローバランスを中段の後ろから、3コーナー手前で中段まで上がり4コーナー中目を回して直線スムースだったが4着まで。”2020年ダイヤモンドS”では平均バランスを中段やや後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったがL2で一杯になり5着まで。”2020年阪神大賞典”では超々ロンスパ戦を先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが息切れして凡走。

「天皇賞(春)へ向けて」好材料:・・・。 悪材料:クラス負けの危険、使い詰め。

2019年緑風Sでハイペースバランスを3頭で逃げて2着に粘った、もちろん超高速馬場で先行優位だったがトップスピードの質を問われない展開で、心肺機能と持続力を見せてきた。2019年サンシャインSではパリンジェネシスに完敗だった、かなりのスローペースで3F戦になり、L2最速戦で出し抜かれて2馬身離されてしまった。瞬発力でははっきり見劣ったというよりも、パリンジェネシスだってそんなに瞬発力は高くないので、これで出し抜かれてしまったのは印象が悪い。

OPに上がって札幌日経OPでスローから3コーナーで捲りに行くも、捲り切れずに中目を回して直線粘って3着、この時の1着カフジプリンスが休み明け、2着ハッピーグリンが海外帰りの休み明けだったので、着差は僅差だったが好評価はできない。2019年アルゼンチン共和国杯でかなりのスローバランスを中段から、直線内からしっかり伸びて2着と好走してきた、スローバランスになればまぁまぁのトップスピードの質を見せられることを証明した、ただこの時は55㎏だったしアルゼンチン共和国杯で2,3着の馬はその後活躍していないので、あまり高い評価はできないかな~。2019年ジャパンCでは重馬場でややハイペースバランスを後方からだったが、道悪と心肺機能の低さで凡走。

2020年日経新春杯で瞬発力の低さを見せた、4コーナーでは1着モズベッロのすぐ後ろに居たが、直線入り口で引き離されてしまい4着まで、この時はハンデ戦でモズベッロよりも3㎏重かったのでそこは考慮した方が良い。2020年ダイヤモンドSでは平均バランスの持久力勝負になってL2で一杯、最後に持続力で見劣った。2019年アルゼンチン共和国杯で好走した時はスローバランスだったので、前半から流れてしまう消耗戦では良さが出ないんだと思う。2020年阪神大賞典ではスタート良く先行、1周目スタンド前で出遅れたキセキが上がってきたところで、なぜか併せに行って超々ロンスパに付き合う謎騎乗だった、当然のように直線で息切れして凡走した。もちろん使い詰めもあったのでそこは考慮した方が良いが。

好材料はなく、悪材料はクラス負けの危険、アルゼンチン共和国杯では2着に好走したが、ハンデ戦で55㎏だったし、1着ムイトオブリガード、3着アフリカンゴールドがその後パッとしない。特にムイトオブリガードは阪神大賞典で一緒に走っていて、似たような着差だったので、条件に関係なくムイトオブリガードよりも高い評価はできない。この馬はハーツクライ産駒なので使い詰めは不安、矢作厩舎は好調だがかなり酷使するイメージがあり、疲労に弱いハーツ産駒としてはかなり悪材料になると思う。