2020年安田記念 全頭評価。その2。

赤いアンダーラインは加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、赤いアンダーラインの部分だけお読みください。

<クルーガー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。

”2016年マイラーズC”では平均バランスを中段やや後ろの最内から、L3の終盤からL2の序盤に内から取り付き空いた最内から差し切って1着、持続力の高さを見せた。”2017年富士S”では不良馬場でスローバランスを後方から、直線最後方から馬群の間を突いてジリジリ伸びて3着、持続力を見せた。”2017年マイルCS”ではほぼ平均バランスを中段の後ろから、4コーナー外目を回して直線外からスムースだったが、後ろからブラックムーンにも交わされてトップスピードの質で見劣り7着。”2018年京都金杯”ではハイペースバランスを中段から、直線はⅬ2まで追い出さずに後ろからブラックムーンに交わされてから、バテ差しで2着まで。”2018年東京新聞は”ではスローバランスを中段最内から、直線前が壁になり加速できずに凡走、すぐ横に居たリスグラシュー1着とコース取の差がモロに出た。”2018年富士S”では平均バランスを中段の前から、直線はトップスピードの質で見劣り凡走、この時は休み明け。”2019年札幌記念”では平均バランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走、この時が海外帰りの休み明け。”2020年東京新聞杯”では平均バランスをやや離れた2番手先行、中緩みからの3F戦でトップスピードの質で見劣り5着まで、休み明けの割にはまぁまぁ。”2020年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを中段のやや前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースに抜け出し1着。

「安田記念へ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:蓄積疲労。

2015年1月と2016年4月に同じ部位を骨折している、その後見事に復帰したので骨折の影響は考えなくていいと思う。2016年のマイラーズCで平均バランスを中段の最内から差し切っている、この時はL4から11.7のラップで京都らしい締まったペースになっていた、これをL3からL2で先団に取り付いて差し切っているので、心肺機能と持続力は高いと思う。問題はトップスピードの質で、2017年のマイルCSではスムースな競馬をしていながら、後ろからブラックムーンにも交わされているので、トップスピードの質は高いとは言えない。更に瞬発力は低く、これは2018年の京都金杯でL2まで追い出しを待ったために、外からブラックムーンに交わされている、交わされた後になってバテ差しで2着まで伸びてきているので、自身のトップスピードに入れるまでに時間がかかったのだと思う。

2020年ダービー卿CTで久々の1着、この時は高速馬場でハイペースバランスを中段のやや前から、終始最内を回して直線もスムースだった。この馬はキングカメハメハ産駒なので蓄積疲労が出ているはず、これをどう考えるか。まず8歳なので蓄積疲労は出ていることを前提に話を進める。このレースの2着が54㎏のボンセルヴィーソ、57㎏のレイエンダとケイアイノーテックが3,4着、56㎏のプリモシーンが5着と相手が弱すぎた可能性がある。プリモシーンは続くヴィクトリアMで、出遅れたとはいえ凡走したし、ボンセルヴィーソもハンデ戦の京都金杯で54kgを生かして3着がやっと。レイエンダとケイアイノーテックも重賞で結果が出ていなかったので、レースレベルには大きな疑問もあった。

この馬はノーザンF生産馬だがどうも休み明けがピリッとしない、2017年富士Sが3着だがこの時は不良馬場だったので、休み明けだと元々高くないトップスピードの質がさらに低下するのだと思う。それを見せたのが2019年札幌記念で、この時は海外帰りの休み明けで、3,4コーナーで1着ブラストワンピースのすぐ後ろから、4コーナー出口から引き離されてしまい凡走している。2020年東京新聞杯でも休み明けで5着、やや離れた追走集団の先頭でL3まで仕掛けを待ってしまい凡走した、この感じからは休み明けになるとトップスピードの質が落ちてしまう可能性が高い。

好材料はコース適性で2017年だが富士Sで3着がある、2016年のマイラーズC、前走のダービー卿CTを勝っているので距離適性は高い。悪材料は蓄積疲労でキンカメ産駒の8歳、前走は勝っているがレースレベルを考えると不安は大きい。元々国内GⅠでは結果が出ていないし、クラス負けの危険も。先行出来る馬なのでキャロットクラブのラビットなのかと邪推したが、他にキャロットの馬も出ていないし展開を壊すようなことも無いのかな~。

<グランアレグリア>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは程々、瞬発力は高くはない。

・トップスピードの質は高く持続力はとても高い。

・休み明けでも走る。

”新馬戦”ではスローバランスを先行して圧勝、この時の2着がダノンファンタジー。”サウジアラビアRC”ではスローバランスを大きく出遅れるがリカバリーして2番手で先行、直線はL2で抜け出し圧勝、直線では明確に甘くなっているので、リカバリーの為に前半から足を使うと終いが甘くなるのかも。”朝日杯FS”ではスローバランスを先行して、直線アドマイヤマーズに寄られて怯むも踏ん張り3着、坂で苦しくなってクリノガウディ―に差されているので、パワーが足りないかも、この時は初輸送。 ”桜花賞”ではスローバランスを中段の前から、L3の下りで一気に仕掛けて勝負を決めてしまった、レコード決着だがかなりのスローバランスで前半楽をしている。”NHKマイルC”ではハイペースバランスを中段の前から、直線では前が壁になり外の出そうとダノンチェイサーにぶつかり、4着入線も5着に降着、ルメール騎手も制裁、前半のハイペースで一杯になっていた可能性は高く、今後のペースが不安になる。”2019年阪神C”では平均バランスを中段やや前から、3,4コーナー最内を回して直線はスムースに裁いてL2で10秒台を叩き出し圧勝。”2020年高松宮記念”では重馬場で平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて2着。

「安田記念へ向けて」好材料:コース適性、距離適性。 悪材料:距離適性。

どうしてもサウジアラビアRCの終いの甘さが気になる部分、出遅れてリカバリーしたことでレース自体はスローバランスも自身では平均くらいにはなっているはず、目視だが1秒程度の出遅れで補正すると自身の800m通過は47.3になり、平均バランスになっている感じだった、これで上がり34.0は立派と言えば立派だが・・・。NHKマイルCもハイペースバランスを自身平均くらい、これで直線狭くなって降着になる程だったが、L2からは前が開いていてL1まではまぁまぁの粘りを見せたがL1から明確に落としてしまった。なのでマイルに限っては心肺期のがまぁまぁの評価。

朝日杯FSでは内枠から先行して、直線でアドマイヤマーズにプレッシャーを掛けられて怯んでしまった、この時は初輸送もあったし2歳のこの時期に牡馬との対戦でもあったので可哀想な面はあったが。強かったのが桜花賞で、スローバランスを中段の前から進め、L3の下りで捲り追い込みに行って圧勝してしまった、L3で10.8を出したトップスピードの質とL1も11.5で纏めた持続力はかなり高い。2019年阪神Cでは平均バランスを中段やや前の最内から、直線でスムースに捌いて圧勝した、L2で10秒台を叩き出して他を圧倒している。1400mでも前半やや掛かり気味だったがすぐに折り合っているし、スピードで圧倒してきたので短距離適正の高さを見せた。2020年高松宮記念ではスタートイマイチで中段の後ろから、直線スムースに伸びて2着までだったのは前半のポジションが後ろ過ぎた。平均バランスでかなり遅かったし、スタートイマイチの後リカバリーしなかったのは騎手の差が出てしまった感じ。それでもL2から10秒台を連発して1頭だけ次元の違う足で差し込んできた、重馬場、初距離をあっさり克服したことも高評価。

好材料はコース適性と距離適性で、サウジアラビアRCとNHKマイルCで府中マイルを好走しているし、朝日杯FSと桜花賞でマイルを好走している。NHKマイルCでは降着で5着だったが、レース振りからは不利が無ければ勝ち負けしていた感じ。2カ月間隔空けて疲労もないと思う。悪材料は矛盾するが距離適性で、ディープインパクトに母父タピットという組み合わせはアル―シャが居る、古馬になって距離適性が短くなってきた感じが両馬にあるので、マイルは長くなったかもしれない。騎手は池添騎手なので主戦のルメール騎手から見れば大いに不安、前走の高松宮記念でも仕掛が遅かったからね。

<ケイアイノーテック>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く、持続力も高い。

・距離適正は1400ベストになっているはず。

”NHKマイルC”では平均バランスを後方から、直線スムースに運んで1着。”2018年毎日王冠”ではスローバランスを中段から、直線はジリジリで0.4差5着まで、前半足を溜められなかった。”2018年マイルCS”ではスローバランスを先行、外を回ったこともあり凡走。”2019年安田記念”ではスローバランスを後方の最内から、直線は内をスムースに伸びたが届かず7着まで。”2019年毎日王冠”ではスローバランスを3番手追走から、L2で一杯になってしまい凡走。”2019年天皇賞(秋)ではスローバランスを後方から、終始スムースだったが伸びずに着を拾うだけ。”2019年チャレンジC”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー外を回して直線外からスムースだったが伸びずに凡走。”2020年東京新聞杯”では平均バランスを後方から、直線スムースだったが前が止まらず凡走。”2020年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー外目を回して直線外からバテ差しで4着。”2020年京王杯SC”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが6着まで。

「安田記念へ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:距離適性、クラス負けの危険。

2019年マイラーズCは休み明けだった、10頭立ての6着なので全く評価できないけど、後方からになり出番の無い展開だった。上り32.1は2番時計だけどこれは評価してもしょうがない、もちろんこのタイムを出せるということは良いんだけど、展開的に評価対象にならないんですよね。NHKマイルCで平均バランスを後方から直線勝負に徹して差し切ったのは、トップスピードの質と持続力を見せている、ただ平均バランスになって前がバテたことも大きかった。NHKマイルC以降全くいいところが無いし、復活の兆しも見えない、成長力という面でも不安でNHKマイルCがピークだった可能性はあると思う。もちろん前に行けない脚質なのでどうしても展開待ちになってしまう部分はある、NHKマイルCはドハマりしたと思えば、以後のレースがピリッとしないのも納得できるんだよね。

2018年マイルCS、阪神Cは不利な外目を通して伸びなかったし、2019年マイラーズCは後方からではどうしようもない展開。2019年安田記念は最内を通して一番楽な競馬をしながら7着だったので、GⅠでは掲示板までかな~。その安田記念もL1での伸びが見劣った、L2までは内を通したことで良い伸びを見せていたので、適性距離が短くなった可能性もある。休み明けの毎日王冠でスローバランスを先行しながら、L2で一杯になっているので恐らく距離適正が短くなったんだと思う。2019年チャレンジCでは後方から、4コーナーではすぐ前に居たロードマイウェイにトップスピードの質で見劣り凡走、L1で一杯になっているので距離が長い。

2019年チャレンジCでは前半800m49.4を後方から進めて上がり最速だが届かず、2019年毎日王冠では前半800m47.0を先行して凡走、2019年安田記念は前半800m45.8を中段の後ろからで上がり最速、この感じからすると前半無理をすると心肺機能で見劣る、後方からでは届かないというのが鮮明になってきた。安田記念でさえややスローバランスだったことを考えると、消耗戦のバテ差しでの好走に期待するしか無いと思う。1400mなら展開が合う可能性が高いので、展開待ちになりそう。2020年東京新聞杯ではいつも通り後方から、平均バランスで中緩みも大きく前が止まらず届かなかった、かなり緩い流れだったのでマイルでも持ってしまった感じ。2020年京王杯SCでは稍重でスローバランスになってしまい、上り3F32.5を叩き出したが届かず、展開が合わずに仕方ない負け方。

好材料はコース適性でNHKマイルCを勝っている。悪材料は距離適性でマイルは長くなってしまった感じの負け方をしている。3歳秋以降マイルを中心に使われたこともあリ、結果が出ていないことも悪材料で、マイルではクラス負けの危険が十分にある。