2020年府中牝馬S 全頭評価。その3。

赤いアンダーラインは加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、赤いアンダーラインの部分だけお読みください。

<ダノンファンタジー >・心肺機能はやや低く、パワーはある、瞬発力は高くない。

・トップスピードの質はまぁまぁ、持続力は高い。・休み明けでも走る。

”ファンタジーS”外回りではスローバランスを中段から、直線大外から差し切り圧勝、トップスピードの質を見せた。阪神JFでは平均バランスを後方から、L3最速の流れを外から差し切り、トップスピードの質と持続力を見せた。”チューリップ賞”ではスローバランスを最内先行、直線は内に詰まってL1だけでバテ差し、L3、L2で流れたことで差せた。”桜花賞”ではスローバランスを中段のやや前で外からになり掛かってしまう、L3でグランアレグリアの反応にやや遅れながら付いて行き、直線はL1で失速4着。”オークス”では平均バランスを中段の前から、4F戦になり5着まで、距離かも。”ローズS”ではスローバランスを中段から、L2で外に出してから伸びて差し切り。”秋華賞”ではハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに5着まで。”2020年ヴィクトリアMではややスローバランスを中段のやや前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びきれず5着。

「府中牝馬Sへ向けて」好材料:・・・。 悪材料:距離適性。

桜花賞では掛かってしまい勝負所で反応が悪く、直線でもL1で一杯になってしまったので、折り合いが重要でしょうね。阪神JFでも後方からやや掛かっていたが、この時は前にグレイシアが居たこと、平均バランスで流れたことで我慢できていた。チューリップ賞ではスタート抜群で最内を先行、ここでもやや掛かり気味でコントロールに苦労はしていたので、折り合いがカギになるのは間違いない。阪神JFでビーチサンバ相手にトップスピードと持続力で圧倒しているし、クロノジェネシスとは互角にやれている、もちろんビーチはいつもの福永騎手で追い出しが遅かったが。トップスピードの質はまぁまぁで、阪神JFで長くいい脚を使ってきたので持続力は非常に高い。

秋華賞では距離の不安が出てしまった感じで、2000mでハイペースバランスを、加えて稍重馬場で3番手先行した。これでL1甘くなってしまって8着まで後退した、前半の追走は問題なかったが、3,4コーナー中目に出した分も含めて、直線苦しくなかった感じ。2020年阪神牝馬Sでは平均バランスを中段の前から進めて5着までだった、この時は休み明けでプラス22㎏も影響した感じ、ただし掛かる素振りを見せなかったので、ペースも速かったが今後に向けて懸念材料が減ったかもしれない。2020年ヴィクトリアMでは中段やや前からロスなく進めて完璧な騎乗だったが5着、前走休み明けで大幅に増えていた馬体重も20㎏絞っていたし、道中掛かってもいなかったので完全に力負け。

ここにきて弱点が見えてきた感じで、心肺機能が低い可能性が出てきた。この馬が好走する時はスローバランスを先行して、何とか折り合いをつけた時、これがローズS、チューリップ賞。逆に平均バランス以上でで先行すると、秋華賞や阪神牝馬Sのように凡走する。阪神JFも平均バランスだったが、後方から進めて自身はスローバランスだったので、心肺機能が問われなかったはず。平均バランス以上で先行すると心肺機能が持たない、スローバランスを先行すると折り合いを欠く、結構厄介な状態になっていますね。1400m以下なら心肺機能が持つ可能性もあるので、思い切って距離を短縮した方が良いかも。

好材料は見つけにくく、ヴィクトリアM5着なので、コース適性は問題ない。悪材料は距離適性で、今のこの馬の特性を考えると1800mは長いかもしれない。ただ今回はトロワゼトワルが横山典騎手なので、結構飛ばすはず。これを先行してしまうと息切れすると思うが、後方からになれば心肺機能は持つはず、ただそうなると府中で届くかどうかというリスクが出てくる、トップスピードの質がキレッキレというわけではないので、自身よりも前に居て速い上がりを使える馬を捉えきれないことも。

<トロワゼトワル>・心肺機能は高く、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力は高い。

”2019年京都1000万条件”では平均バランスを中段から、直線スムースだったがトップスピードの質で見劣り4着。”2019年賢島特別”では稍重で平均バランスを中段の前から、直線スムースに伸びて持続力を生かして差し切り。”2019年春興S”ではスローバランスを3,4番手先行、終始最内から直線は差し損ねて2着。”2019年豊明S”では稍重でハイペースバランスを中段から、直線は中目からバテ差し1着。”2019年京成杯AH”ではハイペースバランスを離して逃げて圧勝、日本レコードのタイムで心肺機能と持続力の高さを見せた。”2019年ターコイズS”ではハイペースバランスを2番手先行、、4コーナーで一杯になり凡走。”2020年阪神牝馬S”では平均バランスを逃げて凡走。”2020年ヴィクトリアMではややスローバランスを逃げて4着。”2020年中京記念(阪神)”ではハイペースバランスを逃げて凡走。”2020年関屋記念では平均バランスを逃げて2着。”2020年京成杯AH”では平均バランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースに伸びて差し切り。

「府中牝馬Sへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:初距離。

豊明Sで稍重のハイペースバランスを中段から進めてバテ差し、このレースで心肺機能の高さ、持続力の高さを見せつけた。春興Sでは先行して差し損ねているし、京都1000万条件でも平均バランスで差し損ねているので、トップスピードの質が低い。圧巻だったのが京成杯AHでマイルの日本レコードを叩き出す逃げ切り、しかも3馬身半差の圧勝だった。これは過去に2度の騎乗機会があった横山典騎手の好判断もあったと思うが、超高速馬場で心肺機能と持続力の高さを生かしたレースだった。馬場読みと馬の能力を正確に理解して、怖がらずにハイペースバランスで逃げた素晴らしい騎乗だったと思う。

2019年ターコイズSではハイペースバランスを2番手先行で凡走、社台F生産馬なので休み明けで仕上げ切れなかった可能性があるし、前走から斤量3㎏増も影響した可能性がある。2020年阪神牝馬Sでは平均バランスを逃げたが凡走、この時も休み明け。2020年ヴィクトリアMでは逃げて4着、全く落とさずに中緩みを作らないペースで好走した、ただややスローバランスだったことからも前半800m45.6は遅かったはずで、この辺りが三浦騎手の馬場読みの悪さだと思う。2020年中京記念では逃げて4着、前半45.8は決して速くなかったがヴィクトリアMの激走で反動が出た感じ。2020年関屋記念では前夜の雨で良馬場だがかなり重い馬場、これを平均とややハイペースの境界くらいのペースで逃げて2着、中緩みも作り絶妙なペースだったがこの馬場は得意ではなかった。2020年京成杯AHでは2番手先行、レース展開以上に興味深いのは関屋記念激走から中1か月、これで勝ち切ったことでかなり驚いた。ロードカナロア産駒であることを考えると、激走後の中1か月は反動が出て当然だが、スプリンターズSのダノンスマッシュを見ても、どうも安田隆厩舎はロードカナロア産駒の解を見つけた感じ。

社台F生産馬の割に仕上がりが早く休み明けでも走るのは豊明Sや京成杯AHで見せている、むしろロードカナロア産駒なので激走後に間隔詰めて走った時の反動が不安。2020年中京記念で逃げて凡走したのは、ヴィクトリアM激走の反動だと思う。

好材料はコース適性でヴィクトリアMで4着があるし、2歳時だがアルテミスSでも0.4差4着なので、コース適性は良いと思う。中1か月だが前走で反動は克服できた感じだし、引き続き横山典騎手の継続騎乗も好材料ですね。悪材料は初距離で、まぁ初めてなので悪材料は言い過ぎで不安材料くらい、セントウルSで初距離のメイショウグロッケに走られているので、変に不安視しないで良いと思うが。休み明け4走目なので、反動よりも絶対的な疲労の方が不安かな~。