2020年スプリンターズS 全頭評価。その2。

赤いアンダーラインは加筆・修正した箇所です。継続してお読みいただいている方は、赤いアンダーラインの部分だけお読みください。

<クリノガウディー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質はやや低く、持続力はまぁまぁ。

”朝日杯FS”ではややスローバランスを先行してL1バテ差し2着、3F戦になったことで持続力が生きた形。”東スポ杯2歳S”ではスローバランスを先行して7着、後半11秒台連発の持続力を問われる展開になったが、トップスピードの質で見劣り。新馬戦ではスローバランスを中段から、L2最速戦に反応してL1は11.0くらいを引き出して1着、前半が遅かったことが良かった感じ。”スプリングS”では平均バランスを逃げて6着、この時が休み明け。”皐月賞”では平均バランスを先行、L2で一杯になり凡走、距離とペースが合わなかった感じ。”NHKマイルC”ではハイペースバランスを先行して凡走、ペースが速過ぎて息切れ。”2019年中京記念”では平均バランスを中段から、直線スムースにバテ差して2着、稍重馬場でトップスピードの質を問われなかった。”2019年京成杯オータムH”ではハイペースバランスを離れた追走集団の中段から、4コーナーで前が壁になりコースが空いたL1でバテ差したが7着まで、スムースならもっと良かったかもと思わせるレースで、意外にもスピード能力を見せてきた。”2019年富士S”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して馬群に取り付き、コースが空いてスルスル伸びて4着まで、L1の途中で前が壁になり一瞬待たされた。”2019年マイルCS”ではスローバランスを中段から、直線はやや外目からスムースだったが伸びず、この時が使い詰め。”2020年東京新聞杯”では平均バランスを中段の前から、終始最内を回して直線一瞬待たされたが3着、この時が休み明け。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを2,3番手先行、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに7着。”2020年高松宮記念”では重馬場で平均バランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びたが、L1から斜行して1着入線4着に降着。”2020年CBC賞(阪神)”では稍重でハイペースバランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線前が壁になり凡走。”2020年関屋記念では平均バランスを中段の前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2020年セントウルS”ではハイペースバランスを後方から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びたが7着まで。

「スプリンターズSへ向けて」好材料:・・・。 悪材料:厩舎不安。

朝日FS2着はスローバランスを中段やや前の最内からのもので、道中はかなり楽をしている。年明けのスプリングSでは平均バランスを逃げて、続く皐月賞でも平均バランスを先行して凡走しているので心肺機能は低い。東スポ杯ではスローからの5Fロンスパ戦で大きく離されてはいないので、トップスピードが問われなければ持続力でなんとかなるが、前半無理をすると後半息切れする可能性が高くなる。これを見せたのがNHKマイルCで、ハイペースバランスを先行して凡走している。

2019年中京記念では稍重馬場で平均バランス、これを中段からバテ差す形で2着だった、トップスピードの質を全く問われなかったことが好走要因。トップスピードの質が低いのは東スポ杯やNHKマイルCで見せているし、京成杯AHでは超高速馬場で中段から前が壁になったこともあり凡走した、この馬場で中段からではスムースでも苦戦したと思う。2019年富士Sでは直線L1の途中で一瞬待たされてしまったが、伸び自体は良かったので高速馬場には対応してきた。ただ3着レッドオルガが大きな不利があったレースだったので、これ4着だとこのクラスではやや足りないかもしれない。”2019年マイルCS”ではスローバランスを中段から、直線は伸びなかったので使い詰めの疲労の可能性がある。

2019年マイルCSでは休み明け3走目で疲労の影響もあったのだと思う、NHKマイルCも休み明け3走目で凡走したが、ハイペースバランスを先行しているので、展開は悪くなかったはず。京成杯AHで超ハイペースを中段から進めたが、直線前が壁になってしまってからバテ差しは出来ていたので、心肺機能は低くはないと思う。2020年東京新聞杯では外目の枠から、スタートしてすぐに最内に入れる好騎乗でコースロスなく乗って、直線一瞬待たされたがしっかり伸びて3着だった。この時は休み明けでったので休み明けでも悪くはない、直線で一瞬待たされてからの加速には手間取ったので、瞬発力も高いという程ではない。2020年阪急杯で見せてしまったのが心肺機能が高くないことで、ややハイペースバランスを先行してしまい直線息切れしてしまった。騎手が騎手だしペース認識とこの馬の特徴を理解できていなかったはずで、結果は度外視て良いと思う。2020年高松宮記念では重馬場で前半自身34.9では入って中段の前から、後半も息が持って直線抜け出し1着に入線したが、L1で左に斜行して4着に降着。直線で左に寄れる癖が出てしまい残念な降着だったが、前半ゆったりはいいて持続力生かす展開での好走パターンはハッキリしたと思う。

2020年CBC賞では稍重でハイペースバランスを中段から、自身もハイペースバランスに入っている、上り3Fから計算すると自身の前半は34.2なので、高松宮記念とさほど変わらなかった。この時は休み明けで58㎏、苦手な右回りと3重苦の上に、直線入り口で前が壁になってしまいレースにならなかった。2020年関屋記念では決して悪い展開ではなかったが、L2標識付近では手応えが無くなり殿負け。理由不明で厩舎の仕上げくらいしか凡走の理由を想像できない。2020年セントウルSでは後方からになり届かず、前走前に行って凡走したために後方からの指示が出ていたのか、出して行く素振りも見せなかった。

この馬は非ノーザンF生産馬なので休み明けは不安がある、スプリングSが6着、2020年東京新聞杯3着があるがこの時は横山典騎手の神騎乗でも3着なので、休み明けはピリッとしない。2020年CBC賞も3重苦と直線壁になったこともあり大敗。右回りよりも左回りの方が印象が良く、朝日杯FSは2着しているが4着以下はパッとしないメンバーだし、グランアレグリアも初の牡馬混合戦で怯んでいた。左回りは2019年中京記念2着だけでなく、2019年富士Sも一瞬待たされながら0.3差4着だし、東京新聞杯は休み明けで3着。極めつけは高松宮記念で1着に入線している、ご存知のように斜行で4着に降着しているが、着に現れない好走をしているのは実は左回り。

好材料は・・・、左回りの方が印象は良いが右回りがダメなことはない。昨年のマイルCSでも0.6差だし朝日FS2着も右回りだからね。悪材料は厩舎不安で、前走に引き続き騎手が決まらない。元々変なローテションをする厩舎だし仕上げの不安もある。今回は休み明けではないので体調面の不安はないが。

<グランアレグリア>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは程々、瞬発力は高くはない。

・トップスピードの質は高く持続力はとても高い。

・休み明けでも走る。

”新馬戦”ではスローバランスを先行して圧勝、この時の2着がダノンファンタジー。”サウジアラビアRC”ではスローバランスを大きく出遅れるがリカバリーして2番手で先行、直線はL2で抜け出し圧勝、直線では明確に甘くなっているので、リカバリーの為に前半から足を使うと終いが甘くなるのかも。”朝日杯FS”ではスローバランスを先行して、直線アドマイヤマーズに寄られて怯むも踏ん張り3着、坂で苦しくなってクリノガウディ―に差されているので、パワーが足りないかも、この時は初輸送。 ”桜花賞”ではスローバランスを中段の前から、L3の下りで一気に仕掛けて勝負を決めてしまった、レコード決着だがかなりのスローバランスで前半楽をしている。”NHKマイルC”ではハイペースバランスを中段の前から、直線では前が壁になり外の出そうとダノンチェイサーにぶつかり、4着入線も5着に降着、ルメール騎手も制裁、前半のハイペースで一杯になっていた可能性は高く、今後のペースが不安になる。”2019年阪神C”では平均バランスを中段やや前から、3,4コーナー最内を回して直線はスムースに裁いてL2で10秒台を叩き出し圧勝。”2020年高松宮記念”では重馬場で平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて2着。”2020年安田記念”では平均バランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースに伸びて1着。

「スプリンターズSへ向けて」好材料:コース適性。 悪材料:特になし。

どうしてもサウジアラビアRCの終いの甘さが気になる部分、出遅れてリカバリーしたことでレース自体はスローバランスも自身では平均くらいにはなっているはず、目視だが1秒程度の出遅れで補正すると自身の800m通過は47.3になり、平均バランスになっている感じだった、これで上がり34.0は立派と言えば立派だが・・・。NHKマイルCもハイペースバランスを自身平均くらい、これで直線狭くなって降着になる程だったが、L2からは前が開いていてL1まではまぁまぁの粘りを見せたがL1から明確に落としてしまった。なのでマイルに限っては心肺期のがまぁまぁの評価。

朝日杯FSでは内枠から先行して、直線でアドマイヤマーズにプレッシャーを掛けられて怯んでしまった、この時は初輸送もあったし2歳のこの時期に牡馬との対戦でもあったので可哀想な面はあったが。強かったのが桜花賞で、スローバランスを中段の前から進め、L3の下りで捲り追い込みに行って圧勝してしまった、L3で10.8を出したトップスピードの質とL1も11.5で纏めた持続力はかなり高い。2019年阪神Cでは平均バランスを中段やや前の最内から、直線でスムースに捌いて圧勝した、L2で10秒台を叩き出して他を圧倒している。1400mでも前半やや掛かり気味だったがすぐに折り合っているし、スピードで圧倒してきたので短距離適正の高さを見せた。

2020年高松宮記念ではスタートイマイチで中段の後ろから、直線スムースに伸びて2着までだったのは前半のポジションが後ろ過ぎた。平均バランスでかなり遅かったし、スタートイマイチの後リカバリーしなかったのは騎手の差が出てしまった感じ。それでもL2から10秒台を連発して1頭だけ次元の違う足で差し込んできた、重馬場、初距離をあっさり克服したことも高評価。ディープ産駒は1200mで苦しんでいるが、通常1200mではハイペースバランスで心肺機能と持続力が問われる、ところがこのレースは逃げたモズスーパーフレアでも平均バランス、これを中段の後ろからなので、前半はかなり足を溜める形になった。いわゆる溜めてトップスピードの質で差し切るというディープ産駒の得意パターンに持ち込めた。2020年安田記念では中段から進め中緩みで取り付き、勢いを殺さずに加速してトップスピードの質と持続力を生かして快勝した、外からスムースだったし展開もばっちり。

好材料はコース適性で中山は初めてだが、阪神Cを圧勝しているので坂上ゴールのは十分対応できると思う。悪材料は特になく、今回はルメール騎手へ乗り替わり、もちろん悪材料ではない。この馬はゴリゴリのハイペースバランスを経験したことが無い、もちろんルメール騎手なのでペースを察して下げてしまえば、自身平均くらいで入れると思うので大きな不安はないが、スタート出てしまった時に下げなかったらディープ産駒だけに危うさもある。

<ダイアトニック>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力もまぁまぁ。

・トップスピードの質は高く、持続力もある。・直線で外に寄れることがある。

”2018年三鷹特別”では離れた追走集団の中で実質平均バランスから、3F戦で11.0、11.0、11.2のトップスピード持続で2着、右に寄れて伸びきれなかった。”2019年斑鳩S”ではスローバランスを中段から、L2最速戦をトップスピード持続で押し切り。”2019年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを最後方から追い込んで4着まで、この時が休み明け3走目。”2019年安土城S”では平均バランスを中段から、直線入り口で前が壁になったが外目に出してから伸びて1着。”2019年スワンS”では平均バランスを中段やや後ろから、直線入り口で大きく外に寄れたが修正して差し切り、トップスピードの質と持続力を見せた。”2019年マイルCS”ではスローバランスを中段の後ろから、直線は外に出したが伸びずに10着、この時が休み明け2走目。”2020年京都金杯”では平均バランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線スムースににけて2着、この時は休み明けでプラス12㎏でトップハンデ。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー最内を回して直線強引なコース取りで抜け出し2着だったが3着に降着。”2020年高松宮記念”では重馬場で平均バランスを3番手先行、3,4コーナー内目を回して直線クリノガウディ―に寄られて4着入線3着繰り上げ。”2020年函館SS”ではややハイペースバランスを2番手先行、3,4コーナー最内を回して直線スムースに差し切り。”2020年キーンランドC”では重馬場でややハイペースバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線入り口で一杯になり凡走。

「スプリンターズSへ向けて」好材料:前走凡走でストレス抜け。コース適性。 悪材料:特になし。

ロードカナロア産駒の特徴が良く出ている部分が疲労で、ダービー卿CTでは休み明け3走目で出遅れ後方からになってしまった、疲労により出遅れたと馬としては今年のダービーでサートゥルナーリアも一緒、やはりロードカナロア産駒は肉体的疲労よりも精神的ストレスが大きく影響するんだと思う。2カ月休んだ安土城Sを直線入り口で前が壁になりながらあっさり勝ち切ったように、休み明けでフレッシュの方がパフォーマンスが高いタイプなんだと思う。

2019年ダービー卿CTは大きく離れた後方からで直線までに取り付き、バテ差しになったが4着まで上がってきた、この時の2着がプリモシーンで0.2差なので高評価。2019年スワンSはスタート五分に出てから中段まで下げる操縦性の良さを見せた、直線で大きく外に寄れたが、スミヨン騎手が鞭を持ち替えてすぐに修正したので、この修正が出来れば問題はないはず。トップスピードの質と持続力の高さは再三見せているので驚かないが、かなりロスの多い競馬でスムースならもっと着差があったはず。

2019年マイルCSでは外枠から最内を取るロスの無い騎乗だったが、直線は外に出して伸びなかった、ロードカナロア産駒の休み明け2走目で反動の可能性もある。2020年京都金杯ではスムースなレースで2着、この時はプラス12㎏でやや重かったことと、ハンデ戦でトップハンデだったことで差し切れなかった。この時の1着が53㎏のサウンドキアラで4㎏差は可哀想だった。2020年阪急杯ではややハイペースバランスを中段の前から、直線で一旦外に出そうとしてから再度内へ行き進路妨害で2着入線も降着で3着。先行したことでまぁまぁの心肺機能を見せたし、ゴール前でコースが空いてからもう一伸びしたので、持続力も高いものを見せた。2020年高松宮記念ではスタート良く3番手先行、直線クリノガウディ―に寄られて大きな不利を受け、4着入線で3着に繰り上がり。前走厳しい競馬をしていた割に、2着入線で負けていたためか反動が無かった。2020年函館SSでは高速馬場を2番手先行、折り合いも付きスムースに差し切り圧勝した。この時は58㎏だったが全く問題なく、今後も斤量を気にする必要はない。2020年キーンランドCでは前走の反動だけでは説明が付かない凡走、重馬場適性が影響したはずで、2020年高松宮記念では重馬場を好走したが、馬場表記が信用できないことを証明するような凡走だった。今後は馬場表記ではなく直前のレースタイムなどを参考にした方が良い。

この馬は酒井牧場生産だが外厩はノーザンFしがらきを使う隠れノーザン。2019年スワンS、2020年京都金杯で休み明けを好走している。

好材料は前走凡走してストレスが抜けたこと、この馬はロードカナロア産駒で反動が出る、前走は重馬場も合わなかったがそれでも負け過ぎ、今回はストレスも抜けたはずだし走れるはず。中山の1200mは初めてだが、ダービー卿CTが出遅れて0.2差4着なら悪くない。阪急杯で坂上ゴールを3着、この時は例の「友一!」の時で不利があったので、高評価で良いと思う。悪材料は特になく、今回は横山典騎手に乗り替わり、豊騎手からだが横山典騎手も今季好調なので不安材料ではない。馬場次第ですが前走見せてしまった重馬場適性の悪さは、大きな不安材料になりますね。