2019年チャレンジC 回顧。

走破時計 1:59.1  前半1000m 61.2  上り3F 34.4

馬場状態ですが標準的な良馬場でしたね、このクラスで1:59.1なのでやや遅いのですが、前半が遅かったわりに後半のロンスパでしたから、切れよりも持続力の勝負になっています。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2018年小倉記念、緑が2019年鳴尾記念のレースラップです。

今回は1年4か月ぶりの休み明けで8番人気ながら2着に好走したトリオンフと、同年同コースの鳴尾記念2着に好走しながら6着に凡走したブラックスピネルについて詳しく見て行きます。まずトリオンフですが休み明けでの体調に関しては結果的に万全でしたね、その上でラップタイムから好走要因を見て行くと2018年小倉記念とよく似たラップです、後半の6Fは11秒台を連発するロンスパになっています、これがトリオンフの好走パターンですね。トップスピードの質が高くないのでロンスパに持ち込み他馬の末脚を削ぐことが大事なんですね、今回はまさにこのパターンで2着に好走してきました。

逆にロンスパで良さが出なかったのがブラックスピネルで、この馬の場合はスローからの3F戦で良さが出る馬、それが2019年鳴尾記念でした。この時はL4から11秒台に入りましたがやや高速馬場でしたからアタマ差、クビ差でステイフーリッシュ、ギベオンを押さえて2着を確保。2019年白富士Sを勝ち切っていますがこの時も3F戦でした。しかも今回はスミヨン騎手に乗り替わりで中段やや前からになり、自分のレースが出来ませんでした。

この記事を書いているのは2020年1月19日なのですが、この2頭は年明けの中山金杯で一緒に走っていますが、明暗が分かれました。このレースはスローからの後半5Fのロンスパでした、当然の結果ですが1着トリオンフ、16着がブラックスピネルです。注目すべきはブラックスピネルの内容で、自身で逃げてこのレースを作っていることです、津村騎手に乗り替わって逃げの指示が出ていたと思いますが、他に逃げ馬はタニノフランケルくらいしかいない上にタニノが控えていますから、なぜこんなペースを作り出したのか疑問ですね。恐らく何も考えずに乗っているのでしょうね。

逃げたのはトリオンフ、外からノーブルマーズが2番手、ベステンダンクが3番手。テリトーリアル、ブラックスピネルが中段やや前、ブレステイキング、ステイフーリッシュ、ギベオンが中段から、中段の後ろからゴーフォザサミット、ロードマイウェイ、ハッピーグリン。ケイアイノーテックが後方からでした。

逃げの可能性があったブラックスピネルですが、スミヨン騎手に乗り替わって中段待機策を取りました。これが外人騎手の怖さですね、馬の特徴などお構いなしに自分の型に嵌めこむ、嵌れば快勝して「さすが外人騎手」となりますが、逃げ・先行馬に関しては疑ってかかった方が良さそうです。同じくギベオンもデットーリ騎手で中段から進めてしまいました。

押し出されるように逃げたのがトリオンフで前半スローに持ち込みました。ノーブルマーズがスタート決めて2番手から、高倉騎手ではスタートが安定しませんでしたから乗り替りで良さが出ましたね。逆に良い位置が取れなかったのがステイフーリッシュ、スタートは五分に出ましたがそこから消極的な位置取りになってしまいました。中谷騎手も出たなりで乗ってしまうのでもう少し考えた位置取りをしないと・・・、と思っていたら次走はAJCCでルメール騎手に乗り替りだそうです。

勝ったロードマイウェイは中段の後ろから、ジャスタウェイ産駒なので揉まれるのは良くないはずでコースロスがないギリギリの位置を確保してきました、これをサラッとやるのがルメール騎手なんですよね。最後方からケイアイノーテックが末脚に賭ける位置取りでした。

4コーナーから直線入り口です、逃げているトリオンフにノーブルマーズが並びかけますが直線入り口で一杯、ブラックスピネルはノーブルマーズの後ろからですがスムースでした、しかし伸びない。中段から外目に出そうとしたギベオンはステイフーリッシュに蓋をされる形で詰まってしまいました、同じく中段から進めたブレステイキングは前にスペースを作って直線に入って行きます。ロードマイウェイは大外からスムースに加速体勢に入り、そのやや後ろからケイアイノーテックが続きます。

直線L1標識付近です、L2で11.3を叩き出したトリオンフが粘り込みを図ります。この辺りでノーブルマーズが一杯になってしまいました、ノーブルマーズは調教が良くなかったので体調にも問題があったのかもしれませんね。ブラックスピネルもこの辺りで一杯になりました、11秒台を連発されて心肺機能が足りなかった感じ。ブレステイキングが下がってきたベステンダンクとノーブルマーズの間をスムースに抜けてバテ差して来ます。

外からスムースにバテ差したのがロードマイウェイで、ここでもジャスタウェイ産駒らしい持続力の高さを見せましたね。後方から末脚に賭けるレースをしたケイアイノーテックと上り3Fが同じタイムなので、まぁまぁのトップスピードの質も見せています。ここでもギベオンはステイフーリッシュに蓋をされてコースが空かず、全くレースになりませんでした。これはこんなところに居るデットーリ騎手の責任ですね。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はロードマイウェイ、スローからのロンスパを中段のやや後ろから進めて1着、今までは先行して連勝していたので展開の幅が広いところも見せましたね。こういう展開の幅を持っているとペース次第で先行もできるし中段以降で待機策もできるので、成績は安定しそうです。再三書いていますがジャスタウェイ産駒なので、いかにスムースなレースをするか、直線で詰まってしまったり進路変更をするような展開では凡走の危険があるので、騎手と枠には要注意だと思います。格上げ戦で圧勝しましたし、条件戦から5連勝と覚醒した感のあるハーツ系なので、今後も勢いは続きそうです。

2着はトリオンフ、1年4か月ぶりのレースでしたが自分の形に持ち込むと強いですね、スローからの5Fロンスパが最も得意ですし、2018年の鳴尾記念でも2着があるので坂上ゴールもこなせるパワーも持ち合わせています。2018年新潟大賞典で差し損ねて4着があるように、トップスピードの質を問われれば苦しくなりますし、2018年大阪杯のように出遅れてしまうと中盤で脚を使ってしまいゴールまで持たない、結構特性がはっきりしている馬ですね。

3着はブレステイキング、ムーア騎手がロスなく進めて直線もスムースでした、この辺りが同じく中段からになったギベオンとの差ですね。中山でも勝ち鞍があるようにパワーは豊富ですし、持続力で勝負するタイプなので展開もぴったりでした。ディープインパクト産駒の割に瞬発力とトップスピードの質は高くないので、出来ればもう少し前でレースが出来るようになればいいのですが。

4着はハッピーグリン、距離が短いかなと思いましたが後半ロンスパになってトップスピードの質や瞬発力を問われなかったために、バテ差しで4着まで持ってきましたね。ロードマイウェイのすぐ後ろからだったのでトップスピードの質ではっきり見劣っているし、この距離では好走までで馬券に絡むのは難しいかもしれませんね。出来れば先行出来ると良いのですが、スタートが良いタイプではないし二の足も速い方ではないので、2500m辺りでバテ差す競馬が合って良そうです。転厩しているので使い方も含めて注意して見て行った方が良いと思います。

5着はゴーフォザサミット、全頭評価で1800mがベストかもと書きましたが、2000mも守備範囲ですね。大外枠だったこともありスタート五分でも先行出来ませんでした、北村宏騎手も積極的に押して行く感じでもなかったので、石橋騎手の方が手が合っているかもしれません。バテ差しで5着まで持ってきたので、先行してくれればチャンスはあったと思います、このクラスでも期待を下げる必要はないと思いますが騎手次第ですね。

馬券の方はトリオンフを軽視してしまい外れでした、1年4か月ぶりであの調教で2着ですか~・・・、分からない物ですね~。