2022年宝塚記念 回顧。心肺機能は化け物レベル。

走破時計2:09.7    前半1000m57.6   上がり3F 36.3

まずは馬場状態ですが良馬場で、レコードタイムが出ているように高速馬場になっていました。土曜日に散水していますが含水率はさらに下がってカラカラ、クッション値は二桁10.2で”やや硬め”の表記でした。8Rの城埼特別が1勝クラスの1800mで1:46.2ですから、内回り外回りに関係なく高速馬場でしたね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2021年オールカマー、緑は今年の大阪杯のグラフです。

今回は2F目が10.4ですからポタジェは前に行くべきでしたね。グラフからも大阪杯に1F足したようなラップで、これで同じように前に行ったウィンマリリンは苦しくなりました。ヒシイグアスとポタジェは大阪杯と今回ではポジションを入れ替えたようなレースで、これでポタジェが今回11着なので、地力ではヒシイグアスが上ですね。

タイトルホルダーは抜群のスタートから2番手先行、2コーナーまでは逃げたパンサラッサのすぐ後ろに居ましたから、前半かなり苦しかったはずです。向正面に入ってパンサラッサから距離を取ったので、ここで息を入れていますね。それでも自身12秒台半ばくらいだし、前後半で見ても当然ハイペースバランスに入っていますから、かなり高い心肺機能を見せたし、単純にハイペースバランスに対応する心肺機能を見せただけでなく、一旦息を入れてのロンスパで無類の強さを見せてきました。

逃げたのはパンサラッサ、やや離れて2番手にタイトルホルダー。中段の前からアフリカンゴールド、ディープボンド、中段のやや前からウインマリリン。中段からヒシイグアス、ギベオン、マイネルファンロン、中段のやや後ろからエフフォーリア、デアリングタクト、ステイフーリッシュ。中段の後ろからポタジェ、メロディーレーン、グロリアムンディ、アイアンバローズ。後方からキングオブコージ、アリーヴォという並びでした。

スタートが抜群に速かったのがタイトルホルダーで、そのまま逃げてしまう勢いでした。この辺り前走の天皇賞(春)で横山和騎手は相当自信を付けたんでしょうね、逃げを怖がっていない感じが伝わってきました。パンサラッサはスタート五分、外に居たウインマリリンがスタート良く若干内に寄れたし、内に居たヒシイグアスもスタート良かったので、挟まれる格好でやや狭くなりました。それでも抉じ開けて押して押して前に行き、1コーナーの入りでタイトルホルダーを叩いて逃げ体勢。自身の2F目は10.0秒くらいは出ていたかもしれませんね。

中段の前からになったのがアフリカンゴールとドディープボンド、アフリカンゴールドはスタートがイマイチで、メロディーレーンを交わすのにも苦労していました。ディープボンドは外から前に来ましたが、1コーナーではウインマリリンの外を回していたので、距離ロスが痛かったですね。ウインマリリンが1コーナー過ぎに引いて中段のやや前から、ちょっと入りで無理をし過ぎた感じですね。

抜群のペース認識を見せたのがレーン騎手ですね、スタート速く二の足も付いて最初の1Fでは前から2列目、2F目の10.4に付き合わずに中段まで引いて行きました。10番枠からスタートの良さを生かして、1,2コーナーを最内で通過しています。今回好走した大きな要因は、この初手の位置取りですね。

エフフォーリアとデアリングタクトが中断のやや後ろからでした、エフフォーリアはゲートの中でソワソワしていたので、今後もゲートの不安は継続ですね。ポタジェはスタート五分でしたが中段の後ろから、吉田隼騎手は全く出して行く素振りを見せなかったので、ハイペースの消耗戦でバテ差し狙いに徹したんでしょうね。アリーヴォはスタート遅くポジションが取れませんでした、大阪杯の時とは大違いで精神面なのか、豊騎手も無理をさせませんでしたね。

4コーナーです、タイトルホルダーがパンサラッサに並びかけ先頭に立つところですね。アフリカンゴールドが苦しくなったところで、ウインマリリンが上手く交わしました。ここでウインマリリンが踏ん張ったことで、大きな利を得たのがヒシイグアス。ウインマリリンも苦しいはずなんですよ、それでも踏ん張ってくれたので、ヒシイグアスはブレーキすることなく直線に入っていけました。この画像の場所でウインマリリンとディープボンドの間が狭くなったので、若干待たされましたがロスは最小限だたっと思います。

ディープボンドはここでも内から3頭目、距離ロスがありましたね。その後ろからマイネルファンロン、デアリングタクト、エフフォーリアと続きます。ポタジェは更に外を回していました。この5頭はかなりロスの有るコース取りでしたから、これで3着に来たデアリングタクトは、かなり強い競馬をしたと思います。

直線L1標識付近です、タイトルホルダーが抜け出し押し切りを図る部分です。パンサラッサとウインマリリンが苦しくなり、ヒシイグアスが上がってきます。外からディープボンド、マイネルファンロンが粘り、デアリングタクトがジリジリ上がってきます。エフフォーリアは直線入り口で苦しくなり、デアリングタクトに離されてしまいました。

L1標識からタイトルホルダーが力強く押し切り圧勝、ヒシイグアスは差を詰められず2着まで。ディープボンドが粘るところで、デアリングタクトがゴール寸前で差し切りました。エフフォーリアもバテているわけではないので、距離や心肺機能の問題ではないと思います。中段よりも後ろからの馬にはチャンスがなかったですね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はタイトルホルダー、心肺機能の高さは化け物レベルですね、単純にハイペースに対応するだけでなく、一旦息を入れるとすぐに回復する部分は大きな強み。ハートレートメータを装着してくれたらはっきりしますが、前半ハイペースで心拍数が上がりますが、中緩みで息を入れるとスーッと心拍数が下がるんでしょうね。5Fのロンスパに持ち込み圧勝、持続力の高さも見せました。

2着はヒシイグアス、初手の位置取りが大きかったですね。スタートが速く二の脚も速かったので、なんと中段の最内を取れました。これがレーン騎手の能力ですよね、ここ一発は馬場状態と馬の能力を考えて驚異的な騎乗をしてきます。4コーナーでウインマリリンが頑張ってくれたことも大きく、この辺も運が味方しました。大阪杯で一番強い競馬をしていたので、今回は勝ちたかったところですが、今回は勝った馬が強かったとしか言いようがないですね。

3着はデアリングタクト、3,4コーナーで外目を回していたので、今回一番強い競馬をしていたのはこの馬でしょうね。スタートがやや悪くエフフォーリアと同じような位置になってしまったし、今の馬場では追い込んでも3着がやっとでしたね。内容を考えれば3歳時の状態まで戻ったと見て良いと思うので、秋が楽しみになりました。

4着はディープボンド、スタート後の2F目10.4に付き合っていたし、終始内から3頭目を回していたので、距離ロスも響きましたね。外目の枠だったのでこの辺りは仕方ないと思います。今のこの馬には2200mは短い感じですね。

5着はマイネルファンロン、この馬も終始内から3頭目を回して、ヒシイグアスの外に位置していました。距離ロスを考えるとかなり頑張りましたね。速いラップは求められていないので、心肺機能も持続力を見せましたが、すぐ後ろに居たデアリングタクトには明確に見劣ったので、このクラスではこの辺りが限界でしょう。

エフフォーリアが6着、輸送の影響かどうか分かりませんが、返し馬辺りからゼッケンの下に汗が目立っていました。輸送以外で考えられる点としては、古馬になってトップスピードの質が下がってきたのかも。キングカメハメハの産駒も5歳になるとトップスピードの質が下がるので、エピファネイア産駒も同じような特徴が出るのかもしれませんね。結局大人の体になって筋肉が硬くなることで、2,3歳時に見せたトップスピードの質を出せなくなったのかも。牝馬は筋肉が硬くならない傾向があるので、エピファネイア産駒の牡馬に見られる特徴かもしれません。トップスピードの質で勝負できなくなったからと言って、この馬はスタートが遅く先行出来ない。今回もゲート内でソワソワして若干で遅れていました、陣営が工夫して先行させてくれれば面白いのですが。

パンサラッサは8着、L1標識までは踏ん張っていたんで、2000mでギリギリ、ベストは1800mだと思います。

馬券の方は的中、馬連と3連複が当たりました。次回はクイーンSの予定です。

コメント

  1. そだしれいなす より:

    ウインマリリンは競馬としてはベストだったので仕方ないですね。引き続き注視したい存在です!
    騎手としてはレーン、馬としてはディープボンドとデアリングタクトもすごかったですね。
    デアリングタクトは完全復活と言っても良いのではないでしょうか?
    ディープボンドもなんだかんだ不利な枠と位置からの安定の上位決着で強い。
    エフフォーリア3歳限界説はもし本当だとすると悲しいですが、有馬記念なんかを思い返すとタイトルホルダーは今回と同じ感じでパンサラッサにビタ付きして空気抵抗減らしてたら勝ってそうな気もしますし、忖た…いや展開が良すぎただけだったのではないかと勘繰ってしまったりで…捲土重来を期待します!(´・ω・`)
    前半戦お疲れ様でした!的中おめでとう&ありがとうございます!