2021年京都大賞典 回顧。超消耗戦になり持続力勝負に。

走破時計2:24.5    前半1000m61.6     上り3F36.4


まずは馬場状態ですが良馬場でした、例によって土曜日に散水していますが、含水率とクッション値はほぼ変わらず。5Rの新馬戦はスローからの3F戦でL3から11.1-11.1-11.9、上がり最速はフォーブスで33.6でした。新馬戦で11.1のラップが出ているので、標準からやや高速といったあたりだと思います。10Rの戎橋Sが1400mで1:20.9ですから、3勝クラスということを考えても高速とまでは言えないと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2020年京都大賞典、緑は2019年京都大賞典のグラフです。

グラフを見れば分かる通り”超”が付くほどの消耗戦でした、8F戦ですからL1が13.0迄落ちるのも仕方ないですね。今回のレースでラップから注目すべきは1度も11秒台の前半に入っていないこと、今回上位に入った馬は速いラップを踏むのが苦手な馬でしたね。1着のマカヒキは2019年重馬場のジャパンCで4着に入っています、この時も11秒台前半のラップがなかったレースでした。3着のキセキが直近で好走したのは昨年の京都大賞典、この時も11秒台前半のラップを踏んでいませんでした。

なのでアリストテレスもこの2頭と同じように、強烈な持続力を持っているが、速いラップを踏めなくなっている可能性が高いと思います。天皇賞(春)でカレンブーケドールとアタマ差の4着の時も、11秒台前半は踏まずにL1は13.0だったので、今回の上位3頭は高速馬場では買いにくい馬ですね。

斎藤騎手は・・・。大問題は松若騎手ですね、ダンビュライトは9着でした、この馬は3年連続でこのレースに出走していて2着、7着、9着でした。もちろん今回は阪神だったのでやや無理やりにですが、この3レースのラップを比べて見てください。好走した2019年はスローからの4F戦で持続力が活きたレース、2020年はスローからの3F戦で稍重だったのでトップスピードの質は問われませんでしたが、ピリッとしませんでした。L1の11.8に対応できなかった形だったので、ロンスパや3F戦で良さが出ないんでしょうね。何度も乗っているので今日のようなレースを見ると、松若騎手のペース認識の悪さが際立ってしまいます、先週のスプリンターズSでも平均バランスにしたので、今後も松若騎手の逃げ・先行は悪い意味で要注意ですね。

逃げたのはベレヌス、2番手にダンビュライトで3番手がキセキ。中段の前からアリストテレス、ステイフーリッシュ、中段のやや前からヒートオンビート、中段からヒュミドール、マカヒキ。中段やや後ろからアイアンバローズ、中段の後ろからオセアグレイト、ロードマイウェイ。後方からムイトオブリガード、ディアマンミノル、モズベッロという並びでした。

逃げたのはベレヌスでしたね、2F目も11.9なので相当ユッタリ入りましたね、ダンビュライトが2番手で折り合い、キセキが上がってきて1コーナー過ぎに3番手に控えました。ラップグラフのところで書きましたが、このレースは超消耗戦、2コーナー辺りから一気にペースが上がりました。これにダンビュライト、キセキが付き合ったので、中段までが一団で激流に巻き込まれてしまいました。

アリストテレスはスタート五分に出て中段の前、ヒートオンビートは中段やや前でやや掛かり気味でした。マカヒキが中段を取れたのは、周りに前へ行きたい馬が少なかったためでしょうね。4着のディアマンミノルは後方で脚を溜めていました。

4コーナーです、キセキは外目を回し、アリストテレスとマカヒキは中目を回して距離ロス少な目、ディアマンミノルも中目を回していました。この地点でマカヒキは手応えが悪かったのですが、それでも1着だったことを考えると、ただズブイだけだったことがバレましたね。

直線L2標識付近です、ダンビュライトが抜け出すところでその外からキセキ、その外からアリストテレスとヒートオンビートでした。ここでステイフーリッシュとマカヒキに挟まれたヒュミドールがブレーキ、ヒュミドールは運がなかったですね。

直線L1標識付近です、キセキが抜け出しダンビュライトがここで一杯、アリストテレスがキセキを追いかけ、この2頭の間にマカヒキが入ってきました。L2区間でヒートオンビートが一杯になり、外からロードマイウェイがバテ差し、大外からはオセアグレイトとディアマンミノルが伸びてきました。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はマカヒキ、元々持続力は高いものを見せていましたから、展開がドハマりした感じですね。道中は中段で馬群の中だったので空気抵抗も受けずに、折り合いも付いて全くロスの無い競馬でした。直線では前のアリストテレスが道を作ってくれたし、Ⅼ1ではキセキとアリストテレスの間が空いたのでスムースでした。これで復活とは言えないと思いますが、適性が噛み合えば今後もやれますね。

2着はアリストテレス、古馬になってピリッとしなかったのですが、その理由がはっきりしたと思います。速いラップを踏めなくなっている、これが理由だと思います。天皇賞(春)でもⅬ1が13.0で4着に好走していますが、宝塚記念ではL4から11.5を連発されてスピード負けしましたからね。今後もスローからの3F戦や、11秒台の前半を求められると苦しくなると思います。

3着はキセキ、この馬は元々持続力が異様に高い馬ですから、今回は適性ど真ん中。昨年の京都大賞典でも後方から捲りに行って、自身6F戦に持ち込んで2着でしたから、こういった持続力勝負は大得意。今回スタート五分に出たことは、今後に向けて大きいですね。

4着はディアマンミノル、この馬もトップスピードの質が高くない持続力型ですから、展開が嵌りましたね。

5着はロードマイウェイ、後方からだったので前が潰れて届いた感じでした。これはオセアグレイトも一緒ですね。ステイフーリッシュは直線で狭くなりましたが、ここまでの消耗戦になってしまうとさすがに苦しいですね。ヒートオンビートは休み明けでプラス14㎏、馬体に太目感はありませんでしたが、ゲート裏では汗が目立っていたので絞り切れていませんでしたね。そういう意味では次走の巻き返しが期待できる1頭だと思います。

馬券の方はハズレ、展開予想の斜め上を行く斎藤騎手と松若騎手、この2人が出ているレースは展開予想をしない方が良いかもしれませんね。