2019年アルゼンチン共和国杯 回顧。重賞のペースではなかった。


走破時計 2:31.5  1000m通過 62.0  上り3F 34.1

馬場状態は超高速馬場を維持しましたね、9R2勝クラス1600mで1:32.9でした、上がり3F32.8が出ているのでかなり軽い馬場だったはずです。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回のレースラップ、赤は2018年アル共、緑が2019年目黒記念、黒が2018年目黒記念のレースラップです。

1100m通過のタイムを見てみますと2019年アルゼンチン共和国杯は68.5、2018年アルゼンチン共和国杯は69.2。2019年目黒記念は65.3、2018年目黒記念が67.3でした。今年のアルゼンチン共和国杯と2018年目黒記念でも1.2秒も差があります。2018年のダービーデイも超高速馬場で9Rのむらさき賞が1:45.4でしたから、今日と似たような馬場状態でしたね。馬場が似たようなものでもアルゼンチン共和国杯と目黒記念は全く別物だという事ですね。目黒記念で求められるのは心肺機能と持続力、アルゼンチン共和国杯で求められるのはトップスピードの質と持続力でした。これは来年に向けての申し送り事項ですね。

こうまでレースの特性が違うので当然のように目黒記念好走組は苦戦しました、3番人気のルックトゥワイス、4番人気のアイスバブルは4着と11着ですからね~。逆に昨年のアルゼンチン共和国杯2着のムイトオブリガードにはおあつらえ向きの展開でした。1番人気ですが不安視していたアフリカンゴールドが3着に好走した理由は、このペースの遅さですね。前走六社Sの1000m通過が62.7ですから、今回の62.0は十分許容範囲のペースだったようです。トラストケンシンも0.3差5着ですから、このレースのレベルは疑ってかかった方が良いかもしれませんね。

逃げたのはオジュウチョウサン、2番手にパリンジェネシス、ムイトオブリガードがやや離れた3番手で外にウィンテンダネス。ポポカテペトル、マコトガラハット、ノーブルマーズが中段を形成。タイセイトレイル、アフリカンゴールド、ハッピーグリンが中段の後ろから。後方からになったのがトラストケンシン、ルックトゥワイス、アイスバブルでした。

逃げを期待したウィンテンダネスはスタート出たものの、二の足が遅く中段の前まででした。内田騎手も押していましたが馬が進んでいかない感じでしたね。スタート五分だったムイトオブリガードの横山典騎手がやる気満々で押して行ったのは驚きました、これでやや離れた3番手というペースを考えれば絶好位を取れましたね。アフリカンゴールドはこのメンバーではスタート五分が精一杯の感じで、中段やや後ろからでした。アイスバブルは立ち上がってしまい後方から、ノーブルマーズは五分に出ていなが手綱を引いて中段に下げる謎騎乗でした。

4コーナーから直線入り口です、ご覧の通り馬群が凝縮しています、この理由はペースが遅過ぎたからですね。向う正面でのラップが遅く、3,4コーナーでも大して引き上げないのでどうしても後ろの馬が取り付いてきます。向う正面では12秒後半のラップを刻んでいましたが、仕掛ける馬が居なかったためにコーナーでも11秒台に入りませんでした。L4で11.8を踏んでいますが馬場状態を考えれば決して速くはないんですよね。

直線入り口でオジュウチョウサンがやや外にはらみます、これでムイトオブリガードの前に進路が開けました。タイセイトレイルもムイトオブリガードを目標に出来る位置で、終始最内を回した分距離ロスも全くなし。この展開では外を回してしまったノーブルマーズ、ハッピーグリン、ルックトゥワイスは苦しくなりますね。展開的にはコーナーで馬群が凝縮すれば外から勢いを付けた馬に優位に働きますが、この3頭は如何せんトップスピードの質が高くない、リスグラシューくらいのトップスピードの質があれば差し切っていたと思いますが。

直線L2標識付近です、ここでアフリカンゴールドが狭くなって進路が無くなります、前と左右をがっちりと囲まれて身動きが出来ませんでした。流石にこの不利は大きいですね。アイスバブルが内に切れ込んでタイセイトレイルのすぐ後ろ辺りに来ましたが、ここから伸びなかったですね。ルックトゥワイスはこの地点ではエンジンが掛かり切っていないというか、トップスピードに乗せるのに時間がかかっていました、これが休み明けの影響かな~。

直線L1標識付近です、パリンジェネシス苦しくなってやや外に寄れたことで、アフリカンゴールドの前が空きます、これでルメール騎手がゴーサインを出すとなかなか良い反応で前に出ましたね。瞬発力は低いと思っていましたが、この反応はなかなか良かったですね。ムイトオブリガードとタイセイトレイルの差はこのままでした、アフリカンゴールドがタイセイトレイルの前に出ましたが、再度タイセイトレイルが差し返してゴールでした。アフリカンゴールドは持続力で少し見劣った感じですね。最後にルックトゥワイスが遅ればせながら差し込んで4着、エンジンの掛かりが遅かったですね。

では1頭ずつ見て行きます。

1着はムイトオブリガードでした、展開が昨年とほぼ一緒で最内の3番手を確保できましたから、一番楽なレースをしてきましたね。休み明けはどうかと思いましたが勝ち切ってしまったので問題はないのでしょう、ただレースレベルには疑問符が付くので評価を変えていいものか迷いますね。トップスピードの質を生かせる展開になりましたし、横山典騎手がやる気満々で出して行きましたからね。軽い高速馬場でスローからの3F戦を前から押し切るのが合っている感じですね、目黒記念の感じからは消耗戦向きではないので、締まったペースになるレースでは人気でも疑った方が良いかも。

2着はタイセイトレイル、終始最内を進めてコースロスなく乗って、直線前がポッカリ空くという非常に幸運なレースでしたね。ハーツクライ産駒で持続力は高いものを見せていましたが、トップスピードの質は高くなかったので、前半がスローになってくれたことが良かったんだと思います。これで賞金が加算できたので今後は重賞を中心に使われるかもしれませんが、展開に注文が付きそうで買いにくいです。

3着はアフリカンゴールド、六社Sと同じようなペースでしたからこの3着は驚けませんね。直線スムースなら2着はあったと思いますが、今後はどうでしょうね。今回意外に良かったのが進路が空いてからの一瞬の加速で、ステイゴールド産駒らしい瞬発力を見せましたね、この点は評価に追加しておきます。

4着はルックトゥワイス、調教も良くなかったし展開もかみ合わなかったので、直線だけで良く4着まで来たなという評価ですね。今回のレースではこの馬だけは次走に期待が持てました。ここを叩いてどこへ向かうのか分かりませんが、乗り替りも込みで次走は上積みがあるはずです。

トラストケンシン、ポポカテペトルが差のない5,6着に来ているのがこのレースのレベルを物語っていますね。パリンジェネシスはスローは良かったんですが、トップスピードの質を問われてしまうとダメですね、L2最速戦に持ち込みやすい中山か阪神で狙ってみたいです、もちろん重馬場で。

ウィンテンダネスは二の足が遅かった段階で能力が落ちている可能性がありますが、それでもこの馬でトップスピード戦を容認してしまうのは大きな疑問です、今年の目黒記念でもスタートで前に行かなかったようですし、昨年の緑風S、目黒記念の連勝は偶々なのかも。ノーブルマーズもトップスピードの質では勝負になりませんが、中段で折り合ってしまいスローペースを容認してしまいましたね。向う正面で動く意識があればここまで負けることはないと思うのですが。

馬券の方は完敗です、展開予想が大きく外れてしまったのでどうにもなりません。来週のエリザベス女王杯で巻き返したいと思います。