2020年AJCC 回顧。スローロンスパで中段よりも前で決着。


走破時計2:17.9    前半1000m63.3  63.3-62.0スローバランス

不良馬場  含水率 ゴール前 14.5%  4コーナー 14.6%(5:30)

クッション値 7.9 やや軟らかめ(7:00)

まずは馬場状態ですが不良馬場でした。レースの上り3Fは37.9ですから、直線は雨の影響以上に馬場が悪化していましたね。2:17.9という走破時計は2012年に近いタイムで、この時も不良馬場でした。勝ったのはルーラーシップなので、アリストテレスも今後に期待が持てます。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤は昨年の弥生賞のラップです。

まずはサトノフラッグです、今回はプラス10kgで最終追い切りもいつものウッドではなく坂路、この辺りは少なからず影響したはず。スタートは五分に出ましたが、そこから外に出したがってズルズル下げて行きました。3コーナー手前からジワっと上がって行きましたが、レースの後半ラップは12秒台の前半ですから、上がって行った時は自身11秒台に入るようなラップを踏んでいたはずです、これではL1で一杯になるのも仕方ないですね。弥生賞の時は12秒台後半のラップを捲くって行ったので、自身は12.0くらいで収まっていたはず、L2の11.8も自身のラップですからね。今回は展開合わず、スローバランスで捲りを封じられてしまった格好ですね。

もう1頭このラップに翻弄されたのがタガノディアマンテ、この馬は11秒台のラップを2連発すると一杯になってしまいます、それがダイヤモンドSでした。このAT値の低さをカバーできたのが前走ステイヤーズSで、緩んだ前半で先頭に立ってしまい粘り込みました。今回はスタート五分でも前に行けず、前半緩んではいるんですが前に行けませんでした。このパターンは十分考えられたので、騎手のペース認識の問題ですね。

逃げたのはジェネラーレウーノ、2番手にウインマリリン、3番手にジャコマル。中段の前からマイネルハニー、ステイフーリッシュ、中段やや前にアリストテレス、ランフォザローゼス。中段からナイママ、ヴェルトライゼンデ、ノーブルマーズ、ラストドラフト。中段やや後ろからソッサスプレイ、ベストアプローチ、中段の後ろからタガノディアマンテ。後方からモズベッロ、サトノフラッグ、サンアップルトンという並びでした。

逃げたのはジェネラーレウーノでしたがスローバランス、不良馬場だったので武藤騎手はビビってしまったのか、それともこれで適性と考えたのか分かりませんが、ジェネラーレウーノ陣営としては後続に脚を使わせたかったはずですから、このペースは想定外だったでしょうね。このスローバランスにも拘わらず意外にも縦長の展開になりました、これはサトノフラッグが下げていったことも影響したはず。サトノフラッグの場合どこかで外に出さないといけないので、馬群の切れ目を探しながら下げましたが、スローバランスでは下げた時点で勝負権が無くなりましたね。

アリストテレスは中段やや前から、恐らくハイペースバランスになったらルメール騎手は下げて行ったでしょうね。この辺りはサトノフラッグが内枠を引いてしまったことが、悪い方に出てしまったのとは反対に、アリストテレスは5枠でいつでも動ける位置を楽に取れたことが大きかった。そのアリストテレスを見る位置に居たのがヴェルトライゼンデで、外に馬が居なかったことでノーストレスで走れたことも良かったですね。

4コーナーです、L3標識でジェネラーレウーノが苦しくなり、ジャコマルとナイママが外から先頭列に上がりました。ウインマリリンはこの2頭を行かせましたね、手を動かして併せに行っていないので、意識的に待ったのだと思いますがこの判断はどうでしょうね~。先行勢を外からショート捲りに行ったのがアリストテレス、L3標識の過ぎまで待ってから追い出していたので、ルメール騎手はギリギリまで待っていましたね。恐らく前の馬は交わせると思っていて、ヴェルトライゼンデやサトノフラッグを意識していたのでしょう。

この地点ではサトノフラッグはモズベッロを交わしています、この馬場なのでトップスピードの質という言葉は適当ではありませんが、瞬間的なスピードでは馬場に拘わらずサトノフラッグの方がモズベッロよりも上なのでしょう。ラストドラフトはアリストテレスを目標にする形で、スムースに直線に入れました。

直線L1標識付近です、ジャコマルが先頭で頑張っていますがこの辺りで一杯、ここから上り坂で我慢比べ。内目からウインマリリン、中目からステイフーリッシュとアリストテレス、その後ろらラストドラフト、外からヴェルトライゼンデとモズベッロでした。坂を上ってアリストテレスが抜け出し、ヴェルトライゼンデとラストドラフトが叩き合って2,3着。ステイフーリッシュは粘り切れませんでしたね。ウインマリリンは通ったコースが内過ぎたかもしれませんね、馬場の悪い部分を通した割には頑張りました。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はアリストテレス、中段馬群の中目を楽に取れたので、いつでも動ける態勢でした。ペースが上がれば下げてスローなら中段待機と、どんな展開にも対応できる位置取りでした。後半1000m62.0は馬場を考えれば好内容でしょう、ただL1が13.3迄落ちているのは今後に向けて不安が残りました。もしかしたら良馬場の方が合うのかもしれませんね。今回はルメール騎手の位置取り、これに尽きるでしょうね。

2着はヴェルトライゼンデ、アリストテレスをマークする形から、勝ちに行きましたね。アリストテレスに動かされてしまった感じもありますが、アリストテレスの外から捲って0.1差なら好内容ですね。今回は休み明けでフレッシュでしたから、この馬は間隔空けてフレッシュな時に期待値が上がりますね。

3着はラストドラフト、2か月半の休み明けで不安視してしまいましたが、しっかりと3着を確保しました。不良馬場になってトップスピードの質が問われなかったために、持続力を生かせたことが大きかったと思います。三浦騎手のコース取りもロスがなく、3,4コーナーではアリストテレスにコースを作ってもらって、直線ではヴェルトライゼンデと併せたことも良かったのでしょうね。今後は休み明けでも道悪でトップスピードの質が問われなければ、嫌う必要はないということでしょう。

4着はステイフーリッシュ、展開的には好走パターンでしたが骨折明けの分が出たのかも。それでも大きく離されることなく4着は確保したので、今後も期待できそうですね。コースロスもなく石橋騎手も上手く乗っていたと思います。

5着はモズベッロ、このラップで後方からでは苦しいですね、それでもL1までバテズに踏ん張っていたので、有馬記念の時よりは確実に上向いています。前半がもう少し速ければ馬券内に届いた可能性もあったと思います。

6着ウインマリリンは休み明けの影響だと思います。サトノフラッグは11着、さすがにこのラップで捲りに行っては苦しいですね、それ以上にプラス10kgの馬体重は驚きました。明け4歳ですが前走は490㎏ですから、既に成長し切っていたと思います。最終追い切りが坂路だったことも危険な兆候だったのかもしれませんね。ジェネラーレウーノは15着、最終追い切りが坂路なのでまだまだ買えませんね。

馬券の方は馬連だけでトリガミ、3連単はラストドラフトが抜けてしまいました。次回は東京新聞杯の予定です。