2022年エリザベス女王杯 回顧。外優位の馬場を見切った騎手。

走破時計2:13.0    前半1000m60.3   上がり3F 36.4

まずは馬場状態ですが朝の段階では良馬場でした、11時くらいから雨が降り始め14時台はかなり強く降りました。トータル19㎜降ったようで重馬場になりました。雨が強かった時間帯に内回りのレースが2レースあり、かなり馬場が荒れた印象で、内よりも外の方が伸びる馬場になっていました。9Rの黄菊賞でも外を回したセブンマジシャンが圧勝したので、クリスチャン騎手は馬場を把握していましたね。重馬場表記でしたが、走破時計2:13.0なので実質的には稍重と考えて良いと思います。

朝の時点の含水率で気になったのは、土曜日に散水していないにも拘らず、4コーナーの含水率が上がっていること。ゴール前では0.3%乾いているのに、4コーナーでは0.7%渋っています。夜露の影響だと思うので、今後も4コーナーの含水率は要注意ですね。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2022年オールカマー、緑は2021年エリザベス女王杯、黒は2020年エリザベス女王杯のグラフです。

まず1着のジェラルディーナです、青と赤のグラフで比べてみると、2F目が今回の方が速い、ここで無理をしませんでした。スタート若干遅れて1コーナーの入りは中段の後ろでした。オールカマーでは中段のやや前からでしたから、自身のペースとしてはどちらも同じようなラップ推移だったはず。なので自身はどちらもスローからの4F戦で、上がり3Fは今回35.4とオールカマーが35.1でした。

この馬はジェンティルドンナの娘なので、どうしても早い上がりで差し切るイメージで乗ってしまい、届かないレースが続いていました。オールカマーで見せたパワーと持続力は、ジェンティルドンナが引退レースの有馬記念で見せたものでした。今回は重馬場発表ですが、タイムからも実質的には稍重位。内よりも外の方が良い馬場で、速い上がりを求められなかったことで差し切りました。

同着2着のウインマリリンを見てみましょう、青と緑、黒のグラフが今年を含めたエリザベス女王杯3年のグラフです。昨年は良馬場でも力の要る馬場でハイペースバランス、前に行ってしまったので心肺機能で見劣り。2020年は平均バランスですが、ノームコアが1頭で飛ばす展開なので心肺機能は問われませんでしたが、スローからの3F戦になり切れ負け。上位3頭は上がり3F33秒台を出していましたが、ウインマリリンは34.4ですから対応できませんでした。

今年は平均バランスでしたが、過去2年よりもやや後ろにポジションを取りました。中段のやや前からで自身はスローバンスで心肺機能を問われず、4F戦になりパワーと持続力で粘り込みました。2年前のオールカマーの展開がまさにこれで、レーン騎手はテン乗りで完璧な騎乗をしたと思います。ジェラルディーナとの差はトップスピードの質ですね。

逃げたのはローザノワール、2番手にマジカルラグーン、ウィンキートス、ウインマイティー。中段の前からスタニングローズ、中段のやや前からピンハイ、ウインマリリン、中段からデアリングタクト、テルツェット、ナミュール、クリノプレミアム。中段のやや後ろからアンドヴァラナウト、ジェラルディーナ、イズジョーノキセキ、中段の後ろからホウオウエミューズ、ルビーカサブランカ、ライラック、後方からアカイイトという並びでした。

ローザノワールがスタート五分に出て逃げ体勢、ただ2F目で10.9のラップを踏んでいるので、田中勝騎手のペース認識はどうなっているのでしょうか。「逃げればそれでいいんでしょ」ってレースに見えますね。前走の府中牝馬Sも躓いて遅れたこともありますが、同じように前半無理して凡走しているので、考えて乗っている感じがないですね。

スタートが意外に良かったのがマジカルラグーンで、すんなり2番手先行、マジカルラグーンを挟む形でウインマイティ―とウインキートス。このウイン2頭は前半ゆったり入った方が良いので、このポジションだとギリギリ平均くらいで入ったはずで、この2頭にも苦しくなりました。

中段の前からスタニングローズがスムース、その後ろからウインマリリンと内からピンハイ。デアリングタクトとナミュールは中段、ナミュールはスタートで加速が付きませんでした。その外にジェラルディーナで、スタートはやや遅く1コーナーの入りでは中段の後ろ、向正面に入ってジワっとポジションを上げていました。ライラックがその後ろで中段の後ろから、アカイイトはポツンと後方でした。

ここが重要な地点でL2標識の手前辺りです、ジェラルディーナ、ウインマリリン、ライラックは馬群の外で、内から4頭目よりも外でした。結局ここで内を回した馬は凡走しました。向正面でポツンと後方だったアカイイトですら、3,4コーナーで外を回したことで4着ですから、今日の阪神内回りは外を通さないと勝負になりませんでした。

直線L1標識付近です、ウインマリリンがスムースに抜け出したところを、L2で一気に差を詰めてきたジェラルディーナが並びかけます。ジェラルディーナを追いかけるようにライラックが伸び、それにアカイイトが続きました。L2の勢いそのままにジェラルディーナが突き抜けて快勝、同着の2着に粘ったウインマリリンと、外から伸びてきたライラック。それにアカイイトが続いて4着でした。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はジェラルディーナ、スローからの4F戦でなおかつ時計の掛かる馬場、これがこの馬の好走条件ですね。クリスチャン騎手が前半無理をしなかったこと、これが大きかったですね。もちろんコース取りも素晴らしい。パドックで煩いところを見せていたので、外枠で折り合いが不安でしたが、しっかり折り合わせて力を発揮させました。ジャパンCへ行かなかったことが最大の好走要因だと思います。

2着はウインマリリン、改めてレーン騎手の手腕を見せつけられました。テン乗りでこの騎乗はレース前に相当研究したはずですね。正直良馬場だったらと思うところもありますが、展開面は完璧なのでレーン騎手以外でこの展開は作れないですね。この馬はスローからの4F戦で、トップスピードの質が問われない時が好走パターンですね。この馬は前に行けるので、スローなら前から4F戦に持ち込み、平均以上で流れれば中段待機と臨機応変なレースが出来る馬です。問題は騎手のペース認識なんですよね~。

同着の2着だったのがライラック、この馬もトップスピードの質が低いパワーと持続力型、紫苑Sがこのパターンで3着、フェアリーSもこのパターンでバテ差しが決まりました。この馬は自身で展開を作れないので、どうしても展開待ちになってしまいますね。ただ嵌ればGⅠでも勝負が出来る力があることは示しました。

4着はアカイイト、昨年の1着馬で今年も4着ですから、この馬に走りやすい馬場と展開になっていましたね。昨年よりも後ろのポジションになった分だけ届かず、この馬はライラックと同じような特性なので、一緒に走れば同じような着順になると思います。

5着はナミュール、秋華賞では相手にしなかったライラックに、4コーナーで外から捲られているので、馬体重に現れない見えない疲れがあったのではないかと。元々反動が出やすい馬ですから、休み明け2走目は要注意ですね。

デアリングタクトは伸びないコースを通ていますが、現状では差しに回ると良くないと思います。スタニングローズも伸びないコースを通しましたが、それにしても負け過ぎ、見えない疲れがあったのでしょう。

馬券の方は的中、複勝だけなのでトリガミでしたが、さんざんウインマリリンを推していたので、的中できて良かったです。次回はマイルCSの予定です。

コメント

  1. そだしれいなす より:

    こんばんは。まずは我らがウインマリリン、残ったよかった(´;ω;`) 強い馬は強いのだ!感激です。
    あと個人的には馬連も絡むので同着で助かった……ワイドは各300円で投資をまくるには十分でした!ただまたも惜しむらくは1,13,14,15の3連単BOX買いをしてまして、ここはお察しの通り、普通に大外13,14,15,18も買えたでしょうがというところ笑 調教評価でもジェラルディーナは上にしてましたしねえ。
    でもまあクリプレもインで頑張ってましたよね。
    でやっぱり思ったのがアカイイトですよね。二の足が遅いからと言って、いくらなんでも下げすぎでは。個人的な展開予想としてはライラックは絶対に出遅れないとミルコは全集中するので、まずまずの出から中段に付けながら、アカイイトがそれを見るかたちで追いかけ、仲良くゴールインというのがイメージでした。着順的にはそうなったんですけど、13,14,15の同着もあったはず(無理) 幸さん〜(´;ω;`)

    • みやや より:

      そだしさん、こんばんは。
      ジェラルディーナの調教評価も良かったしお上手ですよ、マリリンが残ってくれてよ方ですよね。
      アカイイトは何であんなに後ろになったのか不思議ですね、スタート速い馬ではないですが、あそこまで後ろになることはなかったですからね。