2020年高松宮記念 全頭評価。その3。

<タワーオブロンドン>・Raven’s Pass産駒、休み明けでも走る。

・馬群を割れるほどの闘志はない。

・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低いがトップスピードの質は高く、持続力も高い。・使い減りしない。

”NHKマイルC”では内枠から中段のインコースを追走、直線では前が狭くなり投げ出すように凡走。”キャピタルS””ではスローバランスを中段から直線スムースに外に出し、内優位の馬場を外から長くいい脚で伸びて2着、休み明けでフレッシュな状態で長く足を使ってきたが、坂での加速は平凡、内枠は良くない。”2019年東京新聞杯”では平均バランスをやや離れた中段の前から、直線狭くなって馬群を割れずに伸びきれなかった。”2019年京王杯SC”では0.3のややスローバランスを中段の外から、直線は外からスムースに加速して1着、直線狭くならずにスムースだったことが好走要因。”2019年函館SS”ではほぼ平均バランスを中段から、直線外からスムースだったが稍重馬場で思ったほど伸びず3着まで、この時は58㎏。”2019年キーンランドC”ではハイペースバランスを中段の後ろ内目から、直線は中目から前が空いてバテ差し2着まで、この時は58㎏で1着ダノンスマッシュは57㎏だった。”2019年セントウルS”ではややハイペースバランスを中段から、直線スムースに外に出して圧勝、レコードタイムが出る馬場で高速馬場適性の高さを見せた。”2019年スプリンターズS”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースに差し切り。”2020年オーシャンS”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線やや寄られたこともあり3着。

「高松宮記念へ向けて」好材料:距離適性、休み明け2走目。 悪材料:騎手弱化。

はっきりしているのは瞬発力は低いが、トップスピードの質はまずまずで持続力も高い、これらは好材料だが欠点もある、それが闘志の無さではっきりと馬群に怯む。これは凡走した全てのレースに見られることで、キャピタルSでは休み明けでも外々を回してスムースだったことで良く伸びた。よって不安材料は枠だけで、内枠なら大きく割引だろう。函館SSで稍重馬場で差し損ねてしまったが、これが馬場によるものか初めて背負った58㎏の斤量によるものかは不明、上がり1番時計を出しているので、単に展開が向かなかった可能性の方が高いと思う。2019年キーンランドCでは7番枠から馬群の中で進めたが、直線で前が空いてバテ差し2着に、58㎏を背負っていて稍重の中バテ差して来たのは高評価。2019年セントウルSでは超高速馬場でのレコード決着をノーステッキで圧勝、高速馬場適性の高さを見せつけた。父レイヴンズパスは2008年4月から10月までの間に8レースを走るタフネスぶり、しかもGⅠ6戦、GⅡとGⅢを1戦ずつ。その成績はGⅠ2-3-0-1で着外の1回も4着と使い減りしない。

2019年スプリンターズSではスタート良く前が速いと見るや中段やや後ろまで下げて、馬群の切れ目から外に出して差し切り。この馬は馬群を割る闘志はないので、8番枠で直線前が壁になった時は不安があったが、ルメール騎手が4コーナー入り口では外に馬の居ない状態を作っていた。こうなれば後は直線で前を交わすだけになるので、4コーナーの入り口で勝負が決まった感じのレースだった。加えて直線入り口ではわざと追い出しを遅らせて、内に居たダノンスマッシュの進路を殺しに行っている、これでダノンスマッシュはタワーオブロンドンの後ろから追い出すことになり、当然届かなかった。2020年オーシャンSでは1番枠で中段から、直線外のグランドボヌールに若干寄られてしまった、これで加速が鈍って3着。休み明けの影響もあったが、外からスムースの方が良いはず。

好材料は距離適性で1200mはスプリンターズSを勝ち切っているので好相性、初コースにはなるが東京コースでの好走歴から左回りを苦にすることはないはず。悪材料は騎手弱化で福永騎手への乗り替わり、この馬自身内枠で直線スムースさを欠くと良くないし、福永騎手も金鯱賞のようにドン詰まりが得意なので、ある意味手が合うと思う。前走を見ても内枠は危険で、真ん中よりも外の枠なら安心。

<ダイアトニック>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力もまぁまぁ。

・トップスピードの質は高く、持続力もある。・直線で外に寄れることがある。

”2018年三鷹特別”では離れた追走集団の中で実質平均バランスから、3F戦で11.0、11.0、11.2のトップスピード持続で2着、右に寄れて伸びきれなかった。”2019年斑鳩S”ではスローバランスを中段から、L2最速戦をトップスピード持続で押し切り。”2019年ダービー卿CT”ではハイペースバランスを最後方から追い込んで4着まで、この時が休み明け3走目。”2019年安土城S”では平均バランスを中段から、直線入り口で前が壁になったが外目に出してから伸びて1着。”2019年スワンS”では平均バランスを中段やや後ろから、直線入り口で大きく外に寄れたが修正して差し切り、トップスピードの質と持続力を見せた。”2019年マイルCS”ではスローバランスを中段の後ろから、直線は外に出したが伸びずに10着、この時が休み明け2走目。”2020年京都金杯”では平均バランスを中段から、3,4コーナー最内を回して直線スムースににけて2着、この時は休み明けでプラス12㎏でトップハンデ。”2020年阪急杯”ではややハイペースバランスを中段の前から、3,4コーナー最内を回して直線強引なコース取りで抜け出し2着だったが3着に降着。

「高松宮記念へ向けて」好材料:距離短縮。 悪材料:初距離、クラス負けの危険、前走の反動。

ロードカナロア産駒の特徴が良く出ている部分が疲労で、ダービー卿CTでは休み明け3走目で出遅れ後方からになってしまった、疲労により出遅れたと馬としては今年のダービーでサートゥルナーリアも一緒、やはりロードカナロア産駒は肉体的疲労よりも精神的ストレスが大きく影響するんだと思う。2カ月休んだ安土城Sを直線入り口で前が壁になりながらあっさり勝ち切ったように、休み明けでフレッシュの方がパフォーマンスが高いタイプなんだと思う。

2019年ダービー卿CTは大きく離れた後方からで直線までに取り付き、バテ差しになったが4着まで上がってきた、この時の2着がプリモシーンで0.2差なので高評価。2019年スワンSはスタート五分に出てから中段まで下げる操縦性の良さを見せた、直線で大きく外に寄れたが、スミヨン騎手が鞭を持ち替えてすぐに修正したので、この修正が出来れば問題はないはず。トップスピードの質と持続力の高さは再三見せているので驚かないが、かなりロスの多い競馬でスムースならもっと着差があったはず。

2019年マイルCSでは外枠から最内を取るロスの無い騎乗だったが、直線は外に出して伸びなかった、ロードカナロア産駒の休み明け2走目で反動の可能性もある。2020年京都金杯ではスムースなレースで2着、この時はプラス12㎏でやや重かったことと、ハンデ戦でトップハンデだったことで差し切れなかった。この時の1着が53㎏のサウンドキアラで4㎏差は可哀想だった。2020年阪急杯ではややハイペースバランスを中段の前から、直線で一旦外に出そうとしてから再度内へ行き進路妨害で2着入線も降着で3着。先行したことでまぁまぁの心肺機能を見せたし、ゴール前でコースが空いてからもう一伸びしたので、持続力も高いものを見せた。

この馬は酒井牧場生産だが外厩はノーザンFしがらきを使う隠れノーザン。2019年スワンS、2020年京都金杯で休み明けを好走している。

好材料は距離短縮になる点で、1200mは初めてだがこの馬は距離を短縮すると好走する。近走でもスワンSからマイルCSへ延長して凡走、同距離の京都金杯で好走、短縮の阪急杯は直線狭くなったので2着入線は好走と言っていいと思う。悪材料は初距離になる点で、短縮は好材料だと思うが1200mへの対応は未知数。GⅠはマイルCSで凡走しているのでクラス負けの危険はある、ただスワンS好走の反動が出たはずなので、大きな不安ではない。前走の2着入線を好走とするかどうかが微妙なところで、結構ストレスのあるレースになっている、ロードカナロア産駒なので激走後の反動は不安材料。

<ダイメイプリンセス>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く、持続力が高いバテ差しタイプ。

・休み明け良くない。

”2018年アイビスSD”では中段やや前から、L1で馬群を捌いて圧勝。”2018年北九州記念”ではハイペースバランスを中段からバテ差し2着、アレスバローズにはトップスピードの質で見劣り。”2018年スプリンターズS”稍重ではハイペースバランスを中段後ろから、インコースを突いてバテ差し4着。”2019年オーシャンS”ではハイペースバランスを出遅れて後方から凡走、-14㎏の影響かも。”2019年高松宮記念”ではハイペースバランスを後方から、直線は伸びずに凡走、この時は+18㎏。”2019年鞍馬S”ではほぼ平均バランスを3番手先行、直線は伸びずに凡走、心肺機能の低さを見せた。”2019年アイビスSD”ではスタート悪く後方から、ジリジリ伸びてはいるが内枠だったこともあり6着まで。”2019年北九州記念”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回して直線スムースに加速してバテ差し1着。”2019年セントウルS”ではややハイペースバランスを中段から、スタート良かったが行き脚が付かずに中段まで下がり、直線も伸びあぐねて凡走、超高速馬場への対応が出来なかった。”2019年スプリンターズS”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだがトップスピードの質で見劣り6着。”2020年シルクロードS”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、3,4コーナー中目を回して直線外からスムースだったが凡走、この時休み明け。”2020年オーシャンS”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー内目を回して直線スムースだったが伸びず、マイナス12㎏の影響。

「高松宮記念へ向けて」好材料:・・・。 悪材料:コース適性、体調。

心肺機能はまぁまぁの物を持っていて2018年北九州記念でもハイペースバランスを中段からバテ差し2着まで持ってきた、この時の1着がアレスバローズでトップスピードの質では見劣った。持続力とパワーはスプリンターズSで見せていて、中段の後ろからコーナーをロスなく回ってバテ差し4着だった、稍重馬場でトップスピードの質を問われない馬場だったのが大きいと思うし、内を通したラインスピリットが3着だったので馬場の恩恵もあったと思う。

休み明けが良くなくて1-1-0-5と2回の好走はいずれも条件戦、この厩舎は仕上げが雑な印象で、2019年オーシャンSが-14㎏、2019年高松宮記念が+18㎏と走れる体調ではなかった。同じ厩舎に半弟のダイメイフジが居るんだけど、こちらも二桁の馬体重増減が結構あってきちんと仕上げている印象がない。

2019年のスプリンターズSで0.4差6着と好走と言っていい結果を出してきた、2018年のスプリンターズSでも4着なので坂を苦手にしているわけではない。2019年セントウルSでは坂の影響かと思ったが、高速馬場への対応がやや甘いようで、トップスピードの質で見劣った感じ。勝ち切った2019年北九州記念でも上がり34.5なので、トップクラスになるとハイペースバランスの消耗戦でも届かないんだと思う。2020年オーシャンSではマイナス12㎏とまたもや二桁の馬体重増減、これでは走れるはずもなく当然のように凡走した。

好材料はなし、悪材料はコース適性で中京では条件戦で2着があるが、1着のペイシャフェリシタから0.4秒も離されているので、相性は良くないと思う。問題は前走でもまともに仕上げられなかった体調で、この厩舎は仕上げが雑というか能力不足が見て取れる。昨年の高松宮記念でもプラス18㎏とミルコを配してきた割に、走れる状態ではなかった。

<ダノンスマッシュ>・心肺機能は高い、パワーはやや低い、瞬発力は高い。

・トップスピードの質は高く持続力はまぁまぁ。

・休み明けでも走る。

”2019年シルクロードS”ではハイペースバランスを中段やや前、直線前が詰まってL1だけで11.1で圧勝。”2018年京阪杯”ではほぼ平均バランスを先行して内から圧勝、L1は11.4で瞬発力抜群。”2019年高松宮記念”ではハイペースバランスを中段の前から、直線追い出しを待った分だけ伸びずに4着、3コーナー入り口で内に切れ込み制裁。”2019年キーンランドC”ではハイペースバランスを中段から、4コーナー外を回して直線スムースで1着、稍重馬場だったことと薬物問題でローテの狂いがあり、イマイチな内容だった。”2019年スプリンターズS”ではハイペースバランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線入り口で待たされてしまい3着まで。”2020年オーシャンS”ではハイペースバランスをスタートでやや遅れてリカバリーして中段やや前から、3,4コーナー内目を回して直線スムースに抜け出し1着。

「高松宮記念へ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:坂への対応、騎手弱化、前走の反動。

NHKマイルCや高松宮記念を見ていると、上り坂で苦労している。NHKマイルCでは1列後ろに居たギベオンに、L2の坂部分で一気に抜かれた、ただこれでズルズル下がるわけではなくL1の平坦部分では互角のスピードだった。これは高松宮記念でも上り坂の途中まで追い出しを待ってしまい、この馬にとって一番苦手な坂の途中から「行け!」と言われても・・・。なのでパワー不足の可能性は現状では否定できないと思う。

それ以上に強烈な瞬発力とトップスピードの質を持っていて、シルクロードSや京阪杯で直線詰まりながらも、こじ開けてからの加速は他を圧倒していた。シルクロードSではハイペースバランスを先行しているので自身もハイペースバランスだった、これでⅬ1の強烈な瞬発力とトップスピードの質を見せたのは、高い心肺機能のなせる業だろう。勝ったとはいえやや物足りなかったのが2019年キーンランドCで、この時は稍重だったことと薬物問題でローテーが狂った影響だと思う、2018年のキーンランドCも稍重で2着だったので、稍重では自慢の瞬発力が鈍る可能性はあると思う。

2019年スプリンターズSでは直線内枠で待たされたが、登坂で加速が鈍り3着まで、坂上では再度盛り返したので東京や中京は大丈夫なはず。坂に差し掛かった地点で明確にタワーオブロンドンに引き離されてしまったので、坂はやや割引。2020年オーシャンSではスタートでやや出遅れた、前が開いていたのでリカバリーできたが印象は良くない。中段やや前で進め最内を回して直線スムース、坂上でナックビーナスを交わしているので、坂は苦手なんだろう。

好材料は距離適性で昨年のスプリンターズS3着、この時は直線入り口で待たされている、1200mの実績は十分なものがあるので好材料で良いと思う。悪材料は坂への対応で昨年のこのレースでも坂では伸びていない、スプリンターズSでも坂では前を捉えていないので、L2が上り坂のこのコースは不安材料。三浦騎手への乗り替りは当然騎手弱化で、川田騎手からなので不安が大きい。テン乗りだし坂への対応ができるかも不安材料だけでなく、近走明確にスタートが悪くなっているので、三浦騎手で上手くリカバリーできるかどうかも大いに不安。この馬はロードカナロア産駒なので、前走海外帰りの休み明けを勝ち切ってしまったことは決してプラスではない。