2020年天皇賞(春) 全頭評価。その4。

<フィエールマン>・心肺機能は高く、パワーはまぁまぁ、瞬発力は高い。

・トップスピードの質は高く、持続力はまぁまぁ。

・休み明けでも走る、疲労はディープ産駒通りと予想。

”ラジオ日経賞”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー大外を回してL1だけで2着まで、強烈な瞬発力を見せた。”菊花賞”では超スローペースを中段から、L2で自身10.5くらいのトップスピードの質と瞬発力を見せて、エタリオウを振り切り1着。”2019年AJCC”ではスローバランスを中段から、加速自体は良かったが坂で鈍って2着まで。”2019年天皇賞(春)”ではスローからのL2 最速戦、瞬発力とトップスピードの質で勝ち切る。”2019年札幌記念”では平均バランスを中段やや後ろから、4コーナー外を回して直線外からスムースだったが3着まで、この時が休み明け。 ”2019年有馬記念”では離れた追走集団の中段やや後ろから、3コーナー外目から早目に動いて直線垂れてしまい4着まで。

「天皇賞(春)へ向けて」好材料:レース適性。 悪材料:特になし。

ルメール騎手に変わってスタートは改善。ラジニケ賞、菊花賞、天皇賞(春)で強烈なトップスピードの質と高い瞬発力を見せている、ラジニケ賞ではL1、菊花賞と天皇賞(春)ではL2で10秒台のラップを踏んでいるはずで、ここで勝負を決められるほどの武器になってる。反面持続力にやや難があり、アメリカJCCではL4から11秒台に入る流れでL1で伸びを欠いて、シャケトラを捉えきれなかった、L2の10.9には反応できたがL1でやや鈍ったのは、トップスピードを維持する持続力がやや低いためだと思う、これは菊花賞や天皇賞(春)でも見せていて、菊花賞では先に抜け出したエタリオウをL2だけで一旦交わしたが、L1で再度並び返されてしまい僅差の辛勝だった。天皇賞(春)でもL4から11秒台に入る流れを1頭分外を回したグローリーヴェイズにL2で反応されてしまい、なんとか押し切った感じで、決して持続力は高くないと思う、高くないと言っても並の馬ではないので、最高レベルからはやや落ちるという程度。元々疲れやすいディープ産駒で、ノーザンファーム生産馬なので最高の外厩施設を使って、休み休み使われていながらしっかり結果も出している。

2019年札幌記念では平均バランスを中断やや後ろからすすめ、4コーナーで外を回して直線外からスムーズだったが3着まで、この時の1着がブラストワンピースでブラストワンピースとは4コーナーのコース取りが違った。かなり外を回してしまったので距離ロスがあったのは確かだし、次の凱旋門賞へ向けて叩き台だったので3着でも悪くはないと思う。2019年有馬記念では離れた追走集団の後方からで自身ややハイペースバランスくらいのはず、3コーナーから外目を回し早目に仕掛けたこともあり4着まで、直線では舌を出していたのでかなり苦しかった感じ。この時は凱旋門賞帰りで2か月半の間隔空けだった。

好材料はレース適性で昨年のこのレース1着、2018年菊花賞でも勝っていて距離適性は高い。昨年の天皇賞(春)ではL4から11秒台に入る展開を、L2で11.0を叩き出して瞬発力の高さを見せた。菊花賞では同じL2最速戦だが、L3まで12秒台という展開だったので、昨年のレースでステイヤーとしての適性を見せたと思う。AJCCで4F戦を2着に取りこぼしたように、できれば2F戦や3F戦の方がベストだが、4F戦への対応が可能なことは見せたからね。当然鞍上はルメール騎手で不安などあろうはずもない。悪材料はとくになしだが、キセキが5F戦や6F戦に持ち込むようなら危ないかもしれない。なのでキセキとは並び立たないかもしれない。

<ミッキースワロー>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは有る、瞬発力はあまり高くない。

・トップスピードの質は高く、持続力も高い。

”2017年セントライト記念”ではスローバランスを中段から、直線は外からスムースに加速して、L1最速の11.0で差し切り、この時の2着がアルアインでトップスピードの高さを見せた。”2018年AJCC”ではスローバランスを離れた追走集団の中段から、L4から前を追いかけたがL1で甘くなって2着、この時の3着が逃げたマイネルミラノで半馬身差なので、持続力はやや低い感じ。”2018年大阪杯”ではスローバランスで後半ロンスパを後方から、4コーナー外から押し上げて行ったがL1で甘くなり5着。”2018年札幌記念”ではハイペースバランスを中段やや後ろから、直線は全く伸びず、心肺機能の低さを見せた。”2018年ジャパンC”ではスローバランスで後半ロンスパを後方から、直線外からスムースで上がり3F33.9は最速だが、勝負にはなっていない。”2019年新潟大賞典”ではスローバランスを中段の後ろから、直線やや狭くなったが馬群を割って伸びて2着、この時は57.5㎏を背負わされていたし、3F戦でしっかり伸びた。”2019年エプソムC”ではスローバランスを後方から、直線スムースだったが伸びず、トップスピードの質で見劣り凡走。”2019年七夕賞”ではハイペースバランスを離れた追走集団の中段やや後ろから、自身平均バランスくらいからL4手前で上がって行って、外から捲って押し切り。”2019年オールカマー”ではスローバランスを後方から、3,4コーナー外を回して直線スムースだったが2着まで。”2019年福島記念”ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回して直線スムースにバテ差したが3着まで、この時は58.5㎏。”2020年AJCC”ではスローバランスを中段から、3,4コーナー外を回してアクシデントの影響を受けてロスが有り4着まで。”2020年日経賞”ではスローバランスを中段の後ろから、3,4コーナー中目を回して直線外目から差し切り。

「天皇賞(春)へ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:久々の輸送。

正直よく分からない馬で、2019年七夕賞では稍重で自身平均バランスからロンスパの捲りで勝ち切ったし、2019年エプソムCでは同じ稍重でスローバランスから、直線全く伸びずに凡走している。2年前になるがセントライト記念が強い勝ち方で、L1最速11.0という珍しい展開を中段から差し切ったのは驚いた、2Fくらいを11秒を連発するような脚質なのかな~と。それはロンスパになった2018年AJCCや2018年大阪杯で甘くなっているので間違いではないと思うし、2018年札幌記念でハイペースバランスを全く良いところなく凡走しているので、心肺機能は高くはないはず。2018年ジャパンCでは後半のロンスパで5着にはなっているが、全く勝負にならない位置に居たし、超高速馬場だったことも心肺機能に余裕があった理由ではないかと。

問題は勝ってしまった2019年七夕賞で、もちろんローカルGⅢで相手は弱かった、2番人気が初重賞のクレッシェンドラブだからね。それと稍重で離れた追走集団の中段の後ろからと、自身の1000m通過は目視60.0くらいで平均バランスだった。福島競馬場は全面にエクイターフが採用されていて、その上から洋芝がオーバーシードされている、雨には割と強い馬場のはずなので、恐らくこれらの点からも心肺機能には余裕があったと思う。その上でL4から11.8-11.8-12.1-12.1とあまり落としていないことからも余裕のある勝ち方だったのではないでしょうか。

ジャパンCで5着があるので左回りが苦手ということはないが、ジャパンCの時も直線入り口で外に顔を向けて大外まで出していた、これはエプソムCでも同じようだったし、2着に好走した新潟大賞典でも直線入り口では外へ流れていた。なので左回りはやや割り引いた方が良いと思う。2018年札幌記念の凡走は勝負所の直線入り口で、前をモズカッチャンにカットされている。もちろんその前に進路を確保したかったが、動き出しが遅かったので瞬発力がやや低いのかもしれない。道悪に関してはトニービンの血がある馬は、重馬場でも問題なく走る馬が多いので不安材料にはならないと思う。

2019年オールカマーでは後方からスローバランスの4F戦になり届かなかった、2019年福島記念ではハイペースバランスを中段の後ろから、3,4コーナー外を回して捲って行ったので自身L3から11秒台に入っている可能性が高く、58.5㎏の斤量も含めて強い内容だった。自身平均バランスくらいで心肺機能は求められていないが、持続力の高さは見せている。どうしてもスタートが遅いので中段の後ろからになり届かないレースが続いているので、展開に左右されてしまう。2020年AJCCではスタートを決めて中段から、4コーナーでアクシデントの影響を受けてブレーキしている、これが響いたのか直線では4着までだった。2020年日経賞ではスローバランスだがかなり消耗しやすいラップに付き合わずに、中段の後ろで足を溜めていた。これで3,4コーナー中目を回して直線バテ差し1着、持続力とパワーの高さを見せつけた。

好材料は距離適性で菊花賞で0.8差6着がある、母系を辿るとフェリシタルが長いところで好走歴があり、母父のジャングルポケットも菊花賞0.4差4着、天皇賞(春)タイム差無し2着なので血統的に不安よりも期待が大きい。もちろん父父はディープインパクトですからね~。悪材料は久々の輸送で、関西圏への輸送は2年振り。その時は大阪杯5着なので悪くはないが、輸送に慣れているわけではない。これは重箱の隅をつつくような事なので、他には大きな不安はないかな~。

<ミライヘノツバサ>・心肺機能はまぁまぁ、パワーは高い、瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は低く、持続力はまぁまぁ。

”2017年迎春S”ではハイペースバランスを離れた追走集団の先頭からで自身スローバランス、自身後半ロンスパに持ち込み押し切り。”2017年AJCC”では平均バランスを3番手先行、3,4コーナー最内を回して直線スムースに抜け出したが差されて3着。”2017年日経賞”ではスローバランスを2番手先行、3,4コーナー内目を回して直線スムースに抜け出したがシャケトラに差され2着。”2018年オールカマー”ではスローバランスを中段やや前から、3,4コーナー内目を回して4コーナーで一杯になり凡走、この時が長期休養明け。”2018年アンドロメダS”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して直線スムースだったが伸びずに凡走。”2019年AJCC”ではスローバランスを中段の前から、3,4コーナー中目を回して4コーナーで一杯になり凡走。”2019年福島TVOP”ではややスローバランスをやや離れた2番手で単独先行、3,4コーナー中目を回して直線粘って3着。”2020年白富士S”では平均バランスを中段の後ろから、3,4コーナー外目を回して直線スムースだったが凡走。”2020年ダイヤモンドS”では平均バランスを中段から、3,4コーナー内目を回して直線馬群を割って粘りに粘って1着。

「天皇賞(春)へ向けて」好材料:距離適性。 悪材料:クラス負けの危険、休み明け。

206年菊花賞後、2017年日経賞後に脚部不安で長期休養。

ドリームジャーニー産駒、パワー系ステイゴールドの特徴を強く受け継いでいる。ただしスピード能力が低く、心肺機能とパワーを生かす展開でこそ台頭してくる。2017年AJCCで後半5Fのロンスパを先行して3着、さすがにL1で落としたところを差されたが、高いパワーとまぁまぁの心肺機能と持続力を見せた。2017年日経賞でもスローバランスだったが4F戦を2着に粘った。この時もL1では12.6迄落としていて、持続力はまぁまぁまでで高いとは言えない。

休み明けで凡走したのが、2018年オールカマーでは後半6Fの超ロンスパ戦になり、4コーナーで一杯になり凡走した、1着からレイデオロ、アルアイン、ダンビュライトと相手が悪かったし、長期休養明けも凡走理由だと思う。更に2か月空けてアンドロメダSでも凡走、この時はスローバランスで4F戦になっているが、L1でも11.8が出ているのでトップスピードの質でも見劣っている。更に2か月空けて2019年AJCCで凡走、スローバランスの4F戦でL2が10.9では対応できなかった。この馬は非ノーザンF生産馬なので、外厩が弱く休み明けでは大幅割引。

2020年白富士Sでは休み明けで当然のように凡走したが、続くダイヤモンドSで16番人気の低評価をあざ笑うかのように勝ち切って見せた。この時は62.6、61.4、400m挟んで最後の1000mが62.8と平均バランスの超消耗戦になった、ここでこの馬の能力が覚醒した、12秒台のラップを淡々と踏み続け周りが苦しくなったところを粘り切る、まさに肉を切らせて骨を断つような内容だった。このレースからもとにかく苦しくなった時の粘りがこの馬の持ち味で、スピード能力を問われないことが条件になる。

好材料は前走3400mを勝ち切った距離適性で、これは大きな武器になるはず。悪材料はクラス負けの危険で日経賞2着、AJCC3着があるが3年も前のこと、もちろん古馬GⅠは初めてで、前走ダイヤモンドSを勝ったが54㎏と、軽ハンデに恵まれている。更に大きな悪材料が休み明けで、2か月半の休み明けは大きな不安材料。日経賞を2着した時が2か月の間隔だが、更に半月長い今回は厳しいのではないか。正直ってここに出走して欲しくない馬で、こんなことを書くと読んでくれている方には不快な思いをさせてしまうかもしれない。この馬は2度の長期休養があるように脚部不安とずっと戦ってきた、戦績が示すようになかなか間隔を詰めて使えないのはそうした理由。長距離戦を2度も続けて走れるほど丈夫なら、こんな戦績にならないはずで、馬の為にも今からでも自重して欲しい。出走するならとにかく無事に走り切ってくれれば。