2020年桜花賞 回顧。今期絶好調な松山騎手の好騎乗。

走破時計 1:36.1  前半800m 46.5  上り3F 38.1

含水率 ゴール前 10.0%  4コーナー 8.6%

まずは馬場状態ですが重馬場まで悪化しました、含水率は午前5時発表のものなので昨日よりも乾いていますが、断続的に雨が降り続き一気に悪化してしまいました。レースのL1ラップが13.8なのでかなり力の入る重い馬場だったと思います。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。

グラフを見れば一目瞭然なほど消耗戦になっていて、前に行って残ったレシステンシアととスマイルカナの粘りは驚異的です。L1は13.8まで落としているためにトップスピードの質が全く問われていません、スマイルカナはトップスピードの質が問われてしまうと苦しくなっていたはずで、重馬場の恩恵をモロに受けた馬だと思います。

前半800m46.5とというのは昨日の阪神牝馬ステークスの前半800mと同じです、馬場状態を考えると速過ぎるはずですが、 追走したマルターズディオサ以下の中段勢が直線で心肺機能が一杯になったこと、 重馬場で速い上がりを使えなかったことで、レシステンシアとスマイルカナが残る展開になりました。

逃げたのはスマイルカナ、2番手の外にレシステンシア、3番手でヤマカツマーメイドが先行しました。中段の前からマルターズディオサ、ナイントゥファイブ 、中段のやや前からサンクテュエール、ウーマンズハート、ミヤマザクラ。中段からエーポス、インターミッション、リアアメリア、クラヴァシュドール、デアリングタクト。中段の後ろからフィオリキアリ、ケープゴッド、 マジックキャッスル、後方からになったのがヒルノマリブ、チェーンオブラブでした。

スマイルカナがどれぐらいのペースで逃げるのかが注目点でしたが、かなりのハイペースで飛ばしたためにレシステンシアは2番手からを選択しました。このペースで行ってくれるならばレシステンシアとしても全く文句は無かったはずです。3番手にヤマカツマーメイドが上がり、その後ろからマルターズディオサが続きました。馬場とペースを考えると、マルターズディオサの位置はかなり前になってしまったと思います。このあたりのペース認識の悪さが田辺騎手の足りないところだと思います。

中段からレースを進めたのがリアアメリア、クラヴァシュドール、デアリングタクトでこの組で先頭から1秒強くらいのさ差がありました、なのでこの組でもややハイペースバランスか平均バランスくらいに入っていたはずです。ミヤマザクラは中段のやや前から、特性を考えるともう少し前から進めてもよかったのではないかと思いま。

4コーナーから直線入り口です、スマイルカナにレシステンシアが並びかけます、マルターズディオサがヤマカツマーメイドの内側に入りレシステンシアを追いかけ、サンクテュエールがそれに続きます。ウーマンズハートがヤマカツマーメイドの後ろから、ミヤマザクラはこの地点では動きませんでした。中段からの組は動きがほとんどなく、デアリングタクトもこの地点では仕掛けていませんでした。

直線L2標識付近です、スマイルカナとレシステンシアが並んで直線に入りました、それを追いかけたマルターズディオサがやや離されました。中段待機組はここから GO サインが出されデアリングタクトは外から、リアアメリアとクラヴァシュドールは内から前を追いました。 ヤマカツマーメイド、ウーマンズハートはこの辺りで一杯になり後退。 ミヤマザクラはジリジリとしか伸びず前との差が詰まりませんでした。

直線L1標識付近です、ここでもスマイルカナとレシステンシアは並んでいました、外からこの2頭を目標に猛然と追い込んだのがデアリングタクトで、エピファネイア産駒らしい道悪適性を観せました。最内から伸びたのがクラヴァシュドールで、同じ位置で直線に入ったリアアメリアを突き放しているので、リアアメリアに対してはクラヴァシュドールの能力が勝ったと思います。中段やや前から非常にスムースな競馬をしていたサンクテュエールも、クラヴァシュドールに差されているので、リアアメリアとサンクテュエールについては能力に疑問符が付きます。

では一頭ずつ見ていきます。

1着はデアリングタクト、序盤は中段のやや後ろから進め、自身ではややハイペースバランスか平均バランスのレースになっているはずです、前のレシステンシアやスマイルカナが完全なハイペースバランスだったので、貯めるだけ貯めて直線爆発的な末脚を発揮してきたということだと思います、エピファネイア産駒らしいトップスピードの質、瞬発力、持続力の高さを見せただけでなく、高い道悪適性もお父さん譲りだと思います。序盤の位置取りが馬群の外になった事は松山君の好判断だと思います、予想の段階では内へ入ってしまう可能性があると思いましたが、怖がらずにいつでも仕掛けられるポジションを取ったことが大きな要因だと思います。今期絶好調の松山君ですから昨日のサウンドキアラに引き続き、とても心強い相棒がいることで今後の活躍が楽しみになってきました。

デアリングタクトについては距離が延びてもあまり不安がないと思わせるレース内容でしたし、オークスへ向かうのならば広い東京コースとは相性が良いと思います。内で詰まるようなことがなければ今後も大活躍が期待できると考えています。

2着はレシステンシア、重馬場を考えればかなりハイペースで飛ばしましたが、最後までよく粘って2着を確保しました。スマイルカナが思いの外ハイペースで飛ばしたために、単騎で逃がしてしまうわけにもいかず自分のペースでは進められなかった可能性もありますが、ダイワメジャー産駒らしい高い持続力を存分に発揮しています。阪神JFの感じからも高速馬場で前半のスピードを生かす方が、この馬の特性に合っているような気がするので、例年通り超高速馬場のNHKマイルCならば、さらにパフォーマンスを上げてくると思います。

3着はスマイルカナ、 重馬場にもかかわらずかなりのハイペースで飛ばし、3着に粘った持続力の高さは賞賛に値します、もちろんこのペースで最後まで頑張った心肺機能の高さも評価しなくてはいけないと思います。後続の脚を削いで自身が粘り込むと言う逃げ馬のお手本のようなレースでした、レシステンシアに差されてしまったのは、今後を考えると非常に残念ですが、GⅠで3着はとても立派だと思います。 フェアリーステークスでは平均バランスを逃げて押し切っていたので、ここまでの心肺機能と持続力の高さがあるとは思いませんでしたが、後半トップスピードの質を問われなかったこと、重馬場になり中段勢が速い上がりを使えなかったこともこの馬には味方しました。よって今後高速馬場で逃げた時にはあまり期待はしない方が良いと考えています、高速馬場になれば上がり32秒台を使ってくる馬がゴロゴロいますし、自身が45秒台で逃げることができるのかどうかは未知数です。

4着がクラヴァシュドール、 序盤は中段のやや後ろから進めデアリングタクトとほぼ同じ位置取りでした、 したがってこの馬も平均バランスくらいで入っていたはずで、序盤は脚を溜めていました。4コーナーでは無駄に動かず直線に入ってから最内に進路を取り、スムーズに抜けてきましたが届かず4着まででした。 デアリングタクトとは重馬場適性と瞬発力の差がややあったと思います。 

5着がミヤマザクラ、中段のやや前から進め4コーナーでは無駄に動かず、スムースに直線に入ってきましたがそこから伸びませんでした。差し足で勝負をするタイプではなくこのような馬場であれば、先行して粘り込むか後方からバテ差しに行った方が良いと思っていましたが、中途半端なレースをしてしまったなという印象を持ちました。 

マルターズディオサは8着でした、重馬場でかなりのハイペースバランスを先行してしまったことで、心肺機能が一杯になってしまった感じです。それでもレシステンシアからは0.9秒差ですから、阪神JFでの0.8差から大きく広がっていません。この馬なりに走っているはずですが、道悪適性や4コーナーで早めに仕掛けてしまったことも含めて、今回はちぐはぐなレースになってしまったと思います。リアアメリアは10着でした、アルテミスステークスでリアアメリアの2着になったサンクテュエールが6着なので、この2頭に関しては人気がやや過剰評価だったと思います。 

重馬場で消耗戦になっているためオークスやNHKマイルCには参考にならないと思います、しかしデアリングタクトとレシステンシアについては、良馬場でも高レベルの実績を残しているので、評価は上がりますね。スマイルカナの取扱いが難しくなりそうです。

馬券の方はスマイルカナを無印にしてしまい外れてしまいました、ここまで馬場が悪化してトップスピードの質が問われない状況では、前で運んだ人気薄の一発激走には要注意でした。