2020年マイラーズC 回顧。

走破時計 1:32.4  前半800m 47.2  上り3F 33.8

含水率 ゴール前 9.9%  4コーナー 9.1%

まずは馬場状態ですが含水率が示すように良馬場で高速馬場に入っていました、走破時計の1:32.4は昨年のタイムとほぼ同じです。 

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今回、赤が2019年マイラーズCのグラフです。

2019年 前半800m 48.5  レースの上り3F 32.3 インディチャンプの上り 3F32.1

2020年 前半800m 47.2  レースの上り3F 33.8 インディチャンプの上り 3F33.0

今年もスローバランスにはなっていますが、前半800mは昨年よりも1.3秒速くなったことで、レースの上り3Fは1.5秒遅くなっています。さすがに昨年のペースではインディチャンプは差すことができませんでしたが、今年はL1で11.6迄(前に居た2着ベステンダンクのL1は推定11.9)落ちたこで、インディチャンプの持続力が発揮されて圧勝でした。昨年はL1でも11.1と前半が遅すぎて前で決まってしまったレースでしたが、ここで問題なのは福永騎手がこのペースを容認して、早目に動かなかったことでした。先週のコントレールでは自信に満ち溢れた騎乗で勝ち切りましたが、だからといって福永騎手に動く意識が芽生えたとは思えません。今回のようにL4から11秒台の前半に入り、L1で落ちる展開がインディチャンプには最高の展開になることは、安田記念やマイルチャンピオンシップで見せています。インディチャンプの脚質を考えるとこの展開を自分で作るのは非常に難しいので、今後もスローペースになりやすいGⅡGⅢ辺りでは取りこぼす可能性は残されています。 

ベステンダンクがしっかりと2着に粘れたのも、L4から11秒台の前半に入る4F戦に持ち込めたためで、藤岡佑騎手は馬場とペースを考えて非常に良い騎乗をしたと思います。2018年米子Sで逃げ切り勝ちをした時は平均バランスからペースを緩めずを差し切るという展開でした、 この時も高速馬場でL1が12.1まで落としているので、今回の自身のL1ラップ推定11.9と同じくらいです、マイルではこのくらいのスピード能力を発揮できるということを改めて証明しました。

逃げたのはランスオブプラーナ、ベステンダンクが続き、やや間隔をあけてカルヴァリオとインディチャンプが追走集団の前から、外からヴァルディゼール、リコーワルサー、タイムトリップが中段を形成し、ブラックムーン、ロードクエスト、レッドヴェイロンが中段の後ろ、ヴァンドギャルドはスタートで出遅れ後方からという隊列でした。

逃げ宣言とも取れるコメントが出ていたレッドヴェイロンですが、二の脚が付かず中段の後ろからになってしまいました、スタート自体は五分に出ていたので、前に行けなかったことは今後に大きな不安を残しました。実質的にここでレッドヴェイロンのレースは終わっています。レッドヴェイロンが前に行けなかったことで楽になったのがランスオブプラーナとベステンダンクで、前半800m47.2と馬場を考えればかなりのスローペースになりました。

スローペースでしたがインディチャンプは前の2頭とやや間隔を空けて追走集団の先頭でした、その外にカルヴァリオが張り付きましたがインディチャンプは折り合いが付いていました、前走の中山記念でも折り合いはついていたので、年齢を重ねて精神的な落ち着きが出たのだと思います。スタートを上手く決めたヴァルディゼールが中段から、間にリコーワルサーを挟んでタイムトリップが中段の最内、 いつも通りのポジションになったのがブラックムーンとロードクエストで、この2頭はほぼ後方からになりました。

大きく出遅れて最後方から進めたのがヴァンドギャルドで、ゲートの中でもかなりうるさい仕草を見せていました、これは前走の東京新聞杯でも同じで改善がありませんから、今後もヴァンドギャルドはスタートの不安が残ります。今回は少頭数だったこともあり前をギリギリ捉えきれる位置からレースができましたが、フルゲートのレースでは致命的な出遅れになりそうです。

4コーナーから直線入り口です、ランスオブプラーナにベステンダンクが並びかけることでL4からペースが上がりました。これを楽に追走したのが最内のインディチャンプで、1頭分外に居たカルヴァリオは追走にやや苦労しているようでした、もちろんその外にいたリコーワルサーもこの辺りで追走一杯になりました。ヴァルディゼールが動かなかったことで後ろのレッドヴェイロン、ヴァンドギャルドもこの辺りでは仕掛けていません。終始最内を通したタイムトリップ、ロードクエスト、ブラックムーンも非常にスムースな形で直線に入れました。

直線L2標識付近です、ランスオブプラーナとベステンダンクが並んで直線に入り、インディチャンプがこれを楽な手応えで捕まえに行ます。 この地点でカルヴァリオとリコーワルサーが遅れ始め、内からロードクエスト、外からヴァンドギャルドが伸び始めます。 直線の中目を通したタイムトリップ、バルディゼール 、ブラックムーン、レッドヴェイロンは全く伸びてきませんでした。

直線L1標識付近です、頑張っていたランスオブプラーナがここで脱落、距離不安がモロに出た感じです。それでも近走のタレ具合からすれば悪くない粘りだったので、かなり軽い高速馬場の恩恵を受けられたのだと思います。ベステンダンクがランスオブプラーナを交わしたところをインディチャンプが並ぶ間もなく交わして行きます、ノーステッキで促しただけで一気にベステンダンクとの差を広げていきました。インディチャンプが加速しているわけではなく、ベステンダンクが11.9迄落としているので、インディチャンプのトップスピード持続能力の高さを改めて見せつけました。 

大外から伸びてきたのがヴァンドギャルドで上り3F32.7は最速です、後方からになりレースに参加していないような形になりましたが、貯めればこれだけの足を使えるということで、トップスピードの質と持続力の高さを見せました。もちろん後方からになってしまったので多頭数のレースでは届かない可能性がより高まります。内から伸びて4着に食い込んだのがロードクエストで、距離適性に不安がありましたが高速馬場だったことで1F誤魔化せた感じです、最終追い切りが美浦だったこともあり体調面も不安がありましたがよく走ったと思います。ただしインディチャンプから0.6秒も離されているので、もう少し骨っぽいメンバーが集まるレースではさすがに着順を落としそうです。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はインディチャンプ、上手くスタートを切って追走集団の先頭で折り合いもついていました、前半800m47.2と昨年ほどスローにはならなかったので、あとは前を捕まえるだけという楽なレース展開でした。前にいたベステンダンクがL1で11.9迄落としてくれたことも楽に差し切れた要因です。フィアーノロマーノがスタート前に除外になってしまったことで、相手関係が一気に低くなり勝って当然というレースになってしまいましたが、こういうレースでしっかりと勝ち切れたことで、次走へ向けて不安材料がなくなりました。

2着がベステンダンク、スタートを決めてランスオブプラーナをマークする形で後続を離してせ先行しました、高速馬場でL4から11秒台の前半に入れる展開になったことで、この馬の持続力の高さが生きました。 テン乗りの藤岡佑騎手も上手く乗ってくれましたし、休み明けでもしっかりと走れることは2018年米子Sで見せていました。近走は展開が合わず二桁着順が続いていましたが、評価が下がった今回はまさに買い時でしたね。

3着がヴァンドギャルド、スタートが非常に悪く最後方からの競馬になってしまいました、ゲートの中からうるさい仕草を見せていて、これは前走と全く一緒でした。今後も出遅れる可能性が非常に高いので、多頭数のレースではかなり危険な人気馬になりそうです。最後に3着まで突っ込んできましたが、少数だったことメンバーレベルが低かったことで届いたと思うので、スタートが改善されない限り重賞で好走することは難しいかもしれません。

4着がロードクエスト、いつも通り後方からのレースになりましたが終始最内を回してロスなく立ち回り、直線も非常にスムースにコースが空きました。マイルは距離不安がありましたが高速馬場で、前半は後方で脚を溜めたことで4着まで伸びてきたのだと思います。この馬が関西圏で好走する時は栗東滞在だと思っていました、今回4着に好走していますがメンバーレベルを考えれば高評価はできないので、今後も関西圏のレースの時は要注意だと思います。

5着はヴァルディゼール、中段から進めて直線もスムースでしたが、ジリジリしか伸びず掲示板がやっとでした、後ろからヴァンドギャルドにあっさり交わされていて非常に印象が悪かったです。予想の段階では前走の洛陽Sを勝ってしまったために、 反動が出る可能性を書きましたがそれが出てしまった感じです。

6着がレッドヴェイロン、調教師から逃げ宣言とも取れるコメントが出ていましたが、二の足がつかずポジションは中段の後ろからになってしまいました。当然このポジションからでは勝負にならず、上り3F33.2ですが掲示板にも乗ることができませんでした。予想の段階で危惧したとおりキンカメ産駒の蓄積疲労が、徐々に顕在化してきたのではないでしょうか。

馬券の方はスタート直前にフィアーノロマーノが除外になったことで全返還でした、ベステンダンクが2着に好走しているのでフィアーノロマーノが出走してくれていれば的中していた可能性もありますが、あのまま出走していたらレース中に故障していた可能性もあるので、 良しとします。 今回は予想には手応えを感じました、3番手評価にしたベステンダンクの2着、キンカメ産駒の蓄積疲労を懸念したレッドヴェイロンの凡走、ヴァルディゼールについても前走の反動を危惧していたので、予想が噛み合ってきたのかなと感じています。この調子で来週の天皇賞も頑張ります。

コメント

  1. スーパーワシントン より:

    こんばんわ!
    川田の発送前取り消しは有名ですよね!
    少しでも歩様がわるけりゃ取り消し。
    厩舎連中からすれば川田に依頼した時はゲート切ってくれるかどうかが最初の難関ですからね。
    今回のは本当に取り消しになる位の(直前)での跛行だったんだろうとは思いますが。。
    レース行く前に馬ほぐして馬運車乗せるし、パドック出す前に1時間くらい引き馬もするんですけどね。
    少々歩様が悪くても厩舎からすれば問題無いと思って出走させてる訳ですから。

    • みやや より:

      スーパーワシントンさん、コメントありがとうございます。こんばんは~。
      1Rから大きな事故があったので、川田騎手もナーバスになっていたのかもしれませんね。
      馬ファーストってことで、今後に期待してます。

  2. ゆっくん より:

    みややさん、初めてコメントさせて頂きます。
    今年になって個人的に馬券の調子があがらなかったので、
    マイラーズCはみやや競馬の予想を参考にさせて頂き、
    あっさりと的中しちゃいましたW 大感謝です!

    • みやや より:

      ゆっくんさん、コメントありがとうございます。
      的中おめでとうございます、これで波に乗れると良いですよね。