2019年天皇賞(春) 回顧。菊花賞と同じじゃん・・・。


走破時計3:15.0 前-中-後 59.8-64.2-71.0(1000m58.5)  上り3F 34.5

馬場状態は超高速でしたね、8Rの糺の森特別1000万条件で1:45.8というタイムでしたからね、追い込んで3着のレッドランディーニの上り3Fが33.4です。かなり軽い高速馬場で、天皇賞もレコードが出るかな~っと思っていましたが…。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青は今年、赤は昨年の菊花賞後半2000mのラップです。

菊花賞を前・中・後で分けると62.7-64.2-59.2というバランスになります、今回の天皇賞も長距離適正が全く問われないレースになりました。何しろL2のラップが11.0ですからいくら高速馬場と言っても、道中楽をし過ぎですね。こうなると後方からではレースならず、エタリオウやユーキャンスマイルは出番なしでした。

1周目のスタンド前です、波線部分は画像に入りきらないので更に後方という事です。

まずヴォ―ジュが逃げ体勢、⒉馬身ほど空いてロードヴァンドール、更に2馬身ほど空いてメイショウテッコンが掛かり気味、カフジプリンス、内からチェスナットコート、パフォーマプロミス。フィエールマンが押し上げてグローリーヴェイズ、クリンチャー、リッジマン、ユーキャンスマイル。離れてケントオー、さらに離れてエタリオウという隊列でした。

1000m通過59.8と一見速いように見えて実はこれで標準くらいです、というもの超高速馬場なので軽いんですよね、このペースが速くないと気付いた騎手が一人いましたね、そうルメール騎手です。スタート自体はいつも通りやや出負け気味、4コーナーを回るまでは中段の後ろに居ましたが、直線部分でパフォーマプロミスとの差を詰めていきました、昨年の菊花賞でエタリオウ・ミルコがやったような感じ。結果的にこのポジションを取りに行ったことで勝負が決まりましたね、直後になったグロリーヴェイズ、すぐ前のパフォーマプロミスの3頭に勝負権があったという事です。これより後ろでは届かず、前に居た組は瞬発力とトップスピードの差で見劣りました。

最後方になったミルコの思惑も分からなくはないんですよね、ヴォ―ジュが何が何でも行く宣言をしていますし、ロードヴァンドールも行った方が良いタイプですから、流れると読んで長距離らしい消耗戦になると読んだのでしょう。これは岩田騎手も同様かもしれませんね。

最終の3コーナー手前です、1000~2000mのタイムは64.2です、馬場を考えれば歩いているようなものでルメール騎手はここで更にポジションを上げます、ラップが遅いのでポジションを上げても何の負担にもならないんですよね。フィエールマンがポジションを上げたことでメイショウテッコンがヴォ―ジュに並びかけますが交わしません…、13秒台だったラップは12秒台に入りますがそれでも遅い。余程先頭に立ちたくないのでしょう、結果この高速馬場でヴォ―ジュの12秒台のラップに付き合ってしまうんですね。11秒台に入るのはL4からでメイショウテッコンの特性では厳しくなりました。

いつものミルコなら13秒台のラップを見逃さずに押し上げたはずですが、調子が悪いのでしょうね、ペース、馬場状態を読み切れていない感じでちぐはぐなレースをしてしまいましたね。グローリーヴェイズの戸崎騎手は終始フィエールマンをマークする形でした、ここまで接戦に持ち込めたのは展開の助けと、ルメールマークの作戦だと思います。

ミルコは残り1000mの地点から押し上げていきましたね、これは当初の作戦通りだったと思います。ペースが流れて前の馬が消耗するタイミングで仕掛ける、消耗戦をロンスパでねじ伏せる作戦だっと思いますが、ミルコが仕掛けた地点は12.5のラップを踏んでいる地点で、そこからペースが上がって行ってしまうのを、外々を回されてしまいました。エタリオウの最終1000mが手動計測ですが58.2です、レースの最終1000mが58.5ですから届くわけないんですよね~。昨年の天皇賞(春)の最終1000mは60.6なので、昨年なら勝っていたのはエタリオウだったでしょう。

同じように外を回しているフィエールマンとグローリーヴェイズはL3馬なりで11.6なので、ここで溜めた分L2の瞬発力を発揮出来ましたね。直線入り口ではフィエールマンの直後に居たパフォーマプロミスが、ゴールでは6馬身も離されたのはL2の瞬発力で明確に見劣ったからですね、L1で消耗してしまったエタリオウを何とかクビ差しのぎました、これは序盤のポジションの差が響きました。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はフィエールマン、まぁ上にいっぱい書いちゃったのであえて言う事はないんですが、ルメール騎手の判断が冴え渡ってますね。その上で高速馬場でありながらスローのL2最速戦になってしまう運の良さも持っている。福島のラジニケ賞で3F勝負への対応も見せているので、単なるステイヤーではないし、瞬発力だけの馬でもない。流れた2400mでも勝負になるとは思いますが、欧州の重い馬場では不安の方が大きいと思いますね。良馬場のジャパンCなら好走しそうですが。

2着はグローリーヴェイズ、戸崎騎手の作戦が上手かったですね、ルメール騎手マークと言われるのは癪かもしれませんが、結果的に大成功でしたからね。L2の瞬発力勝負でフィエールマンと互角だったのは驚きました、トップスピードの質がまぁまぁ高いパフォーマプロミスを、引き離していますからこの世代の中でも今後が楽しみな1頭です。

3着はパフォーマプロミス、序盤のポジションといい4コーナーのコース取といい、そつなく乗ったな~という感じですね。この馬の特性を考えると変に勝ちに行ってしまうと、大敗していたはずで、展開も助けになりましたがよく我慢して乗ったなという感じ。瞬発力では見劣りましたが、高速馬場のアルゼンチン共和国杯で上がり32.6を使っているように、トップスピードの質はまぁまぁ高い物を持っている、それを引き出せる展開でL3から上手く流れに乗れたのが良かったですね。

4着はエタリオウ、ミルコとルメール騎手の現状を顕わにしたようなレースで、ミルコにとっては厳しい結果でしょうね。今は何をやっても上手くいかない感じで、今回の作戦も考え過ぎた結果のような気がします。エタリオウは生粋のステイヤーという感じが出てきましたね、宝塚記念に出るとしても距離がやや短い感じ、もちろん重馬場になれば一発が期待できますが、それまでにミルコの調子が戻るかどうか。

5着はユーキャンスマイル、この馬も序盤の位置取りで勝負が決まってしまいましたね、岩田騎手は決してレースを作れる騎手ではないので、ペース判断が悪いんですよね。普段からレースメイクをしている騎手ならペース判断も上手くなり、今回のように遅ければ早目にポジションを取る判断もできますが・・・。気になったのは直線で口向きが悪かったことです、左に大きく顔を向けて走っていてバランスが悪かったですね。菊花賞でも手前を替えるまで左に顔を向けていました、万葉Sでは特にそういう素振りもなかったので、豊騎手が上手く修正していたのかもしれませんね。

メイショウテッコンはヴォ―ジュやロードヴァンドールに頼り過ぎですね、この高速馬場にもかかわらずL5の段階で12.3、L4の11.7も馬場を考えれば速くはないはずです。L2最速戦は福永騎手が最も好きな展開ですが、テッコンの最も苦手な展開でもありますからね~。

馬券の方は絞って惨敗でした、ミルコと同じくらい調子悪いです。

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