2019年NHKマイルC 全頭評価 その1。

過去5年複数回3着以内に来た種牡馬はディープインパクト3回、クロフネ2回、キンカメ2回、ダイワメジャー2回です。2015~2017年はディープ産駒が3着以内に来ていませんが、出走頭数が少なく2015、2016年は1頭、2017年は0でした。昨年は5頭出走して1,2着でしたね。ペースバランスは平均が3回、ハイペース、スローペースバランスが1回ずつです。

過去5年3着以内の15頭中14頭は重賞で3着以内がありました、唯一重賞3着以内が無かったのがタガノブルグ、OP1着、重賞では4,5着までしかありませんでしたが、前走の橘S1400mで1:19.6というとんでもないタイムをたたき出しての参戦でした。アフランシール、インテンスライト、セリユーズ、ピースワンバラディ、ミッキーブラック、ロードグラディオには嫌なデータですね。

では1頭ずつ見ていきます。

<アドマイヤマーズ>・ダイワメジャー産駒で心肺機能とパワーの両立型、一本調子の展開や消耗戦向き。

・瞬発力はあまりなく、トップスピードの質は低い。

・スタートで左に寄れることがある。

”朝日杯FS”ではまっすぐにスタートして3番手でやや掛かったが前と間隔取って折り合った、4F戦になりL4からL3で0.5秒の加速ラップを踏んでいるが、下り坂でのギヤチェンジで対応、L1で大きく落とす消耗戦を粘り切った。”デイリー杯2歳S”ではスタートで左に寄れてドナウデルタが遅れる。先頭に立ち折り合ってドスローに落としてL2最速戦、ギヤチェンジは苦手だが前半のスローで脚が余っていたので対応、しかしペースの割に上がりは33.9と平凡。”共同通信杯”ではスローバランスを逃げて2着、ダノンキングリーにトップスピードの質で見劣り。”皐月賞”では平均バランスを中段の前から、L1で垂れて4着まで、距離の影響。

「今回に向けて」ダイワメジャー産駒で瞬発力には不安があるタイプで、平均バランスや、ハイペースバランスで良さが出るタイプ、報知杯中京2歳Sで平均バランスを先行して圧勝しています。皐月賞では平均バランスを中段のやや前から、距離不安を露呈してL2で失速しましたが、逆に言えば1600mまでは勝負になっており、ダイワメジャー産駒らしさをよく表しているとも言えますね。スローバランスでも共同通信杯で2着と3F戦に持ち込むことで良さが出ている、ダノンキングリーにはトップスピードの質の差で見劣ったが、休み明けで大事に乗った面もあり及第点。不安要素はダイワメジャー産駒の疲労ですが、年明け初戦の共同通信杯から皐月賞まで2カ月の間隔が空き、前走も直線で早々に諦めたように見えたので大きな不安要素にはならないと思います。大きな問題はミルコの不調でしょうか、先行してしまえばペース認識や仕掛けのタイミングは誤魔化せると思いますし、不調とは言えその辺の日本人騎手よりは上なので、大きな不安ではないと思います。

<イベリス>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は低く持続力は高い。

”さざんか賞”では平均バランスを逃げ切り、スタート今一歩も二の足が速くすんなり逃げ体勢、中緩みを作らない一本調子のラップで押し切り。”フィリーズレビュー”では稍重の平均バランスを先行、L2最速戦にはしっかり反応したがL1で落としたところを差されて僅差の4着。”アーリントンC”ではややスローバランスを逃げ切り、ここもL2最速戦に持ち込み逃げ切り。

「今回に向けて」ロードカナロア産駒で休み明け3走目、近2走がいずれも人気以上に激走しており疲労は不安要素。軽い高速馬場が未経験でトップスピードの質は不明な点がある。関東への輸送は初でコンディションを整えられるのかどうかも不安要素。平均バランスで良さを見せている馬なので、スピード負けさえしなければ好走の可能性はある。

<ヴァルディゼール>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質はまだ不明、持続力はある。

”新馬戦”ではスローバランスを先行、L1最速戦を圧勝しているがトップスピードの質は見えない。”シンザン記念”ではハイペースバランスを中段の最内から、直線は内に進路を取ってからジリッと伸びるも、外からマイネルフロップに迫られる。瞬発力の無さは見せてしまった。”アーリントンC”ではややスローバランスを中段から、直線は前に詰まる酷い騎乗で凡走、ここでも瞬発力の無さを露呈。

「今回へ向けて」キャリア3戦でトップスピードの質はまだ不明、瞬発力が無いのは確かだと思うので内枠だと再度詰まる可能性が高い。想定される平均、ハイペースバランスへの対応は未知数、シンザン記念はハイペースバランスだったがL1最速戦で実質的にはハイペースバランスと言えない。関東への初輸送も不安要素。

<ヴィッテルスバッハ>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

”未勝利戦”ではスローバランスを中段やや後ろから、外からスムースに加速して差し切り、トップスピードの質は見せた。”阪神500万条件”では平均バランスを中段の後方から、直線では一杯になり凡走、初の関西輸送と+18㎏の影響の可能性が高い。”東京500万条件”ではスローバランスを中段の後方から、直線はL3から11秒台に入る流れを差し切り、トップスピードと持続力を見せた。”ニュージーランドT”ではスローバランスを後方から、直線外から伸びるも3着まで、前が落とさない流れで良く伸びているが、スタートの悪さでポジションが悪くなったことが響いた。

「今回へ向けて」トップスピードの質と持続力は高く、コース適正は良い。阪神500万条件で平均バランスを凡走しているが、この時は初輸送と休み明けで∔18㎏とコンディションの問題の方が大きい。よって展開への対応は未知数としか言えないが、東京500条件で見せた上がり3F32.9は簡単に出るタイムではなく、期待の方が大きい。スタートが安定しないのが大きな不安だが、下手に好スタートを切ってハイペースに巻き込まれると、末脚が削がれる可能性はあるので、前半のポジションは後方の方が良いかも。

<カテドラル>・心肺機能(マイルまで)とパワーの両立型で瞬発力は低い。

・トップスピードの質は高く持続力も高い。

”野路菊S”ではスローバランスを逃げて押し切り、この時の2着がヴェロックスで坂でもしっかりと伸びている。”東スポ杯”ではスローバランスを中段の前から、後半5Fのロンスパを直線一旦先頭に立つも、L1で落として凡走、距離の可能性が高い。”京成杯”ではスローバランスを逃げて凡走、L2まで先頭も顕著に落としているのでマイルまでの可能性が高い。”アーリントンC”ではややスローバランスを最後方から、L3で取り付きL2では前が壁になったがL1で強烈なトップスピードを見せて2着まで、目視L3から11.5-10.9-10.9くらい。

「今回に向けて」距離はマイルまでで良さを見せてきたので、マイル戦は良い。前走が3カ月の休み明けなので疲労の心配はない、休み明け2走目、輸送もあるので馬体を維持できていれば。前走の内容からも後方からになるのは問題ないが、直線で詰まるようだと再加速に手間取る可能性はある、したがって内枠は良くない。乗り替りについて、B・アブドゥラ騎手は昨年2度来日、今回は3度目の来日で経験十分。オーストラリアで17/18シーズンでリーディングを獲得、日本でも通算複勝率375とかなり高い値。G1では有馬記念でサトノダイヤモンド6着の実績があります。

<クリノガウディー>・心肺機能とパワーの両立型で瞬発力はまぁまぁ。

・トップスピードの質は低く、持続力は高い。

”朝日杯FS”ではややスローバランスを先行してL1バテ差し2着、3F戦になったことで持続力が生きた形。”東スポ杯2歳S”ではスローバランスを先行して7着、後半11秒台連発の持続力を問われる展開になったが、トップスピードの質で見劣り。新馬戦ではスローバランスを中段から、L2最速戦に反応してL1は11.0くらいを引き出して1着、前半が遅かったことが良かった感じ。”スプリングS”では平均バランスを逃げて6着、この時が休み明け。”皐月賞”では平均バランスを先行、L2で一杯になり凡走、距離とペースが合わなかった感じ。

「今回に向けて」朝日FS2着はスローバランスを中段やや前の最内からのもので、道中はかなり楽をしている。年明けのスプリングSでは平均バランスを逃げて、続く皐月賞でも平均バランスを先行して凡走しているのは大きな不安。東スポ杯ではスローからの5Fロンスパ戦で大きく離されてはいないので、前半無理をすると後半息切れする可能性が高いく、例年通りのNHKマイルCだと苦戦しそう。