2020年オーシャンS 回顧。海外帰りの休み明けもなんのその。

走破時計 1:07.4  前半600m 33.1  上り3F 34.3

含水率 ゴール前 10.2%  4コーナー 9.6%

まずは馬場状態ですが昨夜ぱらっと雨が降ったようですが、馬場状態には全く影響がなく良馬場で行われました。7Rが3歳1勝クラスのマイル戦で1:34.8なので、決して高速馬場ではなく標準的な良馬場でした。これで前半33.1は速過ぎでしょう。


上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。クリックで大きくなります。青が今回、赤が2019年オーシャンS、緑が2020年サンライズSのグラフです。

2020年オーシャンS 走破時計 1:07.4  前半600m 33.1  上り3F 34.3

2019年オーシャンS 走破時計 1:07.1  前半600m 32.3  上り3F 34.8

2020年サンライズS 走破時計 1:08.0  前半600m 33.3  上り3F 34.7

まず馬場を考えるとこのラップ推移はかなり速いなという印象を受けました、昨年に比べて前半3Fは当然遅くなっていますが、これは昨年モズスーパーフレアが1頭で飛ばしたために非常に速くなったためでした。ナックビーナスの比較で見ると昨年と斤量が一緒でタイムは0.2秒違うだけです、上り3Fは34.4で全く一緒です。。昨年が超高速馬場だと思いましたが、昨年の7R3歳1勝クラスのマイル戦が今日とほぼ同じタイムなので、昨年も超高速馬場ではなく標準的な馬場だったのでしょう。横山典騎手がスタートで無理に出して行かなかったことからも、馬場が軽くなかったのだと思います。

昨年が超ハイペースバランス、今年がハイペースバランスの範疇なので、ナックビーナスはどのようなペースになっても中山コースでは崩れないと考えて良いと思います。2019年ラピスラズリSでは58㎏を背負って、スローバランスで圧勝していますから、レースレベルの違いはあれ中山コースでは信頼できますね。

今回のタワーオブロンドンの走破時計が1:08.1、今年のサンライズSでエンゲルヘンが勝ち切った時のタイムが1:08.0です、エンゲルヘンが前半もう少しゆったり入っていれば3着に残った可能性は十分にあると思います。予想の段階で騎手不安を懸念していましたが、嫌な予感ほど当たるもので、ナックビーナスの横山典騎手を突っ張って逃げてしまいました。馬場と馬の特性 、ペースを理解できない騎手なので横山典騎手がレースを作るならばチャンスはあると思いましたが、逆の展開になってしまい万事休すでした。

逃げたのはエンゲルヘン、 外からナックビーナスが半馬身後ろから、カッパツハッチがさらに半馬身後ろから、レジーナフォルテがそのやや後ろでここまでが先行勢。内からダノンスマッシュが中段の前からナインテイルズ、グランドボヌール、ハウメアが中段のやや前から、タワーオブロンドンが中段の最内、その外にキングハート、ラブカンプー、中段の後ろからダイメイプリンセス。後方からクールティアラ、エスターテ、ナリタスターワン、ティーハーフという並びでした。

ナックビーナスを制して逃げたのがエンゲルヘンでした、前半かなり速くなってしまったことでエンゲルヘンはゴール前垂れてしまうのですが、ここでナックビーナスを行かせて二番手からのレースをしていれば、かなり違った結果になっていたのではないかと思います。外からカッパツハッチとレジーナフォルテが先行しますが内へ切れ込む素振りは見せませんでした。これでダノンスマッシュの前にぽっかりとスペースが開いた状態でレースが進みます。

ダノンスマッシュはスタートがあまり良くなかったのですが、内にスペースがあったことと折り合いに不安がないことから、すんなりとリカバリーをして中段の前が取れました。他馬が外からダノンスマッシュの前に切れ込んで来なかったのは、川田騎手の睨みが効いていたのかもしれません。ダノンスマッシュよりもスタートが良かったタワーオブロンドンですが、調教で行きたがるところがあったためか控えてダノンスマッシュの後ろからになりました、これで折り合いはついていました。

予想の段階で懸念していたキングハートの位置取りは、かなり後ろからになってしまいこの時点で勝負権がありませんでした。スタート自体は悪くなかったのですがそこから全く促す素振りもなかったし、北村宏司騎手がキングハートのことを考えて乗っているという感じは受け取れませんでした。

4コーナーから直線入り口です、先頭のエンゲルヘンにナックビーナスが並びかけます、この地点はL2部分で0.2秒の加速をしていますが、 平坦部分からやや下っているので瞬発力で加速したというよりは、下り坂で自然とペースが上がったと考えるほうがいいと思います。 この辺りでカッパツハッチがいっぱいになったことでダノンスマッシュのコースが開きます。タワーオブロンドンはグランドボヌールに張り付かれて外に出せない状況、キングハートはレジーナフォルテの後ろハウメアが外に居てスムーズさを欠きました。ダイメイプリンセスは4コーナーで最内を回してコースロス無く前との差を詰めました。

直線L1標識付近です、ナックビーナスが先に抜け出したところをダノンスマッシュが追いかけます、エンゲルヘンがまだ粘っていますがこの辺りで一杯になり、タワーオブロンドンとグランドボヌールが並んで上がってきます。最内を突いたダイメイプリンセスは前にスペースがありますが伸びませんでした、これは馬体重がマイナス12kgだったことの影響だと思います。 外からスムーズだったキングハートですがトップスピードの質が高くないので当然届きませんでした。

ここで注目すべきはダノンスマッシュがナックビーナスを交わしたタイミングです、上り坂ではナックヴィーナスとダノンスマッシュの差は縮まっていません、ダノンスマッシュがナックビーナスを交わすのは坂を登ってからの平坦部分です、昨年のスプリンターズSでも坂での加速に見劣ったので、ダノンスマッシュが坂を苦手としていることがこれではっきりしたと思います。タワーオブロンドンが3着に敗れた原因ですが、最後の直線でグランドボヌールに一瞬寄られています、これで前にいたエンゲルヘンのコースと被ってしまい、一瞬加速が鈍ったのではないかと思います。タワーオブロンドンの内枠不安は解消できていないと思います。 

 

では1頭ずつ見ていきます。

1着はダノンスマッシュ、 スタートが良くなかったことでヒヤッとしましたが、前にスペースがあったこともありリカバリーして中段の前を取ることができました、これはダノンスマッシュが折り合いに不安のない証だと思います。予想の段階では海外帰りの休み明けを不安視していましたが、今日のレース振りを見る限り全く不安はありませんでした。 しっかりとナックビーナスを差し切り前哨戦を1着で終えていますが、坂でナックビーナスを捉えられなかったことは、同じ坂のある中京コースで行われる高松宮記念に向けてやや不安を残しました。

2着がナックビーナス、馬場を考えるとややペースが速かったと思いますが、それでもしっかりと2着に残るあたりはコース巧者なのでしょう。坂ではダノンスマッシュと互角のスピードでしたが坂上で差されてしまいました、目標にされているので仕方のない面もありますが、このペースで先行した時にはトップクラス相手にはどうしても見劣るという事でしょう。高松宮記念に出走してくるようであればコース適性は高いと思うので、十分に期待が出来ると思います。

3着がタワーオブロンドン、スタートは良かったのですが折り合いを気にして中段まで下げる競馬でした、前哨戦でプラス体重だったことも含めてややピリッとしない感じは受けました。特に最後の直線でグランドボヌールにわずかに寄られただけでスピードが鈍ってしまったことは、内枠を引いた時の不安を残してしまいました 。もちろん真ん中よりも外の枠を引けば逆転は可能だと思うので、この馬の場合は枠順がとても大事になります。

4着はグランドボヌール、この馬自身の前半3Fもおそらく33秒台に入っているはずですが、良馬場の1200mで心肺機能が持ったとという事なんだと思います。今までも1200mで好走歴はありますが前半が遅かったので、今回の4着にはかなり驚きました。CBC賞が不良馬場だったことで平均バランスでも6着とイマイチでしたし、1400mになるとハイペースバランスで顕著に落としているので、1200mの良馬場というのがこの馬に非常にマッチしたのだと思います。

5着がキングハート、序盤の位置取りが悪くその時点で勝負権がありませんでした、2走前は中段の前から競馬をしていたので乗り替りで狙いたいですね。

ダイメイプリンセスはまたしても二桁の馬体重増減で、マイナス12㎏と体調があまり良くなかったと思います、4コーナーで最内を回し直線もロスはありませんでしたが、そこからいつもの伸びがありませんでした。

馬券の方は三連複が的中しましたがトリガミです。上位人気で決まってしまったので仕方のない結果でした。