2023年天皇賞(春) 回顧。なぜルメール騎手に展開が向くのか?

走破時計3:16.1    前半1000m 59.7  上がり3F 35.3

まずは馬場状態ですが朝の時点では重馬場でした。含水率を見ると降水量の割には低い値でした。改修で水はけがかなり良くなっていますね。3Rが芝の最初のレースで、この時点で稍重に回復しています。9Rの御池特別は2勝クラスの1400mで1:20.8、高速とまでは言えませんが良馬場の表記でもいいくらいのタイムは出ていました。

上のグラフはラップタイムをグラフにしたものです、レース映像と見比べると面白いと思います。ラップタイムがマイナスになっているのはグラフ製作上の都合ですのでお気になさらずに。青は今回、赤は2019年の天皇賞(春)のグラフです。

1着のジャスティンパレスはフィエールマンですね。赤のグラフはL3からほぼフィエールマンのラップなので、L2最速のラップもフィエールマンのものです。今回の青のグラフはアイアンバローズからディープボンドが先頭だったので、ジャスティンパレスのL2ラップは11.0くらいのはず、瞬発力とトップスピードの質を発揮しました。

このジャスティンパレスが最も得意とするラップになった要因は、①タイトルホルダーがL4で苦しくなったこと、②ディープボンドが先捲りに行ったがペースを引き上げず、アイアンバローズのペースに付き合ったことですね。この2つはルメール騎手にはどうしようもない事ですから、ルメール騎手が持っているとしか言いようがないレースでした。

ディープボンドは千載一遇のチャンスを不意にしましたね。L4で先捲りに行った時に、そのまま捲り切ってしまえば勝つ可能性はあったはずです。ところが先頭に並んでアイアンバローズのペースに付き合ってしまいました。これは前走でアフリカンゴールドのペースに付き合って凡走した時と一緒、今回もL2でジャスティンパレスにやられてしまいました。

スタート早かったのはアイアンバローズ、ディープボンド、ブレークアップ。タイトルホルダーはスタート五分くらいで、押して押して先頭に立ちます、同じくスタート五分くらいのアフリカンゴールドが外から押して押して前に行き、タイトルホルダーを叩いて先頭に立ちます。1週目のスタンド前でタイトルホルダーが先頭に立ち、外からアスクビクターモア、アイアンバローズも上がって、ディープモンスターも追随して先行勢を形成。

中段の前からディアスティマ、中段のやや前からディープボンドとジャスティンパレス。中段にマテンロウレオとヒュミドール。中段のやや後ろからブレークアップとメロディーレーン。中段の後ろからシルヴァーソニック、トーセンカンビーナ。ボルドグフーシュがここからジワっと上がって行きました。離れた後方からエンドロールとサンレイポケットという並びでした。

最終の向正面です、アフリカンゴールドが下がって、タイトルホルダーが先頭。ここにアイアンバローズが並びかける感じでした。ディープボンドがジワっと上がって中段の前で、この後ろにジャスティンパレスが中目に出してきました。中段の後ろに居たボルドグフーシュが中段のやや後ろ、シルバーソニックは動かず中段の後ろでした。

4コーナーです、タイトルホルダーが苦しくなり下がり、アイアンバローズが先頭に立ちます。ここでペースが上がりませんでした、これに付き合ったのがディープボンドで、外から上がって来ましたが捲り切ることなく並走。その後ろからジャスティンパレスが前を射程圏に入れています。タイトルホルダーが下がって来たことで、ヒュミドールが影響を受けています。

直線L2標識付近です、ディープボンドが先頭に並び、アイアンバローズが内から、その更に内からマテンロウレオが伸びてきました。アスクビクターモアとディープモンスターが苦しくなり下がり、ブレークアップとボルドグフーシュが外から。その後ろからシルヴァーソニックでした。馬群は外にばらけているので詰まるような馬は居ませんでした。

直線L1標識付近です、L2区間でジャスティンパレスがディープボンドを捉えて2馬身程突き放します。ここで勝負が決まりました。ここからジャスティンパレスがリードを保って押し切り、ディープボンドも粘って2着でした。マテンロウレオとブレークアップが粘るところで、外からシルヴァーソニックが伸びてきて3着。ボルドグフーシュが伸びずに凡走したのは、1週目のスタンド前で動いたことと、L2最速戦に対応できなかったからでしょうね。

では1頭ずつ見ていきます。

1着はジャスティンパレス、最も得意なパターンになりましたから、当然の1着でしたね。ロンスパの消耗戦になった時に対応できるかどうかは未知数ですが、トップスピードの質と瞬発力の高さを見せているので、府中の中距離戦でも好走が期待できます。

2着はディープボンド、ロンスパに持ち込むチャンスはありましたが、緩んでからの3F戦でL2最速に付き合ってしまっては2着も止む無し。むしろ最も苦手な展開で良く2着を確保したと驚きました。これは10㎏絞ったことで、体のキレが増したんでしょうね。

3着はシルヴァーソニック、前半無理をしなかったことで最後に伸びてきました。最高の騎乗をしてジャスティンパレスから0.6差、不味い騎乗だったディープボンドから0.2差なので、このクラスではこれ以上の着順は難しい感じですね。

4着はブレークアップ、4コーナーではマテンロウレオとジャスティンパレスの後ろから、L2で11.5なのでこの馬の得意パターンでしたが、L3が11.9と遅かったので加速で見劣りましたね。前走の阪神大賞典ではL3が11.4ですから、流れた中でトップスピードの質を発揮してくるタイプですね。

5着はマテンロウレオ、直線入り口では横の並びでジャスティンパレスと同じような位置でしたから、L2で瞬発力で見劣りました。4コーナーで中段の前に居た位置取りはさすがで、もう少し流れてくれれば3着はあった感じですね。距離が持つことは分かったので、展開一つで今後も楽しみな存在になりました。

ボルドグフーシュは6着、前半動いたことと緩んでからの3F戦にスピード負けした感じですね。特にL2での反応の悪さは印象が悪く、今後もこのパターンでは買い難いと思います。アスクビクターモアは11着、ゲート裏では汗が目立っていたし、本調子ではなかった可能性がありますね。田村厩舎は開業27年目で重賞14勝(平場の芝では12勝)という厩舎だし、この馬は非ノーザンF生産馬なので立て直しに失敗した感じですね。

馬券の方はハズレ、タイトルホルダーの競走中止は予想できなかったので、今回は仕方ないとします。次回はNHKマイルCの予定です。

コメント

  1. そだしれいなす より:

    現地観戦力のない私は、アスクビクターモアが最後ハナを叩いたかと思いました。
    和田ぴょんもアスクビクターだと思ってた可能性が微レ存…(´・ω・`)
    https://pasteboard.co/aFqM0E2e8awJ.png
    誘導馬の誘導をに従い、一旦ゴール板手前まで戻ってからゴールを駆け抜けスタート地点に戻った馬の中で、特に歓声が上がった(もしくは個人的にイカしてた)のは、①ジャスティンパレスと⑯シルヴァーソニックでしたね。
    https://pasteboard.co/XUtR6r3fBLq6.png
    https://pasteboard.co/rK7JpNbXNbUj.png

    タイトルホルダーは誘導馬を無視してそのまま左に行ってしまい。そっけないなというみんな思ってましたが、布石だったでしょうかね。。

    • みやや より:

      そだしさん、こんばんは。
      現地観戦お疲れ様でした、抽選と聞きましたが随分と混雑していたようですね。
      そだしさんの調教評価の良かったディープボンドとシルヴァーソニック、キッチリ馬券内ですからお見事ですよ。
      タイトルホルダーはパドックの評価も微妙だったようで、不良馬場で圧勝した反動ですかね~。

  2. そだしれいなす より:

    ヴェルトラの次走を危険視したのに似てたりしますね。調教過程としては、昨年の追い切りも見返して、タイムも同じ感じだったんですが、普段のタイホくんは10秒台の追い切りも余裕なんで、後付けですがいかんせん日経賞をガチり過ぎて元気ないのかな…と言う不安はあるにはありました。
    でも思ったのはルメールとレーンですぬぁ。本馬場の時、ゴール板前で結構一杯に追ってたんですよね。ゴールイメージを持たせると言うか、こう言う歓声が聞こえてくるんやで!っていうイメトレ感もあって上手だし、エンターテイナーだし感激ですわ。
    こりゃ公務員化しておる松山くんは敵いまへん(´-ω-`)
    和田ぴょんは名前を超えて馬が良かった。鞍上は我らが菅原くんをドラフト指名します。。
    まあかなり予想は近かったので次も頑張ります!